〇はじめに


 みなさんこんにちは。ナガと申します。

 今回はですね、以前にTwitterアカウントの方で私の本棚の写真(マンガの棚)をツイートしたところ少し反響がありまして、ぜひとも紹介してくださいという声もいただいておりました。

 ということで今回は私を構成する10冊の本をみなさんにご紹介できたらと思います。

 良かったら最後までお付き合いください。


〇目次



〇当ブログ管理人の"私の10冊"


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 さて今回は私が今まで読んできた本の中で、現時点で最も気に入っている10冊をみなさんにご紹介していきます。今回の記事は、あくまでも紹介するということ自体がメインですので、それぞれの本については短評程度に留めておこうと思います。(語り始めると長くなるので・・・)

①『ブリキの太鼓』:ギュンター・グラス



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 私はドイツ文学が結構好きでして、しばしば読んでいるんですが、その中でもやっぱりグラスの『ブリキの太鼓』は別格ですね。やっぱり第2次世界大戦中のドイツをこれほどまでに「辺境」から捉えた作家は他にいないと思うんです。ドイツの大人たちが自らの意志でヒトラー率いるナチスに情熱的に実を捧げていく姿、そして戦争の過熱に伴って少しずつ変化していく庶民の生活の様を緻密に描写し、戦争を明確に描いていないにもかかわらず、最もリアルなドイツ戦争小説と言える出来栄えなのです。
 主人公の少年オスカルはそんな醜い大人たちの姿を尻目に、子供のままで成長することを止め、大人になることを拒みます。ブリキの太鼓とはそんな子供らしい純真さと、清純さの象徴とも言えます。大人にならなければ、穢れずに済むのかもしれません。しかし、人はいつか踏み出さなければなりません。そして逃げようもない薄汚れた現実と向き合わなければなりません。主人公オスカルの姿はまさしくナチスの戦争犯罪に自ら情熱を注いだ自分たちを棚に上げた、かつてのドイツ国民の象徴ですらあります。第2次世界大戦とドイツに興味がある方は必読の1冊です。


②『天使エスメラルダ』:ドン・デリーロ



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 私の敬愛するドンデリーロの短編集なんですが、もうこれはとんでもない名著としか言いようがありません。こんな本に出会えて、本当に幸せだと最初に読んだときは痛感したものです。彼はポストモダニズム文学の代表的な作家の1人でもあります。そんな彼がまさにアメリカという国を、現代の我々の世界を解体(脱構築)せんと書き記したのがこの本です。
 特に衝撃だったのが、『Runner』という短編です。これってわずが6ページ足らずの短編なんですよ。ただこれほどまでに世界を抉った6ページって他に存在しないと思います。あらすじは公園でジョギングしている男の目の前で、車に乗った男が子供を誘拐していくんです。そこに1人の女性が現れて、「あの男は離婚をした直後で、親権を母親側に奪われたから子供を誘拐したんだ。」という説明を受けます。男はそれを真実と信じ、何事も無かったかのように流してしまうんです。
 このストーリーがいかに我々の世界の本質を、確信を突いているか・・・。我々は真実かどうかも分からない「事実」をただそれとなく受け入れて、世界を認識したつもりになり、のうのうと生きている。そんな我々の「当たり前」の社会を根底から解体するような6ページなんです。他の短編もデリーロ最高峰とも言えるレベルの作品揃いです。


天使エスメラルダ: 9つの物語
ドン デリーロ
新潮社
2013-05-31



③『モリー先生との火曜日』:ミッチ・アルボム


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 映画化もされた小説なんですが、私は原作が大好きです。私はキリスト教信者でも何でもないんですが、この小説を読んで、キリスト教的な「愛」の在り方に感銘を受けました。
 モリー先生は「愛は唯一、理性的な行為である。」と偉人の言葉を引用しながら語りかけるんです。この本を読むまで、自分にとって「愛」とは本能的で、衝動的で、感情的なものだという認識が強かったのです。ただこの本を読んで、「愛」を表面化させていくこと、自分の外へと出して他人へ伝えていくことというのは、感情的というよりももっと理性的だと考えるようになりました。
 その他にもモリー先生の名言で溢れており、まさに人生のバイブルとなれるような1冊といえます。


④『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』:フィリップ・K・ディック


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 この本を読んで、SFにハマったという人正直に手を挙げてください。かなり多いと思うんですよね。ディックの小説は大好きで、他にも数冊所持しているんですが、やっぱりこの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は最高です。そもそも1960年代にこの小説を書いたディックの慧眼が冴えわたっています。まさにAIが社会構造を変容させようとしている現代に通じるところの多い作品です。
 もう写真を見ていただけると分かる通りで、付箋を貼りまくりです(笑)付箋が40枚くらい貼ってあって、もう何度読み返したか分かりません。ただこれほどまでに人間の存在というものに深い問いを投げかけた作品が他にないんじゃないだろうかという程に根源的な問いを発している作品です。
 この作品に関しては語り始めると日が暮れるのでこの辺りで。映画『ブレードランナー2049』の記事でも少しこの作品について触れているので良かったら以下のリンクから。




⑤『幽霊たち』:ポール・オースター


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 多くの映画に影響を与えた、とりわけ映画『ファイトクラブ』はこの小説の影響をもろに受けています。こちらもポストモダニズム文学の巨匠ポール・オースターの名作です。
 この作品って主人公が依頼を受けて、ひたすらある人物の見張りをしているというだけのストーリーなんですよ。このあらすじだけを聞いていると、余りにも退屈な作品に思えることでしょう。
 しかし、ドン・デリーロの巧みな表現と展開が読者に飽きることを許しません。どんどんとその奇妙な物語へと引き込まれていきます。
 この『幽霊たち』は、まさに「自分」について深く思索を巡らせる究極の文学作品なのです。「自分」という当たり前すぎる存在に「疑い」を投げかけて脱構築していくと、そこには何が残るのだろうか?「自分」という存在は一体何なのだろうか?この本を読んだとき、あなたは自分を信じられなくなります。

幽霊たち (新潮文庫)
ポール・オースター
新潮社
1995-03-01




⑥『The Indifference Engine』:伊藤計劃


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 伊藤計劃の作品は大好きで、他にも数冊所持しておりますが、やはり彼の最高傑作はこの『The Indifference Engine』だと声高に宣言しておきたいですね。
 この本は彼の短編集なのですが、あまりに隙がなさすぎるので驚くばかりです。表題の『The Indifference Engine』は戦争後のアフリカ少年兵たちの姿を残酷にかつ鮮烈に描き出しました。国家が、社会が「平和」を宣言したからと言って、明日から「昨日までの敵」と共に学校で一緒に勉強しろと言われたら果たして可能なのだろうか?「殺す」ことだけを教え込まれた人間は、平和な社会でどうやって生きていけば良いのだろうか?
 そして自分の中に流れる血と本能に逆らえない人間の悲哀を鮮烈に描いたわずか10ページほどの短編『セカイ、蛮族、ぼく』も強烈です。


⑦『生きることと考えること』:森有正


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 『われ思う、ゆえに我あり』とデカルトは『方法序説』の冒頭で語りました。つまり生きていくということは、考えることなのです。森有正はそんなデカルト的な思想をこの本で、一般化し我々にわかりやすく伝えてくれています。
 この本を読んでから私が心がけるようにしているのは、どんなことでもまずは経験してみるという姿勢です。森有正は、経験こそが自分を構築する最たるものであるということを語っています。そしてその経験を自分の中に深く落とし込んで、言語化していくこと。それこそがまさに「生きること」であり自分を確立することに繋がるのです。
 ちなみに私がブログでこうして自分の思いを言語化しているのも、この本の影響を少なからず受けています。





⑧『蟲師』:漆原友紀


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 この小説が何を言いたいのか、何をテーマにしているのかということに関しては、こんなブログを書いている私ですが、考えないようにしています。というのもそれを考えてしまうと、この作品から味わうことのできる不思議な快感が失われてしまうと思っているからです。
 「蟲」という存在が世界にはびこり、そしてその「蟲」と人とのかかわりを描きながら、それを狂言回し的立ち位置で伝承する蟲師と呼ばれる人たちの物語を描いていきます。
 ハマらない人はとことんハマらない作品だと思いますが、ハマる人はとことんハマるシリーズですね。ぜひぜひこの不思議な雰囲気を一度味わってほしいと思います。

⑨『水域』:漆原友紀


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 先ほどの『蟲師』と同じ作者の作品です。この作品が描くのは「土地の記憶」と時を超えてそれを結びつける「水」の物語です。ダムの底に沈んでしまった村。そこに暮らしていた人々の記憶。
 「水」を介して、時を超えて伝わる思いたちに優しい涙が止まらなくなる1作です。『蟲師』は有名なんですが、この作品は意外と知られていないんですよ。上下巻の2冊しかない作品なので、ぜひぜひ古本屋なんかで探してみてはいかがでしょうか?

⑩『青い花』:志村貴子


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 当ブログ管理人が1番好きなマンガです。今まで読んできたマンガの中で最も心情描写が精緻で、深い作品だと思います。いわゆる「百合もの」なのですが、最近流行りの「萌え」としての百合とは完全に一線を画している作品です。
 キスとかハグとかそういう話ではなくて、性行為もきちんと逃げずに描いていますし、とにかくリアルで生々しさを孕んでいます。『青い花』というタイトルはノヴァーリスの同名小説の影響なのでしょうか?そう考えると「青い花」とは追い求めても、追い求めても手に入らないものを象徴するモチーフです。
 近づこうとすればするほどに離れていくもどかしい恋心と瑞々しい思春期をギュッと凝縮したようなプロットと志村貴子さんの水彩画の様な美しいタッチのイラストが絶妙にマッチし、圧倒的な魅力を放っています。ぜひ一度読んで欲しいシリーズです。


〇おわりに


 もっと1つ1つの本について深く掘り下げたいのですが、今回はあくまでも紹介ということで短評のみを添えさせていただきました。

 良かったらみなさんの"私の10冊"も教えていただけると嬉しいですね。

 今回も読んでくださった方ありがとうございました。

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