【ネタバレあり】映画『のみとり侍』感想:R15なのにエロくないなんて・・・。

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね映画『のみとり侍』についてお話していこうと思います。

いやはや5月の作品の中でも特に期待していた作品だったんですよね。

鶴橋監督の前作『後妻業の女』はテンポ感もよく、エロ要素の使い方や、コメディ映画としての側面も際立っていて非常に見ていて楽しいと思えた作品でした。

そして今作の『のみとり侍』ですが、映画館で最初に予告編を見た時から期待値がグーンと高まっておりました。

そして見て欲しいのがこのポスターです。非常にセンスが良いと思いませんか。

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(C)2018「のみとり侍」製作委員会

ただそういった自分の中での期待値の高まりに反して非常に残念な映画だったことは否定できませんね。期待が大きかっただけにすごく失望してしまいました。

では映画『のみとり侍』の感想や解説を書いていきます。よろしくお願いいたします。

『のみとり侍』

あらすじ・概要

「後妻業の女」などの鶴橋康夫監督が、「テルマエ・ロマエ」阿部寛とタッグを組んだ時代劇コメディ。

鶴橋監督自身が脚本も兼任し、小松重男の短編小説集「蚤とり侍」の人気エピソードをもとに再構築した。

長岡藩のエリート藩士・小林寛之進は、運悪く藩主の機嫌を損ねてしまい、猫の「のみとり」の仕事に就くよう命じられる。

それは文字通り猫ののみを取って日銭を稼ぐものだが、実際は床で女性に愛をお届けする裏稼業であった。

長屋で暮らすのみとりの親分・甚兵衛のもとで働きはじめた寛之進は、初めてののみとり相手であるおみねから下手くそと罵られたものの、伊達男・清兵衛の指南によって腕を磨いていく。

そんな中、老中・田沼意次の失脚を受けてのみとり禁止令が敷かれ、寛之進らは突如として犯罪者扱いされてしまう。

おみね役の寺島しのぶ、清兵衛役の豊川悦司ら、共演にも豪華実力派俳優がそろう。

映画com.より引用)

予告編

ナガ
R15だからそう少し濡れ場にも期待してたんだけどなぁ・・・。

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『のみとり侍』感想

部活で怖い顧問の先生に出会った人は共感できる話

本作はすごくざっくり言うと、古代ローマから日本にタイムスリップしたローマ人が銭湯にハマるうちに気がつくと性的なサービスを行う「温泉」にハマってしまっていたみたいな話なんですね。

ですから実質的には『テルマエロマエ』の続編です(違います)。

冗談はさておきまして本作の内容に関してですが、章題の通りで「部活で怖い顧問の先生に出会った人は共感できる話」だと思うんですよね。

みなさん学生時代の部活でいろんな顧問に出会ったことと思います。怖い先生、優しい先生、あんまり部活を見に来ない先生。

私は中学校でも高校でも怖い顧問の先生に出会ってきました。本当に当時は先生にずっと不満を溜めていましたね。友達同士の会話となると先生の愚痴を言ったりもしました。

しかし、部活を引退して、さらに卒業してからその顧問の先生に会いに行ってみると妙に優しかったりするんですよね。皆さんこんな経験ありませんか?

そして言うんですよ。「部活ではお前にもっと上手くなって欲しかったからきつく当たったんだ。」「お前に期待していたからこそ厳しく指導したんだ。」なんてことを。こんなことを言われてしまうともう弱いですよね。

ナガ
映画『のみとり侍』ってそんな話じゃないですか?(笑)

厳しく突き放すようなことを言うのも、誰かを思ってのこと。

江戸の世は人情だなんてことが言われていますが、人情って実は表面には見えづらいです。

だからこそ人と関わり合う経験によって少しずつ見えてくるものだと思うんです。私自身も部活動で出会った顧問の先生の厳しさとは裏腹の熱い思いに出会えたからこそ、人の感情を表面的に捉えるのは良くないと学ぶことが出来ました。

映画『のみとり侍』の主人公寛之進は「のみとり」の稼業を通して人と深く関わり合う経験をし、人々が内に秘めている感情にたくさん触れました。

その結果として、彼は徐々に自分の藩主であった牧野備前守忠精の本当の思いに気がつくことが出来ました。

「のみとり」とは確かに女性を相手に性的な奉公をする淫売かも知れません。しかしこの仕事で求められる誰かの秘められた思いを読み取るという技能はどこにいっても必要なものです。

この映画の牧野備前守忠精を見ながら、しみじみ自分の学生時代の鬼顧問を思い出していた次第です。

 

ストーリー構成が歪すぎる

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(C)2018「のみとり侍」製作委員会

本作『のみとり侍』はやっぱり脚本やストーリー構成、編集等に難がある印象ですね。

ナガ
原作が短編集だからというのもあるのかな?

本作の構成って単純に1話完結のエピソードを5つくらい繋げましたみたいな構造ですよね。

  • 寛之進が「のみとり」に落とされる話。
  • 清兵衛と奥さんとの下世話な話。
  • 友之介の病気。
  • 田沼意次と幕政の今後について。
  • 寛之進が藩に戻る話。

すごく簡単に分けるとこのような構成になっているのですが、単純に1つ1つのエピソードが繋がっているような印象が薄いですし、それを繋ぐ上での編集もド下手ですね。

時系列や場所をすぐにスキップしてしまうので、単純に映画として見づらいと思いました。

また清兵衛の話やら友之介のエピソードって必要でしたかね。原作ではラストで寛之進は藩校の校長になるんですよ。

それであれば、青空寺子屋の教師をしている友之介を多少なりとも掘り下げる理由はわかります。

しかし本作の病気のエピソードって正直本筋への貢献度が低すぎて、無駄な時間にすら思えてきます。

そして本作のラストの脚本はどうなんですかね。時計を見ていたところ残り5分になっても物語の結末のビジョンが見えて来ませんでしたが、実に4~5分ほどで強引に物語を片付けてしまいました。

しかも寛之進がなぜあのような経験を経て最後には藩に再び戻るのかが納得いきませんでした。

結局藩に戻ってしまうのであれば本作は振出しに戻るようなものじゃないですか。この辺できちんと作品を纏めきれていない印象を受けましたし、全体の構成、脚本は非常に悪かったと思います。

 

主人公をもっと掘り下げて欲しい

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(C)2018「のみとり侍」製作委員会

先日公開された三池崇史監督の『ラプラスの魔女』の感想で「主人公が活躍しなさすぎる」「主人公の見せ場がなさすぎる」という感想が多く見られました。

でも自分はあの作品に関しては主人公がいわば狂言回しですとかカメラ(視点)のような役割を果たしているわけですから別にあれくらいの描写で良かったんだと思っています。

ただ本作『のみとり侍』はそういうわけにはいかないですよね。

あくまでも主人公に起こった出来事にスポットを当てていくわけですから主人公の掘り下げが甘いというのでは通用しないわけですよ。

例えば本作では寛之進のパーソナリティが極めて見えにくいですよね。冒頭3分くらいでいきなり藩主に左遷されてしまいます。

そのため彼が藩に務める人間としてどのような仕事ぶりをしていたのかとか周囲からどのような評価を受けていたのかが見えづらく、本筋の展開にもイマイチ説得力が生まれていません。

また寛之進と亡き妻のエピソードもほとんど語られませんよね。それがために寛之進がおみねに傾倒していく理由もよく分かりません。そもそもおみねが亡き妻に似ているという設定すら軽んじられている始末です。

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(C)2018「のみとり侍」製作委員会

とにかく本作『のみとり侍』は主人公周りの掘り下げが甘すぎます。それにもかかわらず、友之介が病気になった時の医者との人情話ですとか、清兵衛が前田敦子演じる妻に〇ックスの時に引っ掻かれたり、首を締められたりしている下世話なエピソードにえらく時間を割いてるんですよ。

そんな本筋と関係性の薄い話に時間を割く余裕があるなれば、もっと他に描くことがあったでしょう。せっかく阿部寛がいいキャラを出していたのに、イマイチ寛之進というキャラクターを好きになれなかったのは、理解できなかったのは脚本が悪いからでしょう。

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せっかくR15+なのに・・・エロくない

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(C)2018「のみとり侍」製作委員会

ナガ
この章は完全に愚痴です(笑)

というのもこの映画はR15+指定になっていますから個人的には結構際どい描写が見られるんじゃないかと期待していたわけですよ。

ただ肝心の濡れ場になると、男性の一物をウナギやらドジョウに例えてみたり、他にもモノを使った演出で誤魔化して肝心の行為のシーンは総じて良いところでお預けになってしまうんですよね。

ナガ
いやぁせっかくのR15+なんだからもっと攻めた描写が見たかったですよ。

寺島しのぶの美乳やら、その他美女のおっは〇いが拝めるのはまあありがたいのですが、せっかくR制限をつけているわけですからもっと出来たでしょ・・・と思ってしまいました。

ただ映画『シェイプオブウォーター』公開の時に知ったんですが、「腰を振る」という動作があるとR15していからR18指定にランクアップしてしまうらしいですね。

さて私のもっとエロを見せろよというボヤキはさておきですよ。今回本作を劇場で見ていると、本編上映中にスクリーン内で電話をしているお客さんがいたんですよ。

スマホの光をちらちらとさせる方はよく見かけるので大分慣れましたが、電話をしている方は初めて見たので衝撃を受けました。

普通に考えて映画の音声が大きいので、外で電話したほうが相手の声が聞き取りやすいと思うのですが・・・。それでも映画本編の鑑賞を途切れさせたくないという執念があるなら最初から電源切っておけよとも思いますね。

ただこの話で面白いのはその人、男性なんですが、『のみとり侍』のよりにもよって阿部寛と寺島しのぶの濡れ場のシーンで電話していたんですよ(笑)

その電話仮に自分の奥さんとしていたとするなれば、あなた背後から喘ぎ声が聞こえてくる時点で浮気の疑いをかけられますぜ・・・?

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(C)2018「のみとり侍」製作委員会

明日から奥さんに浮気を疑われて股間にうどん粉塗られてしまえ!!と心の底から思った私なのでした。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

今回は映画『のみとり侍』についてお話してきました。

やっぱり期待値が大きすぎたのも失望の1つの要因だとは思います。

ただそれにしても映画として完成度が低すぎますよ。今は劇場で『孤狼の血』のようなとんでも完成度の邦画を上映していますから、なおさら分が悪いですね。

脚本から構成、編集まで全てが散らかっていて1つの映画として語るに値しないレベルだと思います。

ただやはり阿部寛さんをはじめとする役者陣の功績が本当に大きくて、彼らの持つ力が本作のコメディパートを引き立て、かつ物語として最低限成立させてくれたのだと思います。

鶴橋監督の良さだった『後妻業の女』でも見せていたあのテンポ感は一体どこへ行ってしまったんですかね。『のみとり侍』はうって変わって非常にテンポの悪い映画でした。

原作は映画とかなり違うみたいで、自分も少し友人から話を聞いた程度なので、時間を見つけて読んでみようと思います。

今回も読んでくださった方ありがとうございました。

 

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