【ネタバレ】『ゴジラ プロジェクトメカゴジラ』感想・解説:希望は絶望を生み、絶望が希望を生む。

〇はじめに

 みなさんこんにちは。ナガと申します。

 今回はですねいよいよ発売となりましたアニメゴジラシリーズのスピンオフ小説(前日譚小説)の第2弾である『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』を読破しましたので、それについてお話していこうと思います。

GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ (角川文庫)
大樹 連司(ニトロプラス)
KADOKAWA
2018-04-25


 途中まではネタバレ無しで書いていこうと思います。終盤にネタバレを含む映画版第2作に向けての考察なんかも書いていけたらと考えておりますので、ネタバレに言及する際は改めて表記します。

 良かったら最後までお付き合いください。

〇目次




〇あらすじ・概要(『GODZILLA 怪獣惑星』のもの)

 日本が誇る「ゴジラ」シリーズ初の長編アニメーション映画。巨大な怪獣たちが支配する2万年後の地球を舞台に、故郷を取り戻すべく帰還した人類の闘いを描く3部作の第1部。20世紀末、巨大生物「怪獣」とそれを凌駕する究極の存在「ゴジラ」が突如として地球に現われた。人類は半世紀にわたる戦いの末に地球脱出を計画し、人工知能により選ばれた人々だけが移民船で旅立つが、たどり着いた星は人類が生存できる環境ではなかった。移民の可能性を閉ざされた船内では、両親の命を奪ったゴジラへの復讐に燃える青年ハルオを中心とする「地球帰還派」が主流となり、危険な長距離亜空間航行を決断。しかし帰還した地球では既に2万年もの歳月が流れており、ゴジラを頂点とした生態系による未知の世界となっていた……。「名探偵コナン」シリーズの静野孔文と、「亜人」の瀬下寛之が監督をつとめ、「PSYCHO-PASS サイコパス」の虚淵玄がストーリー原案と脚本を担当。「シドニアの騎士」「亜人」などセルルックの3DCGアニメーションを多く手がけるポリゴン・ピクチュアズが制作。(映画com.より引用)

〇予告編(『GODZILLA 怪獣惑星』のもの)

〇当ブログのアニゴジ関連記事紹介

・『GODZILLA怪獣黙示録』

リンク→https://www.club-typhoon.com/archives/19647183.html

 いかにして怪獣たちが地球に現れ、そして人間たちは立ち向かったのか。そしてすべてを超越した存在として現れた神の化身ゴジラが如何にして地球から人類を排除したのか?映画『GODZILLA怪獣惑星』に直接繋がる前日譚です。当ブログでは手描きではありますが、怪獣侵略マップ等も掲載させていただき、分かりやすく解説しております。

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)
大樹 連司(ニトロプラス)
KADOKAWA / 角川書店
2017-10-25


・『GODZILLA怪獣惑星』

リンク→https://www.club-typhoon.com/archives/20194900.html

 ゴジラが地球を滅ぼしてから2万年後の地球に降り立った人間たち。主人公ハルオたちはゴジラから地球を奪還するために決死の戦いを挑みます。彼らが戦いの果てに辿りつく、衝撃の真実とは?


〇本作『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』の見どころをネタバレ無しで解説!!

①えっ、まさかあの怪獣が!?

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)
大樹 連司(ニトロプラス)
KADOKAWA / 角川書店
2017-10-25


 前作『GODZILLA怪獣黙示録』にも数多くの昔懐かしの怪獣たちが登場していました。

 カマキラス、ドゴラ、ヘドラ、ガバラ、ダガーラ、オルガ、バラゴン、マンダ、ビオランテ・・・。ゴジラファンであれば、誰しもが知っているとは言えないようなマイナー怪獣たちまでもが一挙に復活し、私自身も興奮したものです。

 しかし、本作『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』も引けを取りませんよ。次々に新しい怪獣が登場します。お馴染のあんな怪獣やこんな怪獣たちが次々に現れ、ファンの心を擽ります。

 ゴジラが好きだという方はまず読んでおいて損はしません。

②『GODZILLA怪獣惑星』の見え方が変わる!!


 これは私が本作『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』をおすすめしたい最大の理由でもあります。アニゴジは内容的にも評価が賛否両論で、低評価をつけている方もかなり見かけました。もちろんその理由も分かります。ただそんな方にこそこのロべライズ版を読んで欲しいのです。

 はっきりと申し上げておきますと、このノベライズ版を読むと、『GODZILLA怪獣惑星』が全く別物に見えると思います。それくらいに衝撃度が大きい作品です。
 
 例えばですが、『GODZILLA怪獣惑星』に印象的に登場した43式艇ですが、この『GODZILLAプロジェクトメカゴジラ』の中でそのルーツが語られます。

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(C)2018 TOHO CO., LTD.

 どのような経緯で作成され、どのようにゴジラとの戦闘で用いられたのかなどが明らかにされます。これを知ってから映画版を見ると、もうあのゴジラを43式艇で誘導するシーンを見るだけで涙がこぼれそうです。

 他にも『GODZILLA 怪獣惑星』のあの衝撃のラストに対しての伏線と言いますか、布石も散りばめられているのが面白いです。前作の『GODZILLA怪獣黙示録』が怪獣が侵略してくる様を印象的に描いた一方で、本作はその最中における人間の物語にフォーカスしています。それが明らかになることで、映画版の終盤の展開に新たな謎と可能性が生まれます。

 そして何よりも申し上げておきたいのが、本作のラスト1行です。私はラスト1行を呼んでボロボロ涙をこぼしました。これを読んでから『GODZILLA怪獣惑星』を涙なしに見ることはもうできないだろうとも思いましたね。

 ぜひそのラスト1行を皆様自身の目で読んでください。

③『GODZILLA 決戦機動増殖都市』にももちろん繋がります。

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 本作『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』は時系列的には怪獣惑星の前日譚であり、怪獣黙示録の続編とも言える立ち位置にあります。ただタイトルのプロジェクトメカゴジラからもお察しの通りで、5月に公開される映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』にも深く繋がることでしょう。

 まずこのノベライズを読むことで、『決戦機動増殖都市』という謎めいたタイトルの意味がおぼろげながらではありますが、その輪郭を露わにします。特に「増殖」の2文字に関する物語が印象的に登場しますので、チェックしておいて欲しいです。

 他にも『GODZILLA 決戦機動増殖都市』の予告編を見ていると、このシーンってもしかして・・・?というニヤニヤが止まらなくなります。

 そして何より人類が、ビルサルドが、エクシフが、いつ、どんな経緯で、どこでメカゴジラの製作を行ったのか、絶滅が近づく人類たちにとってメカゴジラがどんな存在だったのか?そしてメカゴジラを2046年に喪失することとなった最大の理由が明かされます。

④『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』が描く人類の愚かな歴史

 人間という生き物は歴史上何度も同じ過ちを繰り返してきました。そして結局のところそれを一定周期で繰り返していくことでしょう。それは人類が滅亡するまで続く円環です。

 人類は自分たちが地球の支配者として君臨しているためにそもそも自分たちが滅亡するという可能性が最初から抜け落ちています。だからこそそんな究極の可能性など微塵も加味することなく、歴史を繰り返すのです。

 本作『GODZILLAプロジェクトメカゴジラ』が描いた人間の物語はまるで、人類がこれまで繰り返してきた歴史のトレースのようです。本作が描いた日本の描写はまさしく、世界情勢に疎く決められない政治で一向に前に進まない日本の現状を皮肉っています。他にも人類が戦争の惨禍の中で行ってきた過ちやそれ以上の愚行をどんどんと積み重ねていきます。

 人類を地球から排除したのは確かに怪獣であり、ゴジラだったのかも知れません。しかし人類を真に滅ぼしたものはなんだったのか?と考えた時に、それはおそらく人類自身なのです。

 ゴジラシリーズでは常に愚かな人間への神の啓示、神からの警鐘というような形でゴジラが現れます。またそんな人間たちの愚行の数々がメカゴジラのとある描写に深く関係していることは自明でしょう。

 『GODZILLA怪獣黙示録』がゴジラによって滅びゆく人類を描いた作品だったとすれば、本作『GODZILLAプロジェクトメカゴジラ』は人類が自ら滅んでいく様を描いた作品とも言えるでしょう。

⑤希望は絶望を生み、絶望が希望を生む。

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 人はずっと絶望の中にいると、次第にそれに慣れていき、やがて無感覚になっていきます。つまり絶望に慣らされて、絶望を感じなくなるのです。それがある種のニヒリズムと呼ばれる思想であり、絶望の中で虚無感に身を委ねることを意味しています。

 ただこれが最も大きな絶望なのかと問われると、それは違います。絶望をより一層強いものにするのは希望なんですよね。希望があるからこそ、絶望は一層残酷に心身を蝕むのです。

 映画『この世界の片隅に』で主人公のすずが戦争が終わった時に、地面に突っ伏して号泣するシーンがあります。まるでそれまでは入っていたスイッチが突然切れたかのようなこの号泣シーンは作品のハイライトの1つです。

 このシーンにも希望と絶望という言葉が色濃く関わっていると思います。この時代に日本の庶民は戦争のために厳しい生活を強いられていました。それでもすずさんは毎日を楽しみながら、懸命に生き続けます。彼女がそんな生活を続けられたのは、日本に正義があり、いつか日本が戦争に勝つだろうという希望があったからなんだと思います。


 だからこそそんな一縷の希望が崩れ去った時に、圧倒的な絶望に直面することになってしまったわけです。希望があるからこそそれが奪われた時の絶望感は人を死に向かわせます。

 本作『GODZILLAプロジェクトメカゴジラ』においては、タイトルからも分かる通りでそれがメカゴジラです。メカゴジラは人類総意の最後の希望なのです。

 またその一方で、絶望の中にあってそこに差し込む一筋の希望というのは、これまた計り知れない力をもたらしてくれます。これに関してはネタバレになるので、ここでは言及しません。

 希望の中の絶望、絶望の中の希望。その両者が描かれ、物語は『GODZILLA 決戦機動増殖都市』へと確かに繋がっていきます。

*ここからはネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。





*ここからはネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

〇考察:物語は『GODZILLA 決戦機動増殖都市』へ


(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 さて『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』を読んだ上で改めてこの映画の予告編を詳しく見ていきましょう。

・0:17~付近

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 地球に人類の末裔が残されていることが示唆されています。これはつまり『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』のラストで描かれたモスラの卵の運搬プロジェクトが成功し、人類はわずかながらではありますが、種の存続に成功したということではないでしょうか。

 そう考えるとアキラサカキが手記の中で最後に記したあの言葉が浮かんできて、おもわず涙が出てきます。人類は無事希望を繋いだのだと、確かめることが出来ます。

・0:22~

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 ここで「卵の唄」という言葉が登場しています。これはアキラサカキらが実行に移したモスラの卵運搬計画にも色濃く関わっているのだと思います。

 つまり人類の末裔はモスラを奉ることでなんとか生き延びてきたのではないでしょうか。だからこそ人類はモスラを讃え、「卵の歌」を歌うのでしょう。

・0:29~

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 これはおそらく2046年の富士決戦の際の、メカゴジラ格納施設の様子をとらえた映像なのでしょう。人類の最後の希望だったメカゴジラは愚かさを上書きする醜い人類のために起動してはくれませんでした。

・0:32~

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 この褐色の少女たちは『怪獣黙示録』ないし『プロジェクトメカゴジラ』で登場したモスラの巫女であるリラの末裔ということになるのでしょう。褐色の2人の巫女と言うと間違いなくモスラに関係してくるキャラクターです。人類が生き残った理由がモスラであることを仄めかすシーンです。

 このことによりかつてアキラサカキらが挑んだ決死の人類存続のための最後の作戦は功を奏していたということも同時に明らかになります。

・0:37~

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 ナノメタルはかつてビルサルド地球にもたらした物質で、数々の兵器やメカゴジラの製作の際に材料として用いられたと言います。

・0:53~

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 この辺りのシーンは非常に『プロジェクトメカゴジラ』を読んでおくと、見え方が変わるのではないでしょうか。このシーンではゴジラの熱線が乱反射して四方八方へと飛散しています。さてゴジラが一体どこに向かって熱線を放ったのかはこの映像では分かりかねます。

 しかしこの四方八方に飛び散る熱線が意味するのは、その先にモスラがいるということでしょうね。モスラがその金色の鱗粉でもってゴジラの熱線を退けているのです。

・1:19~

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(C)2018 TOHO CO., LTD. 映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』予告編より引用

 さてこの予告編のラストシーンですが、ゴジラが熱線を放出する際に体から放電していますよね。これはゴジラが何らかの理由で、体内に異変をきたしていることを表すサインです。ここに本作のゴジラの弱点が隠れているようにも思いますが、今のところまだ情報は少ないです。

・ちなみに

 劇場版の次回作のタイトルになっている『決戦機動増殖都市』の「増殖」が意味するのは、かつてガイガンに用いられた謎の技術ですよね。ガイガンは対ゴジラ用に人間に改造された怪獣でした。そしてどんな改造が施されたのかはわかりませんが、ゴジラに何度身体を吹き飛ばされてもその部位が無限に増殖して再生するという何とも気持ちの悪い機能を備えていました。

 もしかすると本作のメカゴジラはそんなガイガンで実験的に用いられた「増殖」機能を受け継いでいるのかも知れません。




〇おわりに

 『GODZILLAプロジェクトメカゴジラ』を読んで『GODZILLA 決戦機動増殖都市』がより一層楽しみになりました。そして何より前作『GODZILLA 怪獣惑星』の見え方が変わりました。

 ゴジラファンには嬉しい怪獣たちが登場する中で、人類が自らの手で人類を滅亡へと手引きしてしまった愚かさを正面から描き、そしてそこに宿る希望と絶望の物語を印象付けてくれました。

 とにかく映画の公開が待ちきれない思いです。

 皆さまぜひ『GODZILLA プロジェクトメカゴジラ』を読んで、5月の新作公開に備えましょう。

GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ (角川文庫)
大樹 連司(ニトロプラス)
KADOKAWA
2018-04-25



 今回も読んでくださった方ありがとうございました。



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