【ネタバレあり】『色づく世界の明日から』解説・考察:凪あすの篠原監督が紡ぐ美しいファンタジー

© 色づく世界の明日から製作委員会

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですねアニメ『色づく世界の明日から』について書いていこうと思います。

毎週本編の内容に関してネタバレを含む解説・考察を書いていこうと思います。

良かったら最後までお付き合いください。

『色づく世界の明日から』

あらすじ

物語の始まりは数十年後。

日常の中に小さな魔法が残るちょっと不思議な世界。

主人公の月白瞳美は17歳。魔法使い一族の末裔。

幼い頃に色覚を失い、感情の乏しい子になった。

そんな瞳美の将来を憂えた大魔法使いの祖母・月白琥珀は魔法で瞳美を2018年へ送り出す。

突然、見知らぬ場所に現れ戸惑う瞳美の視界に鮮烈な色彩が飛び込んでくる……。

アニメ『色づく世界の明日から』公式サイトより)

PV映像

スタッフ・キャスト

本作のアニメーション制作はP.A.WORKSですね。

当ブログ管理人は根っからのP.A.WORKS信者でございます。

良かったら『サクラクエスト』や『さよならの朝に約束の花をかざろう』の記事も読みに来てください。

参考:【ネタバレ】『サクラクエスト』感想:「奇跡」ではなく「軌跡」を描き切ったP.A.WORKSの真髄

参考:【ネタバレ】『さよならの朝の約束の花をかざろう』感想:P.A.WORKSの渾身のアンサームービーに涙が止まらない!

そして本作『色づく世界の明日から』の監督を務めるのは、篠原俊哉さんです。

彼の代表作と言えば、間違いなく『凪のあすから』になるでしょう。

ナガ
このアニメはいわば「伝説」だよね!!

アニメをリアルタイムで見ていた方はこの『凪のあすから』の伝説をご存じかと思います。

2クール放送だったのですが、1クール目は全く持って盛り上がらなかったんですよ。しかし、2クール目に入ったとたん物語が急展開し、一転して注目作へと変貌していったのです。

こんな盛り上がり方を見せたテレビアニメは他に類を見ません。

そして本作の主演を務めるのが石原夏織さんです。

ナガ
当ブログ管理人は石原さんが主演というだけで涙涙です・・・。

当ブログ管理人のいちばん好きな声優が石原さんなんですが、彼女はここのところ不遇でした。「ゆいかおり」という小倉唯とのユニットの解散があったり、あまりアニメでメインキャラクターとして起用されなくなるなど本当に苦しい時期を過ごされていたのではないかと推察しています。

ナガ
だからこそようやく!待望の!主演なんですよ!!

ちなみに石原さんは篠原監督の『凪のあすから』にも出演されていました。

最後に主題歌のご紹介です。

オープニングテーマはハルカトミユキさんの「17才」です。

そしてエンディングテーマはやなぎなぎさんの「未明の君と薄明の魔法」です。

やなぎなぎさんは同じく篠原涼子の『凪のあすから』でもエンディングテーマを担当されていました。

キャラクター(キャスト)

月白 瞳美(石原夏織

本作の主人公。幼い頃に世界から色を失ってしまった。魔法使いの血筋だが魔法が使えない。

月白 琥珀(本渡楓

瞳美の祖母。イギリスに魔法留学している。

葵 唯翔(千葉翔也

瞳美が過去に戻って最初に出会った青年。絵を描いており、彼の絵を見ると、瞳美の世界には色が取り戻される。

風野 あさぎ(市ノ瀬加那

高校2年生の女子生徒で、過去の南ヶ丘高校に瞳美が編入した際にクラスメイトになる。

川合 胡桃(東山奈央

山吹 将(前田誠二

深澤 千草(村瀬歩

解説:色のない世界を色づける

まず、最初に「色のない世界を色づける」という本作『色づく世界の明日から』のコンセプトについて考えてみようと思います。

映画の世界にはパートカラーと呼ばれる手法があります。

これはモノクロの映像を基調としながらも、映像の一部分に着色し、際立たせるという演出です。

有名な作品で言うと、やはり『カラー・オブ・ハート』はパートカラーの代名詞とも言える映画でしょう。

この映画において、「色づくこと」は新しい価値観や考え方の到来を示しています。

新しい物事や感情を知ることで、世界がどんどんと色づいていくのですが、住人たちはその変化に戸惑い、「色づいたもの」を迫害するようになったりするんですよ。

「色づく世界」の変化に戸惑い、否定するのではなく、それを受け入れ、「色づいた世界」を美しく感じることができるようになれば、そこには幸せがあるんだよという思いがこの映画には溢れています。

他にも黒澤明監督の『天国と地獄』スティーブン・スピルバーグ監督の『シンドラーのリスト』なんかがこのパートカラーの手法を用いています。

『色づく世界の明日から』第1話の終盤で使われた演出もまさにパートカラーと呼ばれるものです。

© 色づく世界の明日から製作委員会

モノクロの世界の中で葵唯翔が描いた絵だけが色を有しているという事実。そしてそれを第1話のラストに持ってくるというセンス。

『シンドラーのリスト』がラストシーンにだけ赤色のパートカラーを用いたが如く、篠原監督は『色づく世界の明日から』の第1話のラストシーンでその演出を踏襲しています。

次に、同じくパートカラーを用いたMVの話をしてみましょう。

SEKAI NO OWARIという日本のミュージシャンの『SOS』という楽曲がこの手法を用いたMVを作成しています。

この楽曲の歌詞の肝となるのがこの部分です。

Don’t you let your heart grow numb to everyone
Oh child, listen to the “sound of silence”

(SEKAI NO OWARI『SOS』より引用)

「子供たち、心が無感覚にならないように、静寂に耳を澄ませて・・・。」

そんな思いが込められたこの一節。そして映像では色のない世界で、色を有した存在が際立っています。

モノクロの世界で唯一の「色づいた存在」であるこの生物はまるで世界から隔絶された存在でもあるようです。

しかし、誰かが彼の声に耳を澄まし、彼のSOSを聞き遂げることで救うことができ、そして世界が色づいていきます。

人と人との関わりが世界に色を付けていくのであり、そんな誰かの声なき声を聞き届けていくことが世界を変えていくのだという強い思いが込められたこのSOSの歌とMVには、本作『色づく世界の明日から』にもリンクする部分があるように思いました。

最後に森絵都さんの『colorful』という小説に触れてみたいと思います。

この小説は「色のない世界」を描いているのではありません。

「・・・いろんな絵の具を持っているんだ、きれいな色も、汚い色も。この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷っている。どれがほんとの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて。」

むしろ色に溢れた世界の中で、どの色を選んで生きれば良いのかが分からないという主題を扱っています。

きっと、『色づく世界の明日から』における瞳美の世界も、話数を重ねるごとに色づいていくんだと思いますが、その中で「色づくこと」への戸惑いや葛藤が当然描かれると思うんです。

そういう展開になった時にこの『カラフル』が描いたテーマというものが意味を有してくるのではないかと思っている次第です。

ときには目のくらむほどカラフルなあの世界。

あの極彩色の渦にもどろう。

あそこでみんなと一緒に色まみれになって生きていこう。

色の溢れる世界の中で生きることというのは、その中に自分の色を見つけ出すことや、特定の色に染まることではなくて、様々な色の中で何色にも染まりながら生きていくことなんだという鮮烈な思いがこの作品には込められています。

ここまでいくつか映画やMV、小説を絡めながら「色づくこと」について書いてみました。

ここからは各話の解説や考察を書いていくこととなります。

第1話「キミノイクベキトコロ」

© 色づく世界の明日から製作委員会

あらすじ

17才の高校生である月白瞳美は、祭りの夜に花火を見ていると突然祖母の琥珀から「17歳の自分に会いに行くように」告げられ、2018年へとタイムスリップします。

彼女は、南ヶ丘高校に通う高校生・葵唯翔の部屋で目覚めました。彼のガールフレンドだと勘違いされながらも当時の琥珀との同級生と対面します。

瞳美は琥珀の住む家を訪れますが、彼女はイギリスに留学中であることを知ります。彼女の家に居候することになった瞳美。

その翌日公園に出かけると、そこには葵唯翔の姿が。

その刹那、彼女の白黒の世界に葵唯翔の描く絵だけが色を有して現前したのでした。

解説:印象的な青色のモチーフを読む

第1話を見ていて、最も印象的だったのはやはり「青」色ではないでしょうか。

祖母の琥珀が瞳美を過去に戻すために用いたポーション。

花火が上がる夜空の色。

アズライトのイヤリング。

葵唯翔が来ているカーディガン。

極めて印象的に青のモチーフが取り入れられています。

青色というとまずは「世界」の色であると言えます。ガガーリンの名言に「地球は青かった」というものがありますが、この言葉の持つイメージにより、地球に住むあらゆる人にとって「青」は世界の色になったのです。

瞳美という少女は世界から色を失っています。言い換えると「世界の色」を失っています。

そう考えた時に、瞳美が落とした群青のアズライトのイヤリングを拾ったのが葵唯翔であり、彼が青色のカーディガンを着ていてかつ、青い夜空の絵を描いているという演出は重要です。

まだ第1話ですから、今度の展開は全く持って不明ですが彼が瞳美の「世界の色」を取り戻していく上で重要な存在になることが視覚的に仄めかされているのです。

そしてもう1つ重要なのが17才の頃の琥珀の髪の色は「青」色であるという設定です。これは主人公の瞳美の髪の色が白色であることと対比的に描かれているように思います。

過去のシーンで明確になるのですが、彼女の血筋は代々髪が青色で、歳をとると徐々に青色が薄くなる傾向にあるようです。

このコントラストが瞳美という少女が「世界の色」を失ったことを示すうえで一役買っているように感じました。

ここで少し趣向を変えてみましょう。

「青」という色には手を伸ばしても届かないものという意味合いがあるのです。

例えばノヴァーリスの「青い花」というお話をご存じでしょうか?

このロマン派を代表する小説において、青という色は「どんなに手を伸ばしても手に入らないものの表象」として登場していると考えられています。

「青」とは永遠の憧れであり、決して手に入れることは叶いません。いくら追い求めても幻想の産物の範疇を出ることはありません。

ちなみにこれを上手く映画に落とし込んでいるのがマークウェブ監督の『(500)日のサマー』です。

(C)2009 TWENTIETH CENTURY FOX

ヒロインのサマー演じる女優ズーイ・デシャネルが青色であったこともしばしば指摘されますが、劇中で彼女の来ている畏服は基本的に青基調ですし、彼女の部屋には青を想起させる絵画(セザンヌの「青い花瓶」)が飾られていたりします。

劇中で青い鳥が登場する(ポスターにも描かれている)のですが、これはメーテルリンクの『青い鳥』からの引用です。

しばしば、青い鳥は幸福の象徴だと解釈されるのですが、私はそうは思っておりません。さきほどご紹介したノヴァーリスの「青い花」と同じで、青い鳥もまた「どんなに手を伸ばしても届かない幸せ」を表しているんです。

だからこそメーテルリンクの「青い鳥」は、届かない幸せを追い求めるよりも、今自分が生きている現実に地に足をつけて生きていくしかないんだという意味合いが強いのではないかと考えています。

『色づく世界の明日から』の物語というのは篠原監督の作品ですから「恋愛青春」へと向かっていくことは間違いないのですが、瞳美は葵唯翔に惹かれていくも、彼が好きなのは琥珀だった、または過去に戻るリミットが来てしまい、結ばれないまま別れるなんて展開も想像することができます。

こんな想像が出来てしまうのは、『凪のあすから』で美海というキャラクターがいたからです。

彼女は光という青年に恋をするも、彼は他の女の子に思いを寄せていて、報われないまま終わってしまいます。

それでも彼女が最後に辿りついた答えは「人を好きになることはダメじゃない。」という言葉でした。

だからこそ私は『色づく世界の明日から』における瞳美の「世界の色」を取り戻すトリガーとなるのは「人を愛すること」だと思うんですね。

そして篠原監督は、恋愛が成就することだけが「人を愛すること」の意味に辿り着くことだとは考えていないと思います。『凪のあすから』におけるテーマの根幹を担う美海の恋が実らなかったのもまた作品において重要でした。

そう考えると、本作においては主人公の瞳美が失恋を経験し、「世界の色」を取り戻し、現在に戻るという展開もあり得るんじゃないかと思いました。

ナガ
P.A.WORKSくくりで言うと、『true tears』も「失恋」がキーになる作品だよね!

第1話のラストに美しい色の演出を見せてきたところがまた憎いですね。導入段階でありながら、その映像に完全に心を掴まれました。

第2話「魔法なんて大キライ」

あらすじ

色づいた絵に興味を示した瞳美は唯翔に声をかけます。

すると彼は瞳美に家に突然現れた理由を尋ねる。瞳美は「魔法のせいだ。」と答えました。

家に戻ると、琥珀の母親の計らいで、彼女は高校に通うこととなります。

瞳美はクラスメートのあさぎと知り合い、彼女の紹介で胡桃や千草、将たちとも知り合うことになりました。

唯翔に魔法を使ってみてと求められた彼女は教室で魔法を披露するも、彼女にできるのはほんの小さな魔法でしかなく、周囲の野次馬たちは失望の色を露わにします。

胡桃に誘われた瞳美は写真部を見学することになります。

放課後、屋上を訪れた瞳美。そこいたのは絵を描いていた唯翔でした。

彼女は唯翔に「もう一度絵を見せて欲しい。」と頼みます。

解説:同じシチュエーションを違った視点で見せる巧さ

『色づく世界の明日から』の第2話。

やはり第1話に続いて演出力が圧倒的と言えます。

特に素晴らしいのが、瞳美が唯翔の絵を見て、自分の世界が色づくという全く同じシチュエーションを全く異なる視点から表現して見せたことです。

© 色づく世界の明日から製作委員会

このシーン注意して見ておかないと見逃してしまいそうなんですが、実は微妙に瞳の色が七色に変化しているんです。

彼女の世界が色づく様を第1話では彼女自身の視点で描いていたんですが、第2話では唯翔の視点から描いて見せました。

こういう「色」という作品のコンセプトをしっかりと活かす演出がやはり優れていますよね。

EDに登場した傘の意味とは?

実はEDに登場した傘にはすごく重要な意味が隠されている可能性があるということをご指摘してみたいと思います。

EDの映像を見ていただけると分かるんですが、雨が降って入て瞳美は透明な傘を持っています。

© 色づく世界の明日から製作委員会

しかしですよ、ED映像の後半になるとこの傘がこうなります。

© 色づく世界の明日から製作委員会

ナガ
傘が飛んで行ってしまったね!!

そうなんです。彼女が持っていた傘は飛ばされてしまいました。

これを見た時に皆さんはあのアニメのOP映像を思い出しませんか?

ナガ
まさか・・・『凪のあすから』!?

そうなんですよ。『凪のあすから』の2クール目のOPを見てみましょう。

©Project-118/凪のあすから製作委員会

これは最終話で流れたバージョンのOP映像からの引用です。

OP映像の冒頭では美海が赤い傘を持っています。しかし、OP映像の途中で彼女の傘は飛ばされてしまいます。

シリーズ終盤までこの傘が誰の手に渡るのかが明かされなかったんですが、これを受け取るのがまなかになります。

©Project-118/凪のあすから製作委員会

さて『凪のあすから』において主人公と結ばれたのは誰だったか覚えていますよね?

ナガ
あっ!まなかだよね!

そうなんです。つまり『凪のあすから』において傘が「メインヒロインの座」ないし「勝ちヒロインの座」を象徴的に表しているのではないかという指摘ができるんです。

そう考えてみると、『色づく世界の明日から』のED映像で飛ばされた傘も、第2話時点では誰の下へと飛んで行ったのかは不明ですが、これが琥珀の下へと飛んでいくのではないかという予測ができます。

そうなると本作においてやはり瞳美は失恋を経験することになるのではないかと推察できるわけですね。

さらに第3話のタイトルが『No Rain, No Rainbow』になっています。

ナガ
雨が降って、虹が出るということだね。

つまりですよ。やはり当ブログ管理人の本作の展開予想としては、こうなるんですよ。

  • 雨が降っている=モノクロの世界(色のない世界)
  • 傘が飛んでいく=失恋
  • 晴れ間が見え、虹が出る=世界が色づく

この推測が当たっているかどうかは不明ですが、傘というモチーフについて『凪のあすから』と関連付けて考えてみました。

第3話:No Rain, No Rainbow

第3話放送後に追記予定です。

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