【ネタバレあり】『色づく世界の明日から』解説・考察:凪あすの篠原監督が紡ぐ美しきお伽噺

© 色づく世界の明日から製作委員会

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですねアニメ『色づく世界の明日から』について書いていこうと思います。

毎週本編の内容に関してネタバレを含む解説・考察を書いていこうと思います。

良かったら最後までお付き合いください。

『色づく世界の明日から』

あらすじ

物語の始まりは数十年後。

日常の中に小さな魔法が残るちょっと不思議な世界。

主人公の月白瞳美は17歳。魔法使い一族の末裔。

幼い頃に色覚を失い、感情の乏しい子になった。

そんな瞳美の将来を憂えた大魔法使いの祖母・月白琥珀は魔法で瞳美を2018年へ送り出す。

突然、見知らぬ場所に現れ戸惑う瞳美の視界に鮮烈な色彩が飛び込んでくる……。

アニメ『色づく世界の明日から』公式サイトより)

PV映像

スタッフ・キャスト

本作のアニメーション制作はP.A.WORKSですね。

当ブログ管理人は根っからのP.A.WORKS信者でございます。

良かったら『サクラクエスト』や『さよならの朝に約束の花をかざろう』の記事も読みに来てください。

参考:【ネタバレ】『サクラクエスト』感想:「奇跡」ではなく「軌跡」を描き切ったP.A.WORKSの真髄

参考:【ネタバレ】『さよならの朝の約束の花をかざろう』感想:P.A.WORKSの渾身のアンサームービーに涙が止まらない!

そして本作『色づく世界の明日から』の監督を務めるのは、篠原俊哉さんです。

彼の代表作と言えば、間違いなく『凪のあすから』になるでしょう。

ナガ
このアニメはいわば「伝説」だよね!!

アニメをリアルタイムで見ていた方はこの『凪のあすから』の伝説をご存じかと思います。

2クール放送だったのですが、1クール目は全く持って盛り上がらなかったんですよ。しかし、2クール目に入ったとたん物語が急展開し、一転して注目作へと変貌していったのです。

こんな盛り上がり方を見せたテレビアニメは他に類を見ません。

そして本作の主演を務めるのが石原夏織さんです。

ナガ
当ブログ管理人は石原さんが主演というだけで涙涙です・・・。

当ブログ管理人のいちばん好きな声優が石原さんなんですが、彼女はここのところ不遇でした。「ゆいかおり」という小倉唯とのユニットの解散があったり、あまりアニメでメインキャラクターとして起用されなくなるなど本当に苦しい時期を過ごされていたのではないかと推察しています。

ナガ
だからこそようやく!待望の!主演なんですよ!!

ちなみに石原さんは篠原監督の『凪のあすから』にも出演されていました。

最後に主題歌のご紹介です。

オープニングテーマはハルカトミユキさんの「17才」です。

そしてエンディングテーマはやなぎなぎさんの「未明の君と薄明の魔法」です。

やなぎなぎさんは同じく篠原涼子の『凪のあすから』でもエンディングテーマを担当されていました。

キャラクター(キャスト)

月白 瞳美(石原夏織

本作の主人公。幼い頃に世界から色を失ってしまった。魔法使いの血筋だが魔法が使えない。

月白 琥珀(本渡楓

瞳美の祖母。イギリスに魔法留学している。

葵 唯翔(千葉翔也

瞳美が過去に戻って最初に出会った青年。絵を描いており、彼の絵を見ると、瞳美の世界には色が取り戻される。

風野 あさぎ(市ノ瀬加那

高校2年生の女子生徒で、過去の南ヶ丘高校に瞳美が編入した際にクラスメイトになる。

川合 胡桃(東山奈央

山吹 将(前田誠二

深澤 千草(村瀬歩

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解説:色のない世界を色づける

まず、最初に「色のない世界を色づける」という本作『色づく世界の明日から』のコンセプトについて考えてみようと思います。

映画の世界にはパートカラーと呼ばれる手法があります。

これはモノクロの映像を基調としながらも、映像の一部分に着色し、際立たせるという演出です。

有名な作品で言うと、やはり『カラー・オブ・ハート』はパートカラーの代名詞とも言える映画でしょう。

この映画において、「色づくこと」は新しい価値観や考え方の到来を示しています。

新しい物事や感情を知ることで、世界がどんどんと色づいていくのですが、住人たちはその変化に戸惑い、「色づいたもの」を迫害するようになったりするんですよ。

「色づく世界」の変化に戸惑い、否定するのではなく、それを受け入れ、「色づいた世界」を美しく感じることができるようになれば、そこには幸せがあるんだよという思いがこの映画には溢れています。

他にも黒澤明監督の『天国と地獄』スティーブン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』なんかがこのパートカラーの手法を用いています。

『色づく世界の明日から』第1話の終盤で使われた演出もまさにパートカラーと呼ばれるものです。

© 色づく世界の明日から製作委員会

モノクロの世界の中で葵唯翔が描いた絵だけが色を有しているという事実。そしてそれを第1話のラストに持ってくるというセンス。

『シンドラーのリスト』がラストシーンにだけ赤色のパートカラーを用いたが如く、篠原監督は『色づく世界の明日から』の第1話のラストシーンでその演出を踏襲しています。

次に、同じくパートカラーを用いたMVの話をしてみましょう。

SEKAI NO OWARIという日本のミュージシャンの『SOS』という楽曲がこの手法を用いたMVを作成しています。

この楽曲の歌詞の肝となるのがこの部分です。

Don’t you let your heart grow numb to everyone
Oh child, listen to the “sound of silence”

(SEKAI NO OWARI『SOS』より引用)

「子供たち、心が無感覚にならないように、静寂に耳を澄ませて・・・。」

そんな思いが込められたこの一節。そして映像では色のない世界で、色を有した存在が際立っています。

モノクロの世界で唯一の「色づいた存在」であるこの生物はまるで世界から隔絶された存在でもあるようです。

しかし、誰かが彼の声に耳を澄まし、彼のSOSを聞き遂げることで救うことができ、そして世界が色づいていきます。

人と人との関わりが世界に色を付けていくのであり、そんな誰かの声なき声を聞き届けていくことが世界を変えていくのだという強い思いが込められたこのSOSの歌とMVには、本作『色づく世界の明日から』にもリンクする部分があるように思いました。

最後に森絵都さんの『colorful』という小説に触れてみたいと思います。

この小説は「色のない世界」を描いているのではありません。

「・・・いろんな絵の具を持っているんだ、きれいな色も、汚い色も。この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷っている。どれがほんとの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて。」

むしろ色に溢れた世界の中で、どの色を選んで生きれば良いのかが分からないという主題を扱っています。

きっと、『色づく世界の明日から』における瞳美の世界も、話数を重ねるごとに色づいていくんだと思いますが、その中で「色づくこと」への戸惑いや葛藤が当然描かれると思うんです。

そういう展開になった時にこの『カラフル』が描いたテーマというものが意味を有してくるのではないかと思っている次第です。

ときには目のくらむほどカラフルなあの世界。

あの極彩色の渦にもどろう。

あそこでみんなと一緒に色まみれになって生きていこう。

色の溢れる世界の中で生きることというのは、その中に自分の色を見つけ出すことや、特定の色に染まることではなくて、様々な色の中で何色にも染まりながら生きていくことなんだという鮮烈な思いがこの作品には込められています。

ここまでいくつか映画やMV、小説を絡めながら「色づくこと」について書いてみました。

ここからは各話の解説や考察を書いていくこととなります。

第1話「キミノイクベキトコロ」

© 色づく世界の明日から製作委員会

あらすじ

17才の高校生である月白瞳美は、祭りの夜に花火を見ていると突然祖母の琥珀から「17歳の自分に会いに行くように」告げられ、2018年へとタイムスリップします。

彼女は、南ヶ丘高校に通う高校生・葵唯翔の部屋で目覚めました。彼のガールフレンドだと勘違いされながらも当時の琥珀との同級生と対面します。

瞳美は琥珀の住む家を訪れますが、彼女はイギリスに留学中であることを知ります。彼女の家に居候することになった瞳美。

その翌日公園に出かけると、そこには葵唯翔の姿が。

その刹那、彼女の白黒の世界に葵唯翔の描く絵だけが色を有して現前したのでした。

解説:印象的な青色のモチーフを読む

第1話を見ていて、最も印象的だったのはやはり「青」色ではないでしょうか。

祖母の琥珀が瞳美を過去に戻すために用いたポーション。

花火が上がる夜空の色。

アズライトのイヤリング。

葵唯翔が来ているカーディガン。

極めて印象的に青のモチーフが取り入れられています。

青色というとまずは「世界」の色であると言えます。ガガーリンの名言に「地球は青かった」というものがありますが、この言葉の持つイメージにより、地球に住むあらゆる人にとって「青」は世界の色になったのです。

瞳美という少女は世界から色を失っています。言い換えると「世界の色」を失っています。

そう考えた時に、瞳美が落とした群青のアズライトのイヤリングを拾ったのが葵唯翔であり、彼が青色のカーディガンを着ていてかつ、青い夜空の絵を描いているという演出は重要です。

まだ第1話ですから、今度の展開は全く持って不明ですが彼が瞳美の「世界の色」を取り戻していく上で重要な存在になることが視覚的に仄めかされているのです。

そしてもう1つ重要なのが17才の頃の琥珀の髪の色は「青」色であるという設定です。これは主人公の瞳美の髪の色が白色であることと対比的に描かれているように思います。

過去のシーンで明確になるのですが、彼女の血筋は代々髪が青色で、歳をとると徐々に青色が薄くなる傾向にあるようです。

このコントラストが瞳美という少女が「世界の色」を失ったことを示すうえで一役買っているように感じました。

ここで少し趣向を変えてみましょう。

「青」という色には手を伸ばしても届かないものという意味合いがあるのです。

例えばノヴァーリスの「青い花」というお話をご存じでしょうか?

このロマン派を代表する小説において、青という色は「どんなに手を伸ばしても手に入らないものの表象」として登場していると考えられています。

「青」とは永遠の憧れであり、決して手に入れることは叶いません。いくら追い求めても幻想の産物の範疇を出ることはありません。

ちなみにこれを上手く映画に落とし込んでいるのがマークウェブ監督の『(500)日のサマー』です。

(C)2009 TWENTIETH CENTURY FOX

ヒロインのサマー演じる女優ズーイ・デシャネルが青色であったこともしばしば指摘されますが、劇中で彼女の来ている畏服は基本的に青基調ですし、彼女の部屋には青を想起させる絵画(セザンヌの「青い花瓶」)が飾られていたりします。

劇中で青い鳥が登場する(ポスターにも描かれている)のですが、これはメーテルリンクの『青い鳥』からの引用です。

しばしば、青い鳥は幸福の象徴だと解釈されるのですが、私はそうは思っておりません。さきほどご紹介したノヴァーリスの「青い花」と同じで、青い鳥もまた「どんなに手を伸ばしても届かない幸せ」を表しているんです。

だからこそメーテルリンクの「青い鳥」は、届かない幸せを追い求めるよりも、今自分が生きている現実に地に足をつけて生きていくしかないんだという意味合いが強いのではないかと考えています。

『色づく世界の明日から』の物語というのは篠原監督の作品ですから「恋愛青春」へと向かっていくことは間違いないのですが、瞳美は葵唯翔に惹かれていくも、彼が好きなのは琥珀だった、または過去に戻るリミットが来てしまい、結ばれないまま別れるなんて展開も想像することができます。

こんな想像が出来てしまうのは、『凪のあすから』で美海というキャラクターがいたからです。

彼女は光という青年に恋をするも、彼は他の女の子に思いを寄せていて、報われないまま終わってしまいます。

それでも彼女が最後に辿りついた答えは「人を好きになることはダメじゃない。」という言葉でした。

だからこそ私は『色づく世界の明日から』における瞳美の「世界の色」を取り戻すトリガーとなるのは「人を愛すること」だと思うんですね。

そして篠原監督は、恋愛が成就することだけが「人を愛すること」の意味に辿り着くことだとは考えていないと思います。『凪のあすから』におけるテーマの根幹を担う美海の恋が実らなかったのもまた作品において重要でした。

そう考えると、本作においては主人公の瞳美が失恋を経験し、「世界の色」を取り戻し、現在に戻るという展開もあり得るんじゃないかと思いました。

ナガ
P.A.WORKSくくりで言うと、『true tears』も「失恋」がキーになる作品だよね!

第1話のラストに美しい色の演出を見せてきたところがまた憎いですね。導入段階でありながら、その映像に完全に心を掴まれました。

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第2話「魔法なんて大キライ」

あらすじ

色づいた絵に興味を示した瞳美は唯翔に声をかけます。

すると彼は瞳美に家に突然現れた理由を尋ねる。瞳美は「魔法のせいだ。」と答えました。

家に戻ると、琥珀の母親の計らいで、彼女は高校に通うこととなります。

瞳美はクラスメートのあさぎと知り合い、彼女の紹介で胡桃や千草、将たちとも知り合うことになりました。

唯翔に魔法を使ってみてと求められた彼女は教室で魔法を披露するも、彼女にできるのはほんの小さな魔法でしかなく、周囲の野次馬たちは失望の色を露わにします。

胡桃に誘われた瞳美は写真部を見学することになります。

放課後、屋上を訪れた瞳美。そこいたのは絵を描いていた唯翔でした。

彼女は唯翔に「もう一度絵を見せて欲しい。」と頼みます。

解説:同じシチュエーションを違った視点で見せる巧さ

『色づく世界の明日から』の第2話。

やはり第1話に続いて演出力が圧倒的と言えます。

特に素晴らしいのが、瞳美が唯翔の絵を見て、自分の世界が色づくという全く同じシチュエーションを全く異なる視点から表現して見せたことです。

© 色づく世界の明日から製作委員会

このシーン注意して見ておかないと見逃してしまいそうなんですが、実は微妙に瞳の色が七色に変化しているんです。

彼女の世界が色づく様を第1話では彼女自身の視点で描いていたんですが、第2話では唯翔の視点から描いて見せました。

こういう「色」という作品のコンセプトをしっかりと活かす演出がやはり優れていますよね。

EDに登場した傘の意味とは?

実はEDに登場した傘にはすごく重要な意味が隠されている可能性があるということをご指摘してみたいと思います。

EDの映像を見ていただけると分かるんですが、雨が降って入て瞳美は透明な傘を持っています。

© 色づく世界の明日から製作委員会

しかしですよ、ED映像の後半になるとこの傘がこうなります。

© 色づく世界の明日から製作委員会

ナガ
傘が飛んで行ってしまったね!!

そうなんです。彼女が持っていた傘は飛ばされてしまいました。

これを見た時に皆さんはあのアニメのOP映像を思い出しませんか?

ナガ
まさか・・・『凪のあすから』!?

そうなんですよ。『凪のあすから』の2クール目のOPを見てみましょう。

©Project-118/凪のあすから製作委員会

これは最終話で流れたバージョンのOP映像からの引用です。

OP映像の冒頭では美海が赤い傘を持っています。しかし、OP映像の途中で彼女の傘は飛ばされてしまいます。

シリーズ終盤までこの傘が誰の手に渡るのかが明かされなかったんですが、これを受け取るのがまなかになります。

©Project-118/凪のあすから製作委員会

さて『凪のあすから』において主人公と結ばれたのは誰だったか覚えていますよね?

ナガ
あっ!まなかだよね!

そうなんです。つまり『凪のあすから』において傘が「メインヒロインの座」ないし「勝ちヒロインの座」を象徴的に表しているのではないかという指摘ができるんです。

そう考えてみると、『色づく世界の明日から』のED映像で飛ばされた傘も、第2話時点では誰の下へと飛んで行ったのかは不明ですが、これが琥珀の下へと飛んでいくのではないかという予測ができます。

そうなると本作においてやはり瞳美は失恋を経験することになるのではないかと推察できるわけですね。

さらに第3話のタイトルが『No Rain, No Rainbow』になっています。

ナガ
雨が降って、虹が出るということだね。

つまりですよ。やはり当ブログ管理人の本作の展開予想としては、こうなるんですよ。

  • 雨が降っている=モノクロの世界(色のない世界)
  • 傘が飛んでいく=失恋
  • 晴れ間が見え、虹が出る=世界が色づく

この推測が当たっているかどうかは不明ですが、傘というモチーフについて『凪のあすから』と関連付けて考えてみました。

第3話:No Rain, No Rainbow

あらすじ

瞳美は写真美術部に勧誘され、部活体験会を訪れた。

そして部活動勧誘イベントとして開催された撮影会に参加することとなります。

しかし、急なトラブルで瞳美は撮影モデルを担当することとなります。

彼女は「水色の砂」を使って、水の上を歩ける魔法を使うように指示されますが、色が見えないために誤って「ピンク色の砂」を使用して、雪を降らせてしまいます。

そんなトラブルが起こってしまったために、瞳美は何となく美術写真部のメンバーと顔を合わせづらくなります。

放課後、罰当番でプール掃除をする部員たち、そこに現れた瞳美。

お互いに思いを伝えあい、打ち解けたことで彼女は入部の意志を固めるのでした。

解説:いよいよはじまりの予感を漂わせる恋愛模様

本作『色づく世界の明日から』は『凪のあすから』同様の恋愛群像劇になると予想しています。

ナガ
第3話にてようやく恋愛の臭いがしてきたよね!

まず、ツンデレ女子オーラ全開の東山奈央さん演じる川合胡桃は、後輩の千草とフラグ立ちましたね!

© 色づく世界の明日から製作委員会

ナガ
そもそも千草が『凪のあすから』の要に似てるよね。

「胡桃先輩可愛いですよね。」という類の甘いセリフをサラッと言ってしまうあたりがもうそっくりですね。

そんなセリフを言われて、満更でもなさそうな胡桃も可愛いですね。

また、市ノ瀬加那さん演じる風野あさぎは部長の将にフラグ立ってますね。

© 色づく世界の明日から製作委員会

部長が瞳美を熱心に勧誘する様子を見て、少し複雑そうな表情をしていたのも印象的ですね。

奥手そうな彼女が今後どのようにして将に対してアプローチをかけていくのかも楽しみです。

現時点ではあまり『凪のあすから』のように恋愛関係がもつれる様子もないですが、男性キャラクター陣の思いのベクトルがどこに向いているのか次第で興味深い展開になってくるかもしれませんね。

第4話:『おばあちゃんはヤメテ!』

あらすじ

イギリス留学から戻ってきた琥珀は早速クラスで魔法を披露し、始末書を書かされるなど大暴れ。

放課後になり、瞳美と共に琥珀も写真美術部の活動に参加することとなる。

文化祭に向けた作品作りのために、瞳美たちは夜の学校で夜景を撮影する予定を立てる。

夜の学校で写真を撮影するなど̪し、楽しい時間を過ごす。

そんな中、瞳美は自分が60年後の未来から来たことを打ち明けるのだった。

解説:モノクロの世界で色を有したもの

今回の第4話で重要なセリフがあるとすれば、間違いなくこれです。

「モノクロ写真って水墨画と同じで、色彩がないぶん見ている人のイメージが広がる気がする。色が少ない方が大事なものがよく分かるのかもしれない。」

このセリフは、モノクロの世界において色を有している唯翔の絵のことを指しているようにも思えます。

白と黒の世界の中で唯一色を有している唯翔の絵ないし彼の存在が彼女にとって「大事なもの」であることが強調されているようです。

一方の唯翔は瞳美と琥珀をこう呼び分けました。

  • 瞳美=月白さん
  • 琥珀=琥珀

また夜の学校からの帰り道で琥珀は唯翔に対して「勘違いするかも、瞳美みたいな子は。」という言葉を残しています。

一方で、こう呼ばれた瞳美は少し寂しそうな目をしていました。

そう考えると琥珀の発言の意図というのは、唯翔が琥珀に何らかの好意があり、それがゆえに自分を「月白さん」と呼んでいるのではないかと瞳美が誤解してしまうのではないかという意味合いなのでしょう。

第4話時点で恋愛関係が表出し始めているのは胡桃、千草、あさぎの3人ですが、将は瞳美に惹かれるフラグを立てていますし、瞳美はやはり徐々に唯翔のことが好きになっていくんだと思います。

そうなると気になるのが琥珀の思いのベクトルです。

ナガ
後は琥珀の恋のベクトルが気になるよね。

そうなんですよ。第4話の中で瞳美は自分の祖父、つまり琥珀が結婚する相手についての記憶をきちんと持っているような素振りを見せていました。

高校生の時に、付き合っていた人とそのまま結婚するとは言い切れませんが、普通に考えて唯翔が「おじいちゃん」になるとは考えにくくなりましたよね。

そうなると琥珀の恋のベクトルは一体どこに向くのか?そもそも彼女の恋愛が本作の中で描かれるのかどうかすらも怪しくなってきた印象はあります。

何はともあれ、今後も目が離せない展開が続きそうです。

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第5話『ささやかなレシピ』

あらすじ

琥珀が加入することで新たになった魔法写真美術部が学校から認可され、琥珀の提案により懇親会をまほう屋で開くことになった。

ある日、琥珀は学校で占いを実施、その際に占いを受けたあさぎは将に対する恋愛運に関して良くない結果を聞いて落ち込む。

その内容は将が瞳美に好意を寄せるようになってしまい、自分の恋が成就しないことを示唆するものでした。

一方の瞳美は唯翔のために星砂(魔法を使うための道具)を作ることを決意し、苦心する。

考察:ゲーテの「色彩論」から読み解く青と黄色

© 色づく世界の明日から製作委員会

第1話を見た時に本作のキーカラーの1つは青であると踏んでいましたが、やはりその読みは間違っていなかったかな?と思っております。

皆さんはゲーテの「色彩論」ってご覧になったことがありますでしょうか?

色には多種多様な解釈がありますので、このゲーテの解釈が正しいとは言いません。

ただこの本の中で『色づく世界の明日から』において印象的に用いられている青色と黄色(金色)がとりわけピックアップされていることは指摘しておく必要があります。

金色は黄金色とも言われますが、黄色に光沢を足したものと言われています。

ゲーテはこの著書の中で黄色を光に一番近い色、青を闇に一番近い色と定義づけています。

これは曇りガラスを通じて白色光を見るという実験に基づいてゲーテが見つけ出した色彩感覚です。

そしてゲーテはこの青色と黄色という対照的な位置に存在している2色が互いに呼び求め合うことで様々な色を生み出し、色彩という概念を成立させるのだと指摘しています。

そんなゲーテが作り出した色の三原色が赤、青、黄色の3色だったんですね。彼はこれを赤を頂点としつつ青と黄を両端に据えた三角形で表現しました。

何と言っても面白いのが、ゲーテは青と黄色が互いに呼び求め合うことで生まれる色の最終形態として赤色を位置づけたんですよね。

赤は何と言っても生命や情熱、愛といったものを象徴するカラーと言えます。

本作の第1話で唯翔の青が印象的な絵から飛び出した黄色い(金色の)魚と、第5話の瞳美の青い星砂から飛び出した黄色い(金色の)魚は極めて1つの円環を閉じるかのように描かれています。

黄色と青色が混ざり合うことで2人の間に「赤い」感情を導き出していくのかも見どころといえるのかもしれません。

第6話『金色のサカナ』

あらすじ

唯翔は瞳美からもらった星砂を使う。すると突然金色の魚が現れた。

その魚は彼が小学生の時に初めて賞をもらった絵に描いたものだった。

ある日、魔法写真美術のメンバーはグラバー園に向かうことになる。

そこで瞳美の前に再び金色の魚が現れ、異世界へと誘います。

何と、そこは唯翔の絵の中の世界でした・・・。

考察:唯翔の絵の中の世界が意味するものとは?

今回の第6話で最も印象的なのは、やはり唯翔の精神世界の描写でしょう。

ここからは私の個人的な解釈を書いていこうと思います。

まず、金色の魚が象徴的に表しているのは、「唯翔の夢」なんじゃないかと考えています。

彼は、おそらくこの絵で入賞した時に、絵を描くことの楽しさを知り、将来は絵を描いて生きていきたいと純粋に夢見たんだと思います。

しかし、何らかの事情でその夢に挫折してしまい、絵に対しての意欲を喪失してしまったのでしょう。

それが彼の精神世界の中の色が混ざり合い黒く濁ってしまった池のような場所であり、そこを泳ぐ色を失った魚でもあります。

そんな彼の夢の墓場のような、色の滞留した池の中で網を持って、魚を捕ろうとしている人がいましたよね。

© 色づく世界の明日から製作委員会

私がこのシーンを見た時に、真っ先に思い出したのはヘミングウェイの『老人と海』です。

この作品において、巨大なカジキマグロは老人に夢や生きる意味を与える存在として登場します。

老人は巨大なカジキマグロと格闘する中で、不漁のために見失いかけていた自分自身の価値を再認識するのです。

そう考えると、精神世界中の黒い人間はおそらく唯翔自身なんだと思いますし、彼が自分が一度は捨ててしまった子供の頃の夢を諦めきれない思いの表出とも考えられますよね。

また、彼の精神世界中の魚が色を失ってしまっていることを鑑みると、彼にとっても瞳美は「色を与えてくれる存在」なんですよね。

彼が失いかけていた夢に(色を失った魚に)色を与えてくれるのは、他でもなく瞳美なのですから。

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第7話『ヴィーナスの重荷』

あらすじ

学校が夏休みに突入し、魔法写真美術部はキャンプ合宿をすることになります。

部活動も徐々に受験が迫る3年生から後輩へとシフトしていきます。

部長を任されたあさぎ。受験に行き詰る胡桃。

また、胡桃は自身の姉であり、パティシエの苺花から「自分の好きなことをやりなよ」と告げられ、したいことが見つからない自分との間のギャップに苦しむ。

そんな中でキャンプが始まり、それぞれの思いが交錯する。

解説:色と思春期の少年少女のアイデンティティ

日本語では、人の個性やアイデンティティのことを指して「色」と表現することがあります。

誰もが自分だけの「色」を探していますし、他の人と同じ「色」には染まりたくないと願っています。

そして特に思春期の時期というのは、自分の将来を決定する上でも大切な時期ですし、そのため否が応でも自分自身と向き合うことになります。

そうして自分には「色」がないと失望し、何とかして自分の「色」を見つけようと苦心し始めるわけです。

第7話において胡桃は、自分の「色」を確立した姉と自分を比べて卑下しています。

© 色づく世界の明日から製作委員会

自分には何もない、個性も、アイデンティティも。

そんな彼女を千草は全て包み込むかのように認めてあげます。

今のままで良い。いつかきっと自分の「色」を見つけられる。

瞳美という少女は確かに世界から「色」を失い、「色」を取り戻そうとしています。

しかし、そんな特殊な事情を抱えずとも、人は誰しも自分の「色」を探しています。

そう考えると、『色づく世界の明日から』という作品は、もっと広義に捉えられますし、自分の「色」を探し求め、惑う思春期の少年少女の物語と定義づけられるでしょう。

第8話『ほころびのカケラ』

あらすじ

秋が近づいているある日、琥珀は瞳美が「色を認識できない」謎を解明しようとしていた。

琥珀は唯翔を巻き込み、彼女に色が見えた時の日の状況を再現し、分析しようとする。

その一方で、彼女は「時を操る魔法」の練習を開始した。

練習を重ね、彼女は祖母のバラを蕾に戻すことに成功するが・・・。

考察:魔法とは「夢」であり、いつか解けるもの?

ナガ
第8話作画が怪しすぎません?(笑)

引きの画の時は、かなり人物造形が崩れてしまっている印象で、P.A.WORKSにしては珍しいなぁと思った次第です。(『SHIROBAKO』の時も所々怪しい回はありましたが・・・。)

さて、『色づく世界の明日から』第8話を鑑賞しまして、1番注目すべき点だと感じたのは、「魔法が儚い夢を提供するもの」であるという側面を強く打ち出した点ですよね。

琥珀は「時を操る魔法」をささやかながら使えるようになり、祖母のバラを蕾に戻したり、あさぎの故障したカメラを修理したりしていました。

しかし、その魔法はあくまでも一時的なもので、時間が経過すると解けてしまいます。

そう考えると、『色づく世界の明日から』における「魔法」というのは、ひと時の仮初めの幸せを提供できるにすぎないツールなのではないでしょうか。

それがラストシーンの琥珀の『魔法で人を幸せにするのは難しい。』という言葉にも繋がっているように思います。

つまり、魔法で一時的に「夢」のように幸せを提供したところで、それはいつか解けてしまい、結局は幸せを享受することは叶わないのかもしれないわけです。

そう考えると、未来の琥珀が瞳美にかけた時間魔法に関して、彼女が元の時間軸に戻る術を教えなかったのは、それが一定時間が経過すると解けてしまうものという点を知っているからなのではないでしょうか?

そして魔法というものの本質に気がつき始めた琥珀が、「この時間にずっといたい」と発言する瞳美を苦虫を噛み潰したような表情で見つめているのは、彼女の「夢」が解けた先にある不幸を想像してしまったからなのかもしれません。

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第9話『さまよう言葉』

あらすじ

将にもっと写真の撮影技術を身につけたいと相談する瞳美。

すると将は彼女に休日一緒に撮影しに行かないか?と誘いをかける。瞳美はそれに応じた。

その撮影デートの帰り道、将は瞳美に「付き合ってほしい。」と告白する。

突然に告白に戸惑った彼女はその場から逃げ出してしまう。

次の日の放課後、そんな彼女の心配をしたあさぎが声をかけるが、瞳美の相談から彼女が翔に告白されたことを悟ってしまうのだった・・・。

解説:「みんなを幸せにする魔法」とは真逆の現実

© 色づく世界の明日から製作委員会

『色づく世界の明日から』においてこれまで明かされてこなかったのが、瞳美しが魔法を使わない(嫌っていた)理由や彼女に色が見えない理由ですよね。

そしてそれに関して彼女は「誰かを不幸にするから」という口ぶりでした。

つまり過去に魔法を使ったことで誰かに不幸を招いてしまった経験があり、それが原因で世界から色が消えたり、魔法への嫌悪が生まれたりしたという風に考えられます。

それと対照的に描かれるのが琥珀ですよね。

彼女は魔法で「みんなを幸せにしたい」と語っており、そのために魔法の鍛錬を続けています。

そして前作の第8話で琥珀に突きつけられたのが「魔法で人を幸せにするのは難しい」という1つの確かな実感です。

第9話で瞳美が直面するのは「告白」という大きな壁です。

自分の気持ちに嘘はつけないし、断ることで相手を傷つけてしまう。

そんなジレンマに「誰も不幸にしたくない」という思いが強い瞳美が苦しむのは当然でしょう。

しかし、琥珀に諭されて彼女はきちんと正直に自分の思いを伝えることができました。

その一方で将の告白はあさぎの「不幸」を招いていました。

つまり第9話のラストで、瞳美は「自分のせいでまた誰かを不幸にしてしまった」という罪悪感めいた感情をフラッシュバックさせられてしまったことになります。

そうなると第10話・第11話辺りでそろそろ瞳美の身に何が起こったのかという過去は明かされてくるのではないでしょうか?

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2 件のコメント

  • 9話で初めてこの作品に触れました。物語の世界観を良く研究されており、とても参考になりました。

    • やすかわさんコメントありがとうございます!

      嬉しいお言葉です。残り数話ですが、作品の方も最後まで楽しんでください(^^)

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