はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
当ブログで今期のアニメを扱うのは、「小林さんちのメイドラゴン」と「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」に続いて3作品目になります。その作品は「リトルウィッチアカデミア」です。
目次
「リトルウィッチアカデミア」とは?
「リトルウィッチアカデミア」はアニメミライでOVA版が公開され、2015年には「リトルウィッチアカデミア:魔法仕掛けのパレード」として劇場公開された作品で、2017年1月より満を持して、テレビシリーズが放送スタートしたアニメファンも非常に注目の作品です。製作はあの「天元突破グレンラガン」の製作に携わったアニメ関係者さんが多く所属しており、「キルラキル」の製作でも注目を集めたTRIGGERさんです。
TRIGGERさんのアニメ作品の魅力と言うとやはりその圧倒的な作画力です。代表的なアニメーターさんと言うと、すしおさんなんかの名前はすぐに挙がると思いますが 、他の製作会社さんには真似のできない繊細というよりは大胆で、動きを意識した非常に滑らかな作画になっており、見ていて非常に爽快感のある映像が多くの人を惹きつけています。
リトルウィッチアカデミアは深夜帯の放送にもかかわらず、異例ともいえる高い視聴率を獲得していて、アニメファンのみならず、多くの人から注目されている作品であることが伺えます。
今回の記事では、もちろんアニメの本編の内容について考察していくのも面白いですが、この「リトルウィッチアカデミア」という作品のOPとEDに注目していきたいと思います。
まず、この作品のOP主題歌を歌うのはYURiCAさんで、曲名は「Shiny Ray」となっております。YURiCAさんは東宝アニメーションレコーズの第1回次世代アーティストオーディションでグランプリに選出されたシンガーさんで、今回がデビューシングルとなったようですね。
そして、ED主題歌を歌うのは、大原ゆい子さんで曲目は「星を辿れば」です。大原ゆい子さんは、2015年の劇場版「リトルウィッチアカデミア:魔法仕掛けのパレード」でも主題歌を担当しておられました。
「リトルウィッチアカデミア」OP・ED考察!!
では、ここから主題歌とそしてOP・EDそれぞれの映像と関連付けながら、考察していきたいと思います。
まず、OPとEDは歌詞の内容からして2曲とも主人公であるアッコの目線から書かれていると考えるのが一番適当かと思われます。しかし、同じアッコの目線から書かれたであろうこの2曲なんですが、そのアッコの目線が大きく違うんですね。
まずこちらが、OP曲のジャケット画像です。アッコと共に彼女の憧れるシャイニィ・シャリオが大きく描かれていますね。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」より
そしてこちらがED曲のジャケット画像です。OP曲とは対照的に、アッコとともに描かれているのは、ロッテとスーシィですね。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」より
そうなのです、先ほど目線が違いますと言ったのは、OP曲ではアッコの視線は上を向いていて、その先にいるのは彼女の憧れるシャイニィ・シャリオなのです。一方で、ED曲ではアッコの目線は横を向いていて、その先にいるのは彼女の仲間であるロッテとスーシィなのです。
このことが踏まえられた歌詞内容であったり、OP・ED映像になっているので詳しく見ていきましょう。
OP「Shiny Ray」
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
まずOP、ロッテが一人空を見つめています。歌詞は「焼き付いたこの場所 触れた扉開いて」です。彼女は、空を自由に飛び回り、人々を楽しませていたシャイニィ・シャリオを幼少期に一目見た時から、その姿を目に焼き付け、魔法使いを目指してきました。そんな彼女が夜の空に自分の思いや夢を馳せているのでしょう。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
そして次のカットで、彼女の憧れているシャイニィ・シャリオが月明かりに照らされて空を飛ぶ姿が映し出されます。月とシャイニィ・シャリオの姿が重なっていますが、これがアッコが彼女にあこがれて、目標にしていること、そしてシャリオ多くの人の希望であったことを表現しています。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
次のカットでは、夜空から降り注ぐ星にアッコが手を伸ばしています。ここの部分の歌詞は「夢の足跡 拾い集め歌うよ」です。これはアッコがシャリオが示してくれた、夢への足跡を一歩一歩辿っていき、いつか彼女に会いたい、いつか彼女のような魔法使いになりたいという願いが込められた歌詞です。そして映像ではこの星々はまさしくシャリオが人々に与えた希望を表していて、その一つをアッコが受け取ったことを示しています。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
次のカットは特に印象的ですね。シャリオという目標に向かって空、つまり上を向いてひたすらかけていくアッコの姿が映し出されます。ここで、このOP曲がアッコからシャリオへの思いをつづった曲であることが明確になりますね。アッコはロッテやスーシィに見向きもすることなく、ただ上を向いて駆けていきます。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
そしてサビの直前のカットですね。これは幼少期にアッコがシャリオを見た時の感動と興奮を回想しているように思われます。ここでもアッコの目線は』常に上に向いています。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
そしてサビに入っていきます。歌詞は「焼き付いたように 色づいた風景は 転んだくらいじゃ 溶けないから」です。この部分はアッコが幼少期に焼き付けたあのシャリオという自分の夢を、何度転んでも実現してやるんだという強い気持ちの表れです。
そして、映像ではアッコが光の欠片たちに包まれ空高く飛翔しています。このはじける光の塊に重なっているアッコの姿はまさに先ほどの月明かりに照らされているシャリオの姿と結びついています。このシーンはアッコがみんなに希望を与えられる魔法使いになりたいという願望とそして、この作品を通して成長したアッコがシャリオのように人々に希望を与える存在になるのではないかという彼女の行く末までもが示唆されています。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
そして、それに続くカットでは、空で光の塊がはじけて、欠片となって降り注いでいく様を見上げている、キャラクターたちが映し出されます。作中で、シャリオやロッテに冷たい姿勢を見せているダイアナも空を見上げていますね。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」OPより
ラストカットでは、アッコと共にロッテとスーシーが飛んでいます。ここの部分の歌詞は「変わらないまま 時間と光 見つめて歩いていく」です。この歌詞において時間というのは、その直前に出てくる「はかない今」を指していて、これはロッテとスーシィという今まさに彼女の隣にいてくれる親友のことを表しているように思います。一方、光というのはアッコの目標であるシャイニィ・シャリオのことを表しています。
ずっと光だけを追いかけて、シャイニィ・シャリオだけを見つめて、ルーナノヴァに入学したアッコがそこで見つけたもう一つの大切な存在であるロッテとスーシィがOPの最後の最後で出てくるんですね。
つまり、このOPの歌詞と映像が表しているのは、アッコが幼少期に焼き付けたシャリオの姿にあこがれて、その夢に向けてひたむきに走ってきたこと。そして、その夢の実現、アッコが人々に希望を与えられる魔法使いになれる未来が示唆され、最後にルーナノヴァに入学した彼女が大切な親友に出会うところまでが描かれています。これはEDにもリンクしますし、なにより本編の前に流れるOPとしてはこの上なく素晴らしいプロットと映像の下で組み立てられたものであることが読み取れます。
ED「星を辿れば」
では、EDの主題歌の歌詞と映像にも触れていきましょう。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
EDではこのようにアッコがロッテやスーシィと共に過ごすカットが印象的に挿入されています。ED曲のカットでは、シャイニィ・シャリオの存在感はOPに比べて圧倒的に薄れています。このことから考えても、このED曲の映像は親友として大切な時間を過ごす3人の日常にクローズアップしています。
歌詞の面から見ていくと、まず出だしに「夢中になって追いかけてた 流れ星辿った先に」という歌詞があります。これはシャリオを追って、アッコがルーナノヴァに入学した先に、と捉えることができます。つまり、OPがルーナノヴァに入学するまでのアッコに焦点を当てていたのに対して、EDはルーナノヴァに入学後のアッコに焦点が当たっていることがわかります。
そしてサビは特に印象的です。「未来信じられるのは 一人じゃないから」「巡り合った宝物 いつまでも離さないよ」これらの歌詞はまさしく、ルーナノヴァに入学したアッコが出会ったロッテとスーシィという2人の親友のことを指しています。未来、つまりルーナノヴァに入学して数々の困難に直面しても、シャリオという目標を追いかけ続けられるのは、2人の親友という宝物のおかげであると言っているのです。
そしてEDの歌詞は「クヨクヨしちゃいそうな時でも そばにいてくれてありがとう また明日ね」という言葉で締めくくられます。これはどんな困難にも負けないと、1人でただシャリオを追いかけてきたアッコがルーナノヴァで数々の困難に直面しても、2人の親友がそばにいてくれるという心強さと彼女たちに対する感謝を述べていることが見て取れます。
このようにED曲では歌詞も映像もアッコは横向きの視線、つまり親友であるロッテに視線を向けています。またそんな初めてできた親友に対する感謝もつづられていますね。
つまるところ、OPは上向き、つまりアッコのシャイニィ・シャリオに対する視線を強調していて、ルーナノヴァに入学するまでのアッコと彼女のシャリオに対するあこがれを表現しています。その一方で、EDは横向き、すなわちアッコの親友ロッテとスーシィに対する視線を強調していて、ルーナノヴァに入学した後の彼女を支えてくれる宝物のような存在への心強さと感謝を表現しているのです。
ここから、番外編と言う事で、少しEDにまつわる小ネタに触れておこうと思います。EDに登場する絵の枚数を数えたのですが、全部で17枚ありました。そして現在第4話まで放送されていて、EDは第2話から第4話の計3回で現在オンエアされています。その中で3話だけがEDの絵が他の2話と異なっているんですね。数えたところ、第3話の1枚目、9枚目、10枚目、14枚目の絵が他の回のものとは異なっていました。今回はその3話の絵だけを以下に引用させていただきます。他の回のものはまたアニメを見たときにチェックしてみてください。
1枚目
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
9枚目
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
10枚目
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
14枚目
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
まず、1枚目は第3話で登場した伝説の箒、流星丸が本来の姿となって空を飛ぶさまが映し出されています。
次に9枚目と10枚目ですが、これはルーナノヴァの箒リレーの景品であるルーキッチ先生からの贈り物をダイアナの友人であるハンナとバーバラが開封している様子のようですね。蛇のびっくり箱だったんですね!
最後に14枚目ですが、これは魔道具カフェで午後のひと時を過ごすロッテ達ですね。箒リレーを終えて、みんなで店を訪れたのでしょうか?
なぜ、3話だけEDの一枚絵が変わっているのかと言うと、どうやら演出の都合で本来は本編で扱うはずだったカットがいくつかお蔵入りになってしまったそうなんですね。お蔵入りにしておくのはもったいないということで、EDで掲載という形になったそうです。これはリトルウィッチアカデミアに関わっているアニメーターさんがTwitterでコメントしておりました。若いアニメーターさんを大切にするTRIGGERさんの粋な計らいですね。
そして、次はとあるスタッフさんが海外から参加しているんですね。第3話のクレジットを見ていただくと設定協力の欄にGrant Alexanderという方の名前が掲載されています。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
気になってその名前を調べてみたのですが、どうやらあのピクサーでキャラクターデザインやスケッチのお仕事をされている方だそうです。なんとピクサーのスタッフが協力しているんですね!!そして、その方のTwitterを覗いてみたのですが、リトルウィッチアカデミア第3話に関して、初期段階のスケッチをいくつか贈らせてもらったこと、そしてクレジットに名前を掲載してくれたことをうれしく思う、とコメントしてらっしゃいました。
最後は、このEDの一枚絵たちには本編の展開に関する重要な要素が隠されているんです。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
この一枚絵を見てみましょう。これはまさしく第3話の箒リレーの様子ですよね。流星丸に振り落とされるアッコも映し出されていますね。
© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 「リトルウィッチアカデミア」EDより
次にこちらを見てみましょう。ロッテの手元をよく見ると第4話で登場する「Night Fall」の本が握られています。
おわりに
このように、EDの一枚絵には本編の展開において重要なカギが潜んでいるんですね。他の絵をもっと注視していくと面白い発見があるかもしれません。
今回は「リトルウィッチアカデミア」という作品のOP・EDの歌詞と映像に注目してみました。メインとなるのはあくまで本編ですが、OPやEDも注意深く耳を傾けて、その映像に目を凝らしてみると面白い発見があるかもしれませんよ。
画像はすべて© 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会 より引用
歌詞は耳コピ
引用元:「Shiny Ray」 歌:YURiKA 作詞・作曲:uz 編曲:吉田穣
「星を辿れば」 歌:大原ゆい子 作詞・作曲:大原ゆい子 編曲:manzo
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