【ネタバレあり】『アベンジャーズ インフィニティウォー』感想:1本の映画としてどうなんだ?

アイキャッチ画像:(C)Marvel Studios 2018 『アベンジャーズインフィニティウォー』予告編より引用

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

いえMCUにわかのナガと申します。

今回はですねマーベルシネマティックユニバース最新作『アベンジャーズ インフィニティウォー』についてお話していきます。詳しい解説や考察は別記事にて書きますので、今回は感想だけという形になります。

短めの記事でかつかなり作品に厳しい意見を書きますので、読みたくないという方はここでページを閉じてください。当ブログ管理人の感想に対する意見や反論はドシドシ受け付けます。当ブログ管理人に対する誹謗中傷は受け付けておりませんのでご了承ください。

ネタバレを含む内容になりますので作品を未鑑賞の方はお気をつけください。

良かったら最後までお付き合いください。

あらすじ・概要

「アイマンマン」「キャプテン・アメリカ」「マイティ・ソー」などマーベルコミック原作で、世界観を共有する「マーベル・シネマティック・ユニバース」に属する各作品からヒーローが集結するアクション大作「アベンジャーズ」シリーズの第3作。アイマンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルクといったシリーズ当初からのヒーローたちに加え、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ドクター・ストレンジ」「スパイダーマン ホームカミング」「ブラックパンサー」からも主要ヒーローが参戦。6つ集めれば世界を滅ぼす無限の力を手にすると言われる「インフィニティ・ストーン」を狙い地球に襲来した宇宙最強の敵サノスに対し、アベンジャーズが全滅の危機に陥るほどの激しい戦いを強いられる。監督は「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」を手がけたアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟。(映画com.より引用)

ここからネタバレを含みますのでご注意ください。




どうしても『アベンジャーズ インフィニティウォー』にハマれなかった4つの視点

ではここから個人的にこの映画に対して思うことをお話していきます。厳しい意見になるとは思いますが、それでも読んでくださるという方はぜひぜひ最後までお付き合いください。

最初に一言でこの作品を言い表しておきましょう。

 『アベンジャーズインフィニティウォー』が我々に見せたのは、ユニバース映画の可能性の最大値であり一方で限界であるということです。

①単独作との繋がりに関して

これは上手いと思った部分とすごく疑問に感じた部分とが入り混じっています。玉石混合状態ですね。ですので一応両方語っていこうと思います。

上手いと思ったのは『ガーディアンズオブギャラクシー』シリーズとの繋がりですね。これは個人的に文句なしで上手かったと思います。

特に『ガーディアンズオブザギャラクシーvol.2』は家族というテーマを掲げています。本作でいわゆる”戦犯”になってしまったスターロードですが、彼があのような行動をとったのはガモーラが最愛の人だったというだけではなくて、守るべき家族だったからということで納得がいきます。普段はのらりくらりなヒーローですが、家族に何かあれば絶対に守るという『ガーディアンズオブザギャラクシー』シリーズの信条がしっかりと反映されていました。

他にもこのシリーズ特有のノリや音楽が『アベンジャーズ インフィニティウォー』という暗い作品の中でも輝いていて、非常に巧い登場のさせ方や行動、演出だと思いました。

さてここから個人的に気になったポイントをお話していきましょうか。

まず1つ目は『キャプテンアメリカ シビルウォー』との繋がりに関してです。個人的にこれが一番気になりました。というのもシビルウォーのラストでキャプテンアメリカって一線から退いて、スタークと決別を図ったわけじゃないですか。

にもかかわらず、本作では何の前触れもなしにいきなり再登場なんですよね。そして彼が盾を再び手にするシーンも全くもって印象的ではないですし。確かに150分という尺に詰め込めるだけ詰め込みましたという感じの映画だったので、限界はあったんだと思いますが、それでもあまりにもキャプテンアメリカの描写がシビルウォーと繋がらない気がします。ここにワンクッションあれば、本作のキャップにもう少し魅力を感じたと思います。

次に『スパイダーマン ホームカミング』ですね。この作品のラストのパーカーの決断が個人的にはすごく好きだったので、それだけに今回の映画における彼の戦う動機を描くことを放棄して、偶発的に戦いに巻き込まれたというプロットにしたのが気に入らなかったです。

てっきりピーターは自分の未熟さを悟って、等身大のヒーローとしてこれからも戦い続けていく覚悟をしたんだと思っていたんですが、違ったのでしょうか。前作のラストで下した決断が尊重されている感じが全く持って無く、だからこそ彼がドーナツ型の宇宙船に捕まって、アイアンマン(スターク)に加勢しようとするシーンが受け入れ難かったです。

そして最後にこれまた気に入らなかったのが『マイティソー ラグナロク』との繋がりです。この作品おいて重要だったのは、ソーが自分のアイデンティティであり強さの源であったムジョルニアを破壊されながらも、眠っていた力を目覚めさせ、民を束ねる王の資格を得るという物語だったように記憶しているのですが、違うのでしょうか?

今作『アベンジャーズ インフィニティウォー』のソーはひたすらにサノスを倒すための武器を探していますよね。この描写ってラグナロクとかなり矛盾しているように感じるんですよね。ムジョルニアが無くとも戦えるようになったというのがあの作品に見える彼の成長なわけじゃないですか。それにもかかわらず、本作ではまた武器に固執しているんですよね。

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(C)Marvel Studios 2018 『アベンジャーズインフィニティウォー』予告編より引用

これに関してはロキを殺され、民を殺されたことで動揺したという見方もできるわけですが、ソー3部作を通して描き切った彼の成長がリセットされてしまったように感じられて、個人的には不満でした。

皆さんはMCUの他の作品との繋がりに関してどう感じられたでしょうか。

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②冗長で退屈なシーンが多い


(C)Marvel Studios 2018 『アベンジャーズインフィニティウォー』予告編より引用

本作『アベンジャーズインフィニティウォー』に関して、中盤過ぎくらいまですごく冗長で下手くそだなと感じるところが多かったんですよね。

例えば登場人物のが邂逅するシーンです。まずスタークとストレンジ、ハルクらが邂逅するあのシーンは映画として見せる気があるのか?と疑問に思ってしまいました。登場人物横並びで、カメラワークも平凡、会話の内容やテンポ感も特に工夫無しと、ヒーローの有名税に甘えているような印象を受けました。

キャップとローディ、ハルクらが再会するシーンも酷く冗長で、全然1つのシーンとして魅力がありません。ただ魅力的なヒーローが登場しているの1点張りで映画として素晴らしいとは感じませんでした。

というよりも後半の戦闘シーンに至るまでが全体的にもったりしていてブラッシュアップされておらず、ひたすら登場人物が出会って、会話して、出会って、会話しての繰り返しでストーリー構成自体も正直疑問が残りました。

基本的に映画を見るときに映像の凄さにかなり注目して見るタイプなので、本作『アベンジャーズインフィニティウォー』の映像にはビビッとくるものを感じませんでしたね。全体的に画力に乏しく、それでいて語りすぎという何とも映画としては評価しづらい作品でした。

③サノスのヴォ―ミヤのシーン

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(C)Marvel Studios 2018 『アベンジャーズインフィニティウォー』予告編より引用

サノスがヴォ―ミヤでソウルストーンを手に入れるシーンがありますよね。

あのシーンでサノスがガモーラのことを思って泣いているという描写がありますが、本作で一番腑に落ちなかったのはこのシーンです。腑に落ちなさ過ぎて、もはや笑ってしまいました。

単純にストーリーを展開させるための後付け設定という印象がすごく強いんですよね。『ガーディアンズオブザギャラクシーvol.2』でネビュラが自分は酷い目にあわされているのに、ガモーラは…みたいなことを言っていたような記憶はありますが、それだけで彼がガモーラを愛していたなんて急に言われましても、正直意味が分からないといった次第です。

本作はサノスが主人公の映画だという理由は個人的にも非常に分かるのですが、それにしては描写が足りないように感じました。単純に彼が全生命体の半分に死をもたらすという恐ろしい計画に至った契機が見えにくいんですよね。故郷タイタンのエピソードを彼自身が話しているシーンもありましたが、これも結局口で語るだけで、全然視覚的な説得力がないんですよね。

それでいてガモーラを愛していたなんて唐突なヴォ―ミヤのシーンがやってきて…ですから正直彼が主人公と言われましても全然説得力がないという次第です。本作をいわゆるサノスビギンズに仕立てたかったのであれば、もっと描くべき部分があったと思うのです。

サノスの目的やそのきっかけなどの背景が彼の口から発せられる言葉でしか描かれなかったことが、本作のドラマ性の薄さに繋がってしまったように思いますし、いまいちサノスというキャラクターに魅力を感じられなかったポイントでもありますね。

④1つの映画としての完成度が気になる

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(C)Marvel Studios 2018 『アベンジャーズインフィニティウォー』予告編より引用

MCU作品の素晴らしさって1つの作品としての完成度が高いながら、それでいて1つのユニバースと言う大きな世界の1部分を構成しているというアイデンティティだと考えておりました。

ただ本作『アベンジャーズ インフィニティウォー』にはそれがないんですよね。批判を恐れずに言うのであれば、この映画は「邦ドラマが安っぽい劇場版2部作を作った時の前編」みたいな印象を受けました。

とにかくこれまでの内容ありきのコンテクストで作品を進めていく上に、かなりのとにかく1つの映画として見ると中途半端な部分が目立ちます。冒頭から続く冗長すぎる説明パートは映画的な魅力にも欠ける上に基本的にシリーズの内容ありきの話題だらけなので、これまでの作品を見ていないと完全に置いていかれます。まあこれはユニバースの映画の宿命ですから仕方のない部分とも言えるでしょう。

それでいて(『アベンジャーズ4』で回収する予定ではあると思うんですが)展開を投げて投げて投げまくって、とりあえずサノスの鉄拳制裁で無理矢理締めくくったように感じられるのは、私だけでしょうか。ヒーロー1人1人の描写がことごとくペラペラで(人数が多いので仕方がないか)、それでいてヴィランであり本作の主人公とも言えるサノスの描写も口先だけと来たら、本作中のドラマというドラマが全然纏まっていないんですよね。

基本的に続編映画そのものが嫌いとは言いませんが、あまりにも続編ありきで作りすぎて、1つの映画として完成度が乏しい作品、1つの映画としては不十分すぎる作品があまり好きではないんですよね。

1つの映画としてレベルの高いものを生み出しつつ、それでいて過去の作品、未来の作品へも繋がっているというのがMCUのアイデンティティであり凄みだったのではないですか?

今作『アベンジャーズ インフィニティウォー』に欠落していたのは単純に1本の映画として見た時の完成度だと思いました。もっと画で魅せて欲しかったですし、もっと1つの映画として凄いと思わせて欲しかったです。

もう1つ本作のテーマのブレが個人的には気になりました。本作『アベンジャーズインフィニティウォー』は基本的にヒーロー側が何も犠牲払わない、サノス側が犠牲を払ってでもという構図を基軸にしています。

それはロキやガモーラ、ドクターストレンジらの行動を見ていても非常にわかります。彼らはヒーローとしての使命よりも仲間のためにインフィニティストーンをサノスへと手渡していきます。

しかし最後の最後でスカーレットウィッチはヴィジョンを殺してストーンを壊そうとするではないですか・・・。あそこまで追いつめられるまでヴィジョンをかばい続けて、結局ヴィジョンを犠牲にして世界を救う道を選ぶんですか・・・。

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(C)Marvel Studios 2018 『アベンジャーズインフィニティウォー』予告編より引用

犠牲を出さずにサノスと戦うのがヒーローという基軸は良かったと思うのですが、最後の最後であの行動をとってしまうとなんだかテーマがブレているようにも感じましたね。まあスターロードもガモーラを1度は撃とうとしてしまっていますが・・・。この辺りのコントラストがもう少し綺麗に描けていれば良かったんですが、ちょっとぼやけてしまった印象は否めないです。

続編ありきとはいえ残念でした。

おわりに

作品の後半では熱い戦闘シーンの連続で、テンションも回復したのですが前半から中盤にかけての映画的な魅力の無さと冗長な構成、そして1つの作品として見た時の完成度の乏しさが個人的に感じた不満点です。

もちろん魅力を感じたポイントもたくさんあります。しかし全体として不満点の方が多く、最終的に残った感想は『邦ドラマの安っぽい劇場版2部作の前編』というものでした。

本作に感じた魅力については後ほど書き進めていきます解説・考察記事の方で触れていこうと考えております。

詳しくは伏せておきますが、あのラストシーンが無かったらさらに評価が低くなっていたと思います。あのラストシーンに救われました。

期待しているシリーズであり、期待していた作品だっただけにどうしても「もっと・・・」という欲張りが出てしまったのもありますかね・・・。

何はともあれ、『アベンジャーズ4』を待つしかないということでしょう。

今回も読んでくださった方ありがとうございました。

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