【ネタバレあり】「娼年」感想・解説:R18で描かれるグレイテストショー”ネ”ンの成長譚

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね映画「娼年」についてお話していこうと思います。

記事の内容の都合上途中からネタバレを含みます。ネタバレになるような内容に触れる際は、改めて表記させていただきます。

作品を未鑑賞の方はお気をつけください。

良かったら最後までお付き合いください。

映画「娼年」

あらすじ・概要

「娼夫」として生きる男を主人公に性の極限を描いた石田衣良の同名小説を、2015年に上演した舞台版が大きな反響を呼んだ監督・三浦大輔×主演・松坂桃李のコンビで映画化。

大学での生活も退屈し、バイトに明け暮れ無気力な毎日を送っているリョウ。

ホストクラブで働く中学の同級生シンヤがリョウのバイト先のバーに連れてきたホストクラブの客、御堂静香。

彼女は秘密の会員制ボーイズクラブ「パッション」のオーナーで、恋愛や女性に興味がないというリョウに「情熱の試験」を受けさせ、リョウは静香の店で働くこととなる。

「娼夫」という仕事に最初は戸惑うリョウだったが、女性たちひとりひとりが秘めている欲望の奥深さに気づき、そこにやりがいを見つけていく。

リョウは彼を買った女性たちの欲望を引き出し、そして彼女たちは自分自身を解放していった。

映画comより引用)

予告編

ナガ
とんでもない濡れ場の連続だったね・・・(笑)

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映画『娼年』の5つのポイントを徹底解説!!

三浦大輔監督について

三浦大輔監督の作品と言えば、最初に見たのは「愛の渦」でした。

豪華マンションの一室で行われる乱交パーティーの模様を映画化した作品なんですが、この映画でも三浦監督は濡れ場でもって登場人物の心理描写に変化を描こうと試みていました。

ただ正直あまり上手いとは思いませんでした。中途半端な性描写もノイズに見えましたし、画作りやカメラワーク、役者の撮り方も極めて粗削りでただ単にエロい映画だなぁくらいにしか感じませんでした。

そして作品のテイストもガラッと変わり映画「何者」の監督を務め、大きな話題となりました。

この作品ではセリフや説明ではなく、映像を通して登場人物の繊細な心情を描き出そうという三浦監督のこだわりが見て取れましたし、それが非常に功を奏した作品だと思いました。

そして三浦監督はそんな映像を介しての人物描写の技能を携えて、自身が表現したかった性描写でもっての人物描写に再度挑戦しました。

それが今回の「娼年」という作品ですね。

作中で何度も何度も挿入される濡れ場シーン。その中で少しずつ変化していく松坂桃李演じる主人公りょうの表情、声のトーン、息遣い、プレイの内容、体位・・・等々をぜひぜひ注視して見て欲しいと思います。

また先ほどの感想パートでもお話しました三浦大輔監督らしい音楽と映像が融合したセックスミュージカルのようなパートが存在します。

この演出に関しては個人的にはあまり成功していたとは思えませんでしたが、彼らしい演出ではあったと思いました。

 

松坂桃李を丸裸に・・・

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(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

撮影秘話の中で松坂桃李さんは「7~8年分くらいの濡れ場をこの映画だけで一気にこなしたように感じた。」と述べております。

その言葉に嘘は無く、この映画の60~70%のシーンは濡れ場で構成されています。

最初のシーンも濡れ場、最後のシーンも濡れ場。濡れ場濡れ場濡れ場の連続なんです。ぜひとも濡れ場の最中に映し出される松坂桃李さんの繊細かつ激しい演技に注目してほしいと思います。

また個人的に注目してほしいと感じているのが、松坂桃李さんの”人間味”なんです。

映画って基本的に俳優の肌を撮影した後に加工・編集して綺麗に仕上げているんですが、この映画ってあえてそんな加工や編集を控えめにしてるんです。

それによって松坂桃李さんの肌のしわ、しみ、ひげ、毛穴といった人間の少し汚い部分まで強調されて映し出されています。

邦画はハリウッド映画以上に俳優陣の肌等を加工して人間味を奪ってしまうことも多いのですが、あえてそれを抑えて、人間の汚い部分を正面から描くことで、本作は人間の本質に迫ろうとしたのではないかと思いました。

 

美しく描かれる娼年像

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(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

一般的に「娼婦」と聞くと、汚い、汚れたイメージを持つのが実情です。私自身もその1人であることを否定しません。洋画を見ているとしばしば「娼婦」という言葉で相手を罵る場面が見受けられます。

やはり娼婦という存在は全世界的に見ても汚れた職業であるというイメージが強いのでしょう。

そして本作に登場する会員制ボーイズクラブ「パッション」ですがこれはいわばイリーガル、違法な存在なんです。完全に法を逸脱していて、社会的に見てもまず肯定することは不可能な存在です。

それにも関わらず、本作においてはそんな主人公ら娼年の姿が全く汚れて見えないんです。むしろ美しく、素晴らしいことのように見えるんです。さらに作中で娼婦や娼年について悪く言うキャラクターがいるとその人の価値観こそ間違っているぞ!!と言ってしまいそうなくらいに麻痺してしまうのです。

それくらいに自分の価値観を揺さぶられる映画だということです。

ただ本作は何も娼婦の存在を肯定しようとしているわけではないと思います。

違法行為でありながら、身体を売る娼年の美しい描写と本作が描こうとしている家族(ないし母親)というテーマが後半で強くリンクしてきますので、ぜひとも注目して見てください。

 

知っておきたい「パイドロス」

「パイドロス」というプラトンの対話篇の1つが作中で印象的に登場します。

高校で倫理を勉強した人であれば、プラトンの項目で「饗宴」「パイドン」等の名前と共に聞いたことがあるかもしれません。

この対話篇では「恋(エロス)」についてソクラテスとパイドロスが川沿いの道を散歩しながら語り合うという光景が描かれています。

一方で『娼年』という映画そのものも、主人公のりょうが様々な女性との対話や欲望の交換を通して「娼婦」とは何か?「セックス」とは何か?を弁論術的に模索していく映画です。

この2つの作品の構成が似ている点は指摘せねばなりません。

 

軽い気持ちで見に行くも良し

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(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

この「娼年」という映画はとっつきやすく説明すると、いろいろなプレイを見れる魔法のアダルトビデオのような作品なんです(笑)

ジャンル的に言うと、熟女もの、放尿プレイ、NTR、ハメ撮り、骨折プレイ、ホモプレイ、言葉攻め、老女プレイ、〇出しなどなどかなり多くのAVジャンルを網羅してくれています。それでいて登場する女優さんも美人が多いです。

ですので、「ちょっとむらむらしてきたなぁ~」→「『娼年』でも見に行くか!」くらいの軽いノリと不純な動機で見に行ってももちろん構わないと思います。そんな動機で見に行った私でも映画に惹きつけられましたから(笑)

ただ注意してほしいことがあります。

映画館ではおしゃべり禁止。前の座席を蹴るの禁止。スマートフォン等の操作禁止。といったマナーやルールが存在していて、上映前にマナームービーが放映されますよね。

しかし映画「娼年」の上映前に1つ注意事項が不足しているような気がしますので、補足させていただきます。

劇場での自慰行為はご遠慮くださいね?

それはおうちに帰ってからでお願いします。

*ここからは本編のネタバレになるような内容を含みます。

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*ここからは本編のネタバレになるような内容を含みます。

感想・解説:1人の娼年とその母親の物語

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(C)石田衣良/集英社 2017映画「娼年」製作委員会

この「娼年」という作品が一体何を描こうとしているのか?というのは一見すごく不明瞭なんですよね。

ただそのテーマの中心に母親という存在がいることは間違いありません。

主人公のりょうは幼い頃に母親を亡くし、父親に育てられました。りょうが風邪をひいていたある日、よそ行きのワンピースに身を包んだ母は彼に「温かくして良い子にしててね。」と告げ、出かけていきます。

出先で心筋梗塞になった彼女は結局りょうの下に帰ってくることはありませんでした。

りょうはそれ以来年上の女性、とりわけ当時37歳だった母親と年の近い女性に執着心を抱くようになります。

りょうはクラブ「パッション」の娼年として多くの女性と交わります。その中で知るのは、女性の真の姿、欲望、美しさ、面白さでした。

しかし私にはりょうは女性たちに自分の母親の姿を重ねているようにも見えました。

自分の母親に執着するりょう。

つまり彼は女性との性的な交わりの中で、自分の母親の女性としての部分、性的な魅力を想起していたのかもしれません。セックスを通じて彼は母親を理解したんです。静香という母親によく似た女性に心惹かれたのも彼の幼少期の経験からです。

そして彼は終盤に驚くべき真実を静香の口から告げられます。彼の母親は何と娼婦だったのです。

彼女が死んだあの日も、娼婦として働いたその帰り道だったと言います。彼は涙ながらにそう綴られた手紙を読みます。

ラストシーンでは咲良を中心に再建されたクラブ「パッション」と娼年として働き続けるりょうの姿が映し出されます。静香は刑務所にいるのかもしれませんし、はたまた死んでしまったのかもしれません。

それでも彼は母親との約束を守り続けます。帰らぬ彼女を待ち続けるのです。そして母親とよく似た静香という女性を待ち続けています。

娼年として働くこと。それが正しいことだとは言いません。

しかしりょうにとってはそれが母親と自分の繋がりを証明することであり、母親を自分の中に感じる術であり、彼女によく似た静香という愛する女性との関係を持ち続けるための手段なのです。

もはや娼婦が法律的に、倫理的に正しいか否かなんてことはどうでもいいんです。

この映画が描き出したのは、娼年としての行動を通じて愛する女性に出会い、そして帰らぬ母親を取り戻した1人の男の物語なのです。

りょうの友人である進也は彼に告げました。「お前は俺とは違う。昼の世界でもやっていける人間だ。」と。

しかしそれは違います。りょうには母親の影を追い求める人生しか選べないのです。母親の影の中で日の光を避けて生きていくしかできないのです。

映画「娼年」は不器用な1人の人間の肖像を切り取った、残酷でありながら狂気的に美しい作品でした。

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

今回は映画『娼年』についてお話してきました。

「娼年」という作品で三浦大輔監督も大きく評価が上がりましたし、何より松坂桃李さんの評価が爆上がりしました。

これまでも何度かダークでダーティーな役どころをこなしている印象ではありましたが、そこまで高く評価している俳優ではありませんでした。

しかし今作で彼が魅せた演技の1つ1つはどれも闇を孕みつつも、病的に美しい中毒性のあるものでした。

彼の演技を一定量以上摂取すると、自分は死んでしまうのではないかというくらいに脳の中に不思議な快楽物質が生み出されるのを感じました。

ぜひぜひこのセックス版「グレイテストショーマン」をご覧ください!!

ナガ
こんなんじゃ記事を締められませんね・・・(笑)

邦画史に新たな1ページを刻んだ快作「娼年」をぜひ劇場でご覧ください。

今回も読んでくださった方ありがとうございました。

 

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