【ネタバレあり】『アイネクライネナハトムジーク』感想・解説:一期一会が紡ぐ恋愛群像劇

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね『アイネクライネナハトムジーク』についてお話していこうと思います。

ナガ
伊坂幸太郎先生の傑作群像劇がついに映画化ですか!!

今作を映画化するにあたって、斉藤和義さんが主題歌を担当しているというのがまた憎いんですよね。

というのも今作って斉藤和義さんが伊坂幸太郎さんに作詞の依頼をしたことで始まった企画なんですね。

彼が「恋愛をテーマにしたアルバムを作るので、『出会い』にあたる曲の歌詞を書いてくれないか」と依頼し、それに対して伊坂さんが「作詞はできないので小説を書くことならば」と回答し、本作の1つ目の短編『アイネクライネ』が生まれました。

そこから斉藤和義さんが『ベリーベリーストロング~アイネクライネ』という楽曲の製作をしました。

この曲の歌詞は、基本的に伊坂さんの著した短編『アイネクライネ』をベースにしています。

こういう不思議な交流があって、そして後に彼が構想を膨らませていき、1つの連作集というか恋愛群像劇のような作品として『アイネクライネナハトムジーク』が完成したというわけです。

こういう経緯があったということを知っておくと、本作の主題歌に斉藤和義さんが抜擢された必然性が分かると思います。

ナガ
ちなみに作品の中には意味深に「斎藤さん」というキャラクターが登場するんだよね(笑)

さて、今回はそんな伊坂さんの作品としては珍しい不思議な恋愛譚について書いていこうと思います。

本記事は作品のネタバレになるような内容を含む感想・解説記事となっております。

作品を未鑑賞の方はお気をつけください。

良かったら最後までお付き合いください。




『アイネクライネナハトムジーク』

あらすじ

佐藤は、先輩社員で奥さんに逃げられてしまった藤間さんの尻拭いで、夜の街で街頭アンケートをさせられていた。

そんな時、偶然1人の女性がアンケートに答えてくれることとなった。

彼女は、手にマジックで「シャンプー」と書いてあり、またケータイに『トイストーリー』に登場するバズライトイヤーのキーホルダーをつけた女性だった。

佐藤は、休日に友人の織田夫妻の家を訪れる。

彼らは「出会い」とは何かについて語り織田一真「いいか、後になって、『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ。」なんて語りだす。

そこでたまたま、友人の織田一真『トイストーリー』のDVDを勧められて鑑賞する。

思わずその映画にハマった彼は、インターネットで続編である『トイストーリー2』を注文し、1作目のDVDを織田家に返却する。

その折に、彼は一真の妻である由美からバズライトイヤーのキーホルダーをプレゼントされる。彼はそれを車に取りつける。

ある日の休日出勤をした帰り道、彼は道路工事に伴う渋滞に巻き込まれるのだが、そこでアンケートの時に出会った女性に再会する。

そして彼女は車の中に取りつけられたバズライトイヤーのキーホルダーに気がつき、2人は運命めいたものを感じる。

奥さんに逃げられた藤間、ボクサーの小野学、電話でしか話したことのない相手に好意を寄せる美奈子、たくさんの「1人」の小さな物語が繋がり、10年の軌跡を描き出す。

 

スタッフ・キャスト

スタッフ
  • 監督:今泉力哉
  • 原作:伊坂幸太郎
  • 脚本:鈴木謙一
  • 撮影:月永雄太
  • 照明:藤井勇
  • 編集:相良直一郎
  • 音楽:斉藤和義
  • 主題歌:斉藤和義
ナガ
この映画の脚本はとんでもなく難しい仕事でしょうね・・・。

まず、監督を務めたのは今泉力哉さんですね。

今年の4月に公開された『愛がなんだ』が大きな話題になり、今最も注目されている日本人映画監督の1人でしょう。

今作以降もドラマや映画の監督が次々に決まっており、映画ファンからの評価も高いですね。

そして『アイネクライネナハトムジーク』という独特な小説の映画脚本化を任されたのが、鈴木謙一さんです。

彼は『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』などこれまで伊坂幸太郎作品の映画化をたびたび手掛けてきた方です。

ナガ
この2本はかなり評判も良いですよね!

そういう背景もあり、伊坂さん流を知り尽くした人に脚本を任せたのかな?という印象を受けました。

今作は伊坂幸太郎作品の中でも特に、1つの映画にまとめようとすると難しい話なので、どういう風に改変して1つの群像劇として纏めるのかにも注目が集まります。

撮影には『南瓜とマヨネーズ』『長いお別れ』などにも参加した月永雄太さんが起用されました。

すごく人間の距離感を上手く映像で表現できる方だと思っているので、そういう意味でも今作のような人と人との「出会い」が紡ぐ物語を上手く撮ってくれるのではないかと期待しています。

その他にも『万引き家族』などで知られる照明の藤井勇さんや少女漫画原作映画の編集を数多く担当してきた相良直一郎さんが加わっています。

音楽と主題歌は冒頭にも書きましたが、斉藤和義さんが担当しています。

キャスト
  • 佐藤:三浦春馬
  • 本間紗季:多部未華子
  • 織田一真:矢本悠馬
  • 織田由美:森絵梨佳
  • 織田美緒:恒松祐里
  • ウィンストン小野:成田瑛基
  • 美奈子:貫地谷しほり
  • 藤間さん:原田泰造
ナガ
まさかの実写版『君に届け』コンビが再びですか!!

本作のメインキャラクターを演じたのがそれぞれ三浦春馬さんと多部未華子さんなんですが、2人が共演したことで有名なのが2010年公開の映画『君に届け』ですよね。

そういう意味でも、あれから9年の月日が流れたのかとしみじみ感慨深い気持ちになりますよね。

一真役には、コミカルな演技で映画に笑いを添える矢本悠馬さんが、そして彼の娘の美緒役には、『凪待ち』での演技も高く評価され、注目が集まる恒松祐里さんが起用されています。

また電話で声を聴いているだけの異性と長い間不思議な関係を続ける女性の美奈子を演じたのは貫地谷しほりさんです。

中堅キャストから気鋭の若手キャストまでもが集結し、非常に若い力を感じる映画になっていますね。

より詳しい情報を知りたいという方は、映画公式サイトへどうぞ!

ナガ
ぜひぜひ劇場でご覧ください!!



『アイネクライネナハトムジーク』感想・解説(ネタバレあり)

ポストボーイミーツガールの群像劇

(C)2019 映画「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会

伊坂幸太郎さんの作品で恋愛を主体として扱った作品って実はほとんどありません。というより唯一に近いのがこの『アイネクライネナハトムジーク』でしょう。

しかし、この本を読んでいて思うのは、これほど彼らしい恋愛小説はないだろうということでしょうか。

というのも私たちが恋愛に関する物語を描いてくださいと言われれば、大半の人が出会い~恋愛関係に至るまでの物語にスポットを当てるでしょう。

昨今、製作されている恋愛映画を見ていても、大半がそうですし、とりわけ学生時代や若い頃の恋愛譚を題材にしていることが圧倒的に多いのです。

ナガ
まあそりゃ当然なんだけどね・・・。

どう考えても、恋愛において一番劇的でドラマチックなのは「出会い」~「恋人関係」に至るまでに決まっているではないですか。

一番感情の動きがあって、双方に苦悩や葛藤があって、微妙な距離感に揺れ動いて、嫉妬や不安があって・・・。

誰だってラブストーリーを描いてくださいと言われれば、この1番盛り上がるパートを取り上げるに決まっているわけです。

ただ、伊坂幸太郎さんは敢えてそこにはスポットを当てないのです。

彼がスポットを当てたのは、確かに「出会い」ではあります。

しかし、彼が「出会い」を描いたのは、それから年月が経って、その劇的な「出会い」がどんな風に人の心の中で変化していくのかというプロセスを観察するためとも言えます。

だからこそ最初の短編である『アイネクライネ』の中で一真が言っていたこの一言は、まさしく作品のメインテーマとも言えます。

「いいか、後になって、『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ。」

(『アイネクライネナハトムジーク』より引用)

つまり伊坂幸太郎さんが描こうとしたのは、運命的な「出会い」というものがその瞬間にどんな刹那的な輝きを放っているかではなくて、5年、10年と年月を経った時、その「出会い」がどんな意味を持っていて、どんな輝きを放っているのかという部分なのです。

この作品の中では、様々な人の物語がオムニバス形式に近い形で語られていきます。

劇的な「出会い」をしたにもかかわらず数年後には離婚した男女もいたり、運命的な「出会い」で恋人関係になるも破局していたり、逆に結婚するに至りなんだかんだ関係が続いている男女もいたりします。

でも、本作において恋人関係が終わっているだとか、夫婦関係が終わってしまっているということがそれほど大きな影響を与えないのも面白い部分です。

というのも、今作が描きたいのは「出会い」というものが、その人の心にどう残っているかなのですから。

その点で、伊坂幸太郎さんが結婚に至り関係が続いている男女だけでなく、関係が終わってしまった男女にもスポットを当て、その2人にとってあの時の「出会い」が今どんな意味を持っているのか?といった視点で描こうとしたのは非常に面白いですよね。

ですので私は意外と邦彦と朱美の物語が結構好きなんです。

朱美がファミレスでバイトをしている時に、迷惑な客に絡まれ、その際に偶然店に居合わせていた邦彦が彼女に助け舟を出します。

その方法というのが、その迷惑客に寄り添うように、「彼女のお父さん誰だか知ってる?止めといた方が良いよ?」とうっすらと脅しをかけるという作戦でした。

2人はそのことがきっかけで恋人関係になるのですが、結局別れることとなってしまいました。

その後、2人はお互いに結婚し、邦彦はサラリーマンになり、朱美は教師になっていて、偶然にも彼の子供の担任になります。

そしてある時、彼の子供が校外でトラブルに巻き込まれた際に、朱美はかつて邦彦が自分を助けるために使った手法を用いて、助け船を出すのです。

その事件の解決後に、邦彦と朱美は再会して、ひと時の思い出話に花を咲かせます。

2人の関係は確かに終わってしまってはいるんですが、それでもあの不思議で劇的な「出会い」は2人の心の奥深くに刻まれていて、輝きを放ち続けているんだということが伺えるエピソードですよね。

5年後、10年後の心情で「ボーイミーツガール」の刹那を回顧するラブストーリーはあまりないように思いますし、そういう一見起伏の少なそうな物語に読み手を惹きつけてしまうのが伊坂幸太郎さんのすごさだと思いました。



群像劇としてのすばらしさ

(C)2019 映画「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会

伊坂幸太郎さんの作品の中で個人的に好きなのが、デビュー作の『オーデュボンの祈り』だったりします。

ファンタジー×ミステリというタッチの作品ではあるんですが、それほど劇的な謎解きがあるわけでもなく、結末でどんでん返しをしてくるようなタイプの作品でもありません。

ただ、少しずつ積み上げてきた小さなピースが終盤に一気にハマっていき、1つの物語として完成していく様がすごく美しい作品でもあるんです。

ナガ
この作品で既に伊坂作品における音楽というモチーフの重要性も示唆されていたね!

あとは、伊坂作品で意外と多いのが「復讐」を題材に扱った作品ですね。とりわけ『グラスホッパー』『マリアビートル』辺りはそれに該当する作品でしょう。

今作『アイネクライネナハトムジーク』は恋愛小説ということもあり、伊坂作品らしくないと言われることもあるんですが、細かく見ていくと実は彼らしさが散見される作品でもあります。

例えば、「音楽」というモチーフを作品におけるキーとして扱ってくるのは、やはり彼の作品の1つの特徴です。

『口笛吹いて歩こう、肩落してる友よ。いろんな事があるけど、空には星が綺麗』

流れてきたのはとても可愛らしいメロディで、どういう意図でそのフレーズが選ばれたのかも定かでないけど、わたしは気分が良くなり、それはほかの2人も同様だったようで、「じゃあ、行こうか」と歩き出し、示し合わせたように全員で、空に星があるかしら、と上を見た。

(『アイネクライネナハトムジーク』より引用)

この場面なんかは本当に「音楽」の使い方が大好きなんですよね。

何と言うか「音楽」って世界を変えるような力はないわけで、1つの楽曲で大勢の人を動かすような力はありません。

きっと心に響く楽曲って人によっても、その人の精神状態によっても大きく異なるのだと思います。

そういう音楽の性質を体現するのが今作における「斎藤さん」というキャラクターなわけですよ。

彼はその人の気持ちや精神状態に合わせた歌詞とメロディを届けることで、1歩踏み出せるように後押しをしてくれます。

「音楽」は世界を変えないけれども、1人の心を動かすことがあるかもしれないということとそして、その行動が連鎖的に誰かに影響を与えていくことで少しずつ世界が動いていくという様を今作は描いたわけです。

また、「復讐」という観点で見た時に、本書の中で登場する『メイクアップ』というエピソードは非常に面白いです。

学生時代にいじめられた少女が大人になり、そのいじめっ子の主犯格に「復讐」をする絶好の機会を得たにもかかわらず、結局は何もしなかったという内容なんです。

ただもしかすると「復讐」が達成できる運びになるかもしれないという含みも持たせたあたりが面白くて、このあたりが伊坂さんらしいとも言えます。

そして何と言っても本作の最後の短編である『ナハトムジーク』は群像劇の結末としてとんでもなく優れていると思います。

とにかく淡々と展開してきた様々な人間模様を、1つの物語に集約していくという作業を見事にこの短編でやってのけるのです。

19年前、9年前、現在をウィンストン小野のヘビー級タイトルマッチを軸にして繋いでいくという荒業を披露しているのですが、無理やり伏線を繋げているというより、様々な人の物語が自然に交わったというような味わいなので、わざとらしさを感じません。

加えて、本作が「出会い」を回顧する物語という性質を群像劇のフォーマットに落とし込んだことそのものも実はすごく興味深いと言えます。

というのも、私たちはこの『ナハトムジーク』において様々な人たちの物語の交錯を目にすることになるわけで、そうなった時に、彼らが出会ったからこそ、このささやかな奇跡が今起こっているんだということに気がつけるからです。

あの時に出会った2人がここで繋がってくるのか!という驚きもありつつですが、やはり泣けるのは、難聴のラウンドボーイの青年とウィンストン小野の物語ではないでしょうか。

子供の頃に公園で木を真っ二つに割って、耳が悪いならボクサーになれよ!と自分を勇気づけてくれたウィンストン小野の復活のタイトルマッチにて、今度は自分がラウンドカードを割って勇気づけようとするという演出にジーンときました。

何気ない人との出会いが実は自分の人生に大きな影響を与えることがあるわけでそう思うと、私たちの人生って無作為的に群像劇なんですよね・・・。

『オーデュボンの祈り』を思わせるような、あまり大きな起伏がある物語ではないのに、ラストで自然に物語のピースがハマり、1つの作品として綺麗に完成するという構成が本当に見事と言えます。



恋愛映画としては完璧な作りになった映画版

今回『アイネクライネナハトムジーク』の映画版を手掛けたのは、片思い映画のスペシャリストである今泉力哉監督です。

まず映画版を見ての、雑感なんですが、出来事のタイムラインが凄くシャープでかつ理路整然と整列されていたことですね。

ナガ
この点については一長一短だと思いました・・・。

伊坂さんの原作の群像劇としての面白さは、ここでこの2人が出会うのか!という物語が連結していくことの驚きにありました。

そのためかなり意図的に物語の時系列を行き来させていて、ざっくり分けると3つの時系列の物語が無作為的に語られます。

特に最後のエピソードである『ナハトムジーク』では3つの時系列が連続的に語られる構成になっており、ここで畳みかけるように散りばめられた伏線が繋がっていくのも見事でした。

映画版では、この混線した時系列を整理して一列に並べてあるので、そういう驚きみたいな感覚は無くなっていましたよね。

あとは、原作にはあった別れた恋人同士の「出会い」のエピソードが無くなっていたのが個人的には残念でした。

ナガ
個人的にはお気に入りだっただけに少し寂しい気持ちですかね・・・。

まあ、その役割を藤間というキャラクターがいることで、十分補完できますし、何より原田泰造さんの演技が凄まじくて、作品のすべての哀愁を1人で背負うかのような勢いだったので、カバーできていたと思っています。

このように群像劇的な構成の妙や別れた恋人同士の「出会い」についての視点は弱くなっていたのですが、そこにメインキャラクターである佐藤と紗季のエピソードがプラスされ、恋愛譚としての魅力は一気に増しました。

とりわけこの映画が憎たらしいのは、原作では群像劇的な構成の妙に陰を潜めていた、「出会い」に纏わるエモーショナルを全面に押し出しているところだと思うんです。

例えば、終盤のボクシングのシーンで講演で出会った少年が大人になり、彼を勇気づけるシーンなんてあからさまに原作より脚色してエモーショナルなエピソードに仕上げています。

また、佐藤が「小さな歌」を聞いて、自分が紗季と出会った日のことを思い出し、無性に彼女に会いたくなってバスを追いかけるシーンももちろんオリジナルです。

「出会い」がもたらす甘美な味わいが、彼らを勇気づけそして走らせるのです。

この映画が何より素晴らしいのは、観客に「こいつらが出会えて良かった・・・。」と自分のことのように思わせることができている点だと私は思っています。

そしてもちろん、その感情というのは劇中のキャラクターとリンクしています。

この映画がなぜこんなにもじんわりと心に沁みるのだろうと思っていたんですが、自分の「好き」を肯定してくれるからなんじゃないかって思うんです。

1人の人と長く恋愛関係にあると、必ず「なんでこの人と付き合ってるんだろ?」と考える瞬間が必ずあります。もちろん私自身も経験したことがあります。

そこで人間ってその壁を乗り越えるための何かを求めるんです。

告白することを自分で決断できずに、有名なボクサーが世界チャンピオンになれるかどうかにそれを委ねる高校生も作中では描かれました。

とりわけ自分の外部に何か、自分がこれからもその人と一緒にいることを肯定してくれる、後押ししてくれるきっかけを求めるんですね。

しかし、結局自分の外部にいくらその答えを求めたところでなかなか見つからないものです。

でもふと自分の内面を振り返ってみた時に、その人と出会った時のことを思い出すのです。

たいていの「出会い」はなんてことないものでしょう。それでも自分にとってその一瞬というのは特別で甘美な瞬間なんですよ。

ウィンストン小野は倒れて、ダウン寸前になりなったときに、かつて公園で出会い、自分が励ました少年の姿が見ました。

そして彼はその「好き」を背負って再び闘志を燃やします。ウィンストン小野は「出会い」を肯定するために戦うのです。

時が経って、他の人と出会っていたらなんて考えることは山ほどあります。

でも、ふと自分の横に座っている「あなた」を見て、この人で良かったかもと少しでも思えたなら、2人は山を乗り越えることができるのでしょう。

そういう「出会い」と「出会い」の限りなくこの先も続いていく円環の中の一部として『アイネクライネナハトムジーク』を位置づけた今泉監督の恋愛映画テラーとしての実力に唸るばかりです。

 

おわりに

いかがだったでしょうか。

今回は『アイネクライネナハトムジーク』についてお話してきました。

「出会い」というものを瞬間の感覚として捉えるというよりも、時が過ぎ1つの思い出になった「出会い」が人の心の中でどんな意味を持つのかにフォーカスする新しいボーイミーツガールとして非常に優れた恋愛小説だと思います。

また、一見すると全く関係のない人たちの物語を最後の『ナハトムジーク』で一気に繋げていくという構成がまた見事ですね。

ナガ
群像劇としても非常にハイレベルな作品だよね!

映画版はかなり原作とは違ったストーリーになっているかと思いますので、ぜひ原作と映画の両方を楽しんでみてはいかがでしょうか。

今回も読んでくださった方、ありがとうございました。

 

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