【ネタバレ・解説】「響け!ユーフォニアム:北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章:後編」:吉川優子の肖像と希美とみぞれの青春

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね、「響け!ユーフォニアム:北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章:後編」が発売されましたので、その感想等を書いていきたいと思います。

 記事の都合上、ネタバレになるような内容を含みますので、ご注意ください。

良かったら最後までお付き合いください。




前編の記事をおさらい

前編に関しても当ブログで2つほど記事を投稿させていただきました。まずその内容を簡単にではありますが、ご紹介させてください。詳しくはリンクからどうぞ。

夏紀や友恵、葉月たちは前年度のコンクールメンバーには選ばれず、悔しい思いをしました。そんな彼女たちがどんな思いで、努力を続けてきたのか?そしてそれぞれが1年後のコンクールオーディションに際して手にした結果はどうなったのか?そこに生まれたドラマと共に解説しました。



みぞれと希美の関係性がこれまでどのような変遷を遂げてきたのかを解説するとともに、後編において2人の関係性がどのように帰結するのか自分なりに考察してみました。リズが希美、青い鳥がみぞれであると読みかえて、考えています。

「リズと青い鳥」の物語、その帰結

前編に関する記事で、私は次のような考察をしました。

リズは希美、青い鳥はみぞれのことを指していて、希美はみぞれの幸せを願って、彼女を音楽の世界へと羽ばたかせようとしているのではないでしょうか?希美が音大に進学すると発言したのは、のぞみに音大進学を決心させるためなのではないでしょうか?

後編を読んでみると、この考察はあながち間違ったものではなかったように感じました。しかし、私が考えていたよりもずっと希美がみぞれに抱いていた感情は得体の知れないものだったんですよね。そこまではさすがに読み取り切れませんでした。

前編のエピローグで、みぞれが新山先生に音大を紹介されたことを希美に告げるシーンがありました。その音大というのは新山先生や瀧先生が通っていた非常にレベルの高い音大だったわけです。そしてそれを聞いた、希美は少し動揺したそぶりを見せ、その後に自分はこの音大に進学するとみぞれに告げました。みぞれもそれに続きました。

ここで、希美が音大に行くと告げたのは、みぞれに音大に行く決心をさせるためだと考えていました。希美は、自分が音大に行くと告げれば、みぞれも自分に続くということを悟った上で、この発言をしたのだろうと思いました。

しかし、この発言をした希美の真意というものは実は他にあったんですよね。

希美がみぞれに対してい抱いていたのは、嫉妬、眺望、屈辱・・・。そういったどす黒い感情だったんですよね。

それは希美がみぞれのことを嫌っているということを意味しているのではありません。ただ、みぞれの音楽的センスに強く嫉妬していたのです。

そもそもみぞれが音楽を始めたきっかけというのは、希美が中学時代に孤立していた彼女に声をかけたことですよね。その頃から希美は音楽に真剣でした。一方で、みぞれはと言いますと、希美との繋がりのために音楽を続けていたわけです。

しかし才能というものは残酷なもので、音楽に懸命だった希美には微笑んでくれませんでした。代わりに、彼女に続く形で音楽を始めたみぞれには、天賦の才能が備わっていました。しかし、みぞれは自分がそんな演奏をしてしまえば、希美が離れていってしまうことを危惧していました。だからこそ希美のレベルに合わせた形で演奏をしていたんです。

一見、他人の感情に鈍そうな希美ですが、彼女はそんなみぞれのことを全て分かっていたのだと思います。彼女には音楽の才能があることも、彼女が自分に合わせて手を抜いた演奏をしていることも。でも、音楽に真剣に向き合ってきたのは、自分の方なのになぜ音楽の神は彼女に微笑むのか?

 希美はそんな嫉妬と屈辱の感情でいっぱいだったのだと思います。だからこそ、前編のエピローグで彼女は自分は音大に進学すると発言したのです。これは、みぞれのための発言ではなくて、自分のための発言でした。全ては自分の小さなプライドを守るためだったのです。

そして関西大会に向けた激しい練習の最中で、みぞれは自分の才能を開花させました。というよりもこれまで出し惜しんできた才能をこれでもかというほどに見せつけました。それは全部員を圧倒するほどの美しい演奏技術でした。

よく考えて見て欲しいのです。みぞれはかつて希美が退部してからも吹奏楽部に留まり続け、演奏技術を磨き続けました。確かに音楽が希美との繋がりだったからというのは一つの理由です。ですが、おそらくみぞれにとって音楽というものは既に手放せないくらい大きなものになっていたのだと思います。そして彼女自身の努力の研鑽の帰結が、あの演奏技術なのです。

みぞれはとっくに自分の道を見出していたんだと思います。でも希美の存在があまりにも大きすぎたのです。だからこそ、希美から離れる事ができなかったのだと思います。

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©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用

しかしみぞれは、自分が希美に押し付けていた期待が彼女を苦しめていたことにも薄々気づいていました。でも、ぎこちないなりにも希美と一緒に居られるささやかな幸せを手放したくなかったのです。

 それでも最後には、みぞれは自分の道を進む決心をしました。それは、希美が別の進路を目指すことを受け入れ、そして音大に進学することを自分の選択として受け入れることでした。

「リズと青い鳥」の物語は一貫してリズの視点から描かれていました。リズが青い鳥の幸せを願って大空へと放つことでこの物語は帰結しました。

 一方でみぞれと希美の物語は、青い鳥の視点から結末を迎えました。青い鳥がリズの幸せを願って、リズの選択を尊重して別れを告げるのです。

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©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用

「リズと青い鳥」の物語は、その形を変えて、2人の幸せへ向かって帰結したのです。

吉川優子の肖像

吉川優子と言うと、新3年生で北宇治高校吹奏楽部の部長を務めるキャラクターです。

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©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用

私は、正直あんまり好きなタイプのキャラクターではなかったんですよ。中瀬古先輩と麗奈のトランペットソロ問題でも自分の意見を主張して、問題をややこしくした印象があります。

ただ、芯の通った人物で、後輩の面倒見も良いので、彼女が部長に選ばれることには何の疑問もありませんでした。

そんな彼女が、どのように部長としての責を果たすのだろうか?と言う点は個人的にも第二楽章の注目ポイントの1つでした。

吉川優子は1年の時、そして2年の時にも部内で人間関係やその他の問題がごたついて、部内の雰囲気がピリピリしていたのを間近で見てきたんですよね。だからこそ、彼女は後輩たちにそんな思いをさせたくなかったわけです。

できるだけ部員たちに負担になるようなことを避け、部内が丸く収まるように努めてきたわけです。でも、その分彼女は一人で多くのものを背負い込んでしまったんですよね。部内の問題を全て自分で抱え込んで、収拾をつけようとしました。その結果、合宿で彼女は体調を崩してしまいます。

そして、迎えた関西大会で北宇治高校吹奏楽部は「ダメ金」という結果に終わってしまいます。そこでも優子は、毅然とした態度で部員たちの前で振る舞っていました。

しかし、裏の通路で彼女は一人泣いていました。決して人前には見せなかった苦悩。彼女がいかに多くのことを背負い込んできたのかが分かる描写でした。また、同時に今までの自分のやり方に一抹の公開をも感じていたのだと思います。

そして、彼女は部長として最後にトランペットファースト問題の解決とアンサンブルコンサート出場への準備に着手しました。それは自分が今までしてきた部内の人間関係を丸く収めるというやり方が間違っていたと感じたからでしょう。

しかし、マネージャーを務めた友恵はそんな彼女のやり方は間違っていなかった、北宇治高校の演奏は素晴らしかったと純粋な称賛を贈ります。この言葉を聞いた優子は人目をはばからず号泣したのでした。

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©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム」より引用

 コンクールの結果だけで見るならば、彼女の部長としてのやり方は間違っていたと言えるかもしれません。しかし、北宇治高校吹奏楽部が関西大会の舞台で感じた熱気は、拍手は、称賛は全て本物であり、彼女たちが歩んできた道が何一つ間違っていなかったことを示していました。

そして、それを伝えてくれた戦友の言葉に、彼女は安堵したのでしょう。自分がしてきたことは何一つ間違っていなかったんだと。

 2年生の時の吉川優子というキャラクターを見ていて、彼女がここまで懐の深い人物だとは思いもしませんでした。この第二楽章で、一番成長したキャラクターは間違いなく吉川優子だと自信をもって断言できます。

おわりに

「響け!ユーフォニアム:北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章:後編」を読んでいて、もう終盤は涙の大粒が目からこぼれて止まらなくなってしまいました。

特に「響け!ユーフォニアム」シリーズ開始時点で2年生だった優子や夏紀といったメンバーたちが、それぞれの成長を実感しながら、部を去っていくという王道ながらも熱すぎる展開にただただ感激しました。

コンクールでは、残念な結果にはなりました。しかし、終盤で見せる彼女たちの満ち足りた様子は、1年間の部活動の充実と最高の演奏をやりきったという達成感からくるものだったと思います。

こうして、波乱の第二楽章は、穏やかにフェードアウトしたのです。

今回も読んでくださった方ありがとうございました。




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