【ネタバレ】『神様になった日』解説・考察:麻枝准が目指す原点回帰はループもの?セカイ系?それとも?

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですねアニメ『神様になった日』についてお話していこうと思います。

ナガ
原作・脚本:麻枝 准×制作:P.A.WORKSということで期待値は上が…る…?

うん、まあ『Angel Beats』の直後の作品がこれだったら当然のように期待値は上がっていたと思いますが、『Charlotte』を挟んでしまっているので、ほどほどですね。

ナガ
というか『Angel Beats』のゲームの続編どうなってんの…?(笑)

それはさておき、『天気の子』でもってジャンル的にひと段落したのではと思われる「セカイ系」のコンテクストで、真打たる麻枝准さんが「原点回帰」を図るということで一体どんな作品になるのか楽しみではあります。

公式サイトではすでにそのトップ画像として2つのビジュアルが用意されていました。

ナガ
1つ目がこちらですね!

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

パッと見た感じでは『リトルバスターズ』を思わせるような友情ものの香りがします。

ナガ
そしてもう1つのビジュアルがこちらですね!

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

主人公のひなと天才ハッカーの鈴木央人の2人が背中合わせで立っているものとなっております。

『Angel Beats』『Charlotte』も基本的に普通の学園もの的な展開からスタートさせて、途中で世界の構造をひっくり返し、物語を転調させるというのがお決まりでした。

ですので、今作『神様になった日』についても、そういった作品の構成になって来ることは間違いないでしょう。

ざっとキャラクターや事前情報を見ていて、個人的に思ったのは、世界そのものがプログラムという『Hello World』系の世界観だったりするのかなと考えておりました。

ひなが作られたゲームの世界の「神」のような存在であり、その他のキャラクターたちはゲーム内のデータに過ぎず、そして鈴木央人はそのハッキングに関わっているなんて展開になったりして…と妄想を膨らませていた次第です。

当ブログ管理人はP.A.WORKS作品については基本的に追いかけてきましたので、今回も当然鑑賞します。

毎週放送後に少しずつ追記をしながら、自分なりの考察を完成させていただく予定です。

本記事は作品のネタバレになるような内容を含む解説・考察記事です。

作品を未鑑賞の方はお気をつけください。

良かったら放送終了までお付き合いください。




『神様になった日』

あらすじ

第1話

陽太は、夏のある日、「全知全能の神オーディン」を名乗る少女ひなと出会う。

突然バスケをしたいと言い出す彼女、図書館への用事についてくる彼女。

その中で、ひなは降り出す雨や突然の渋滞を予測し、見事に言い当てて見せる。

さらに、訪れたラーメン屋のテレビから流れる競馬放送を見て、当たり馬を全て的中させるという人智を超越した技を見せつけ、陽太は彼女の力が本物だと確信する。

ひなはそんな陽太の家で居候することになるのだが…?

 

第2話

陽太は、「全知全能の神オーディン」を名乗る少女ひなを自宅に居候させることとなる。

両親が反対してくれると踏んでいたが、2人は彼女を歓迎する。

「こんな日が来るなんて…。」「できる限りのことはしてあげよう。」

翌日、ひなは再び陽太伊座並を恋人同士にするための作戦に取り掛かる。

それは陽太の妹である空の自主映画撮影計画にかこつけて彼女に告白をするというものだったのだが…。

 

スタッフ・キャスト

スタッフ
  • 原作・脚本:麻枝 准
  • 監督:浅井義之
  • キャラクター原案:Na-Ga
  • キャラクターデザイン・総作画監督:仁井 学
  • 美術監督:鈴木くるみ
  • 撮影監督:梶原幸代
  • 色彩設計:中野尚美
  • 3D監督:鈴木晴輝
  • 編集:髙橋 歩
  • 音響監督:飯田里樹
  • 音楽:MANYO麻枝 准
  • アニメーション制作:P.A.WORKS
ナガ
麻枝准作品ということもあって、やはり豪華なメンバーですね!

原作・脚本を務めるのはもちろん麻枝准さんで、今回監督に抜擢されたのは『Charlotte』『Fate/Apocrypha』で知られる浅井義之さんですね。

キャラクター原案には、毎度おなじみのNa-Gaさんが起用されている一方で、キャラクターデザイン・作画監督には、仁井 学さんが起用されています。

彼は『キャロル&チューズデイ』『NEW GAME!』などでの作画監督の経験を活かすつもりです。

仁井 学さんはTwitterで『響け!ユーフォニアム』シリーズのイラストなんかを上げていて、それがまた非常に魅力的なんですよね…。

美術監督には『色づく世界の明日から』鈴木くるみさんが起用されていて、ここは『Charlotte』の東地和生さんではないようです。ただ、『色づく世界の明日から』も背景美術等が美麗でしたので、期待大です。

編集には『花咲くいろは』『SHIROBAKO』などのP.A.WORKSの名作を手掛けてきた髙橋 歩さんです。

劇伴音楽を、数々のゲーム音楽を手掛けてきたMANYOさんとこちらも麻枝 准さんが担当します。

キャスト
  • ひな:佐倉綾音
  • 成神陽太:花江夏樹
  • 伊座並杏子:石川由依
  • 国宝阿修羅:木村良平
  • 成神 空:桑原由気
  • 神宮司ひかり:照井春佳
  • 天願賀子:嶋村 侑
  • 鈴木央人:重松千晴
  • CEO:井上喜久子
ナガ
やはり麻枝准作品ということで豪華な面々ですね!

まず、主人公のひなを演じるのは、佐倉綾音さんですね。第1話は麻枝 准さん印の怒涛のギャグ&ツッコミスタイルだったので、ハイテンションっぷりが似合ってましたね。

陽太役には、花江夏樹さんが起用されています。個人的に花江夏樹さんと言えば『TARI TARI』のイメージが強いので、P.A.WORKS作品にこうして出演しているのが何とも懐かしい気持ちになります。

他にもヒロインの1人である伊座並杏子役には『ヴァイオレットエヴァーガーデン』などで知られる石川由依さんが起用されていますね。

他にも木村良平さん、桑原由気さん、照井春佳さんら注目のキャスト陣が目立ちます。

このキャスト陣の演技を見ているだけでも満たされる2時間18分ではないでしょうか。

アニメ公式サイト
ナガ
ぜひぜひご覧ください!



『神様になった日』解説・考察(ネタバレあり)

やはり麻枝印のループものか?

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

やはり麻枝作品となると、当然視聴者が期待してしまうのは、ループものですよね。

『AIR』や『リトルバスターズ』などの彼が手掛けたゲーム、そしてアニメ前作に当たる『Charlotte』もループの要素が強い作品でした。

今作『神様になった日』も第1話の冒頭でひなのこんなモノローグが挿入されていました。

「そうじゃのぉ。何もかもが新鮮であった。毎日がキラキラしておった。たくさんの宝石を詰めた宝箱のような思い出となった。」

(『神様になった日』第1話より引用)

この冒頭のシーンは、全てが終わった後のシーンなのか、はたまた新しいループの始まりを示唆するシーンなのかと言ったところですね。

そして劇中では、ひながある種の未来予知をしていく描写が多く散りばめられているのですが、ここで重要な点があります。

まず、雨が降ることや渋滞が起きること、そして競馬の勝ち馬を当てる場面では、彼女の予測は全て的中していました。

しかし、野球の場面では存在しない「5球目」の弱いストレートを予言しており、これは彼女の予言が外れた、もしく陽太に三振をさせて、杏子に告白させ、フラれるところまでが予定調和だったのか…。

ナガ
このシーンでひなが驚いているような様子もないので、予定調和なのかな…?

ただ、このシーンはループものにおける「自由意思」「不確定要素」の存在を仄めかすシーンでもあり、重要ではあると思います。

また、第1話のラストでは、ひなのことを聞いた主人公の母親がハッと驚くシーンがあるので、おそらく母親は何らかの事情を知っているということなのでしょうね。

これらの要素がループものであることを強く仄めかしているわけですが、母親が事情を知っているとなると、そのループに巻き込まれている人間の範囲がどのあたりまでなのかも何となく気になります。

基本的に麻枝作品では、前作の『Charlotte』もそうでしたが、主人公が主体となってループの脱却を目指す方向に物語が進行していきます。

タイトルが『神様になった日』であり、主人公が「成神陽太」という名前ですから、何となく彼が後に「神になる」という展開は想起させられます。

本作ではひなが北欧神話の戦争と死の神「オーディン」を名乗り、ヒロインには日本の古事記などに登場する「イザナミ」の名前がつけられていますよね。

一方の主人公の名前には、「成神陽太」と具体的な神の名前は入っていません。しかし「陽」という文字が入っていることから太陽神に関係しているのではないかということが何となく予見されます。

ナガ
日本の神話で言うなれば、天照大御神ということか!

ちなみに第1話の最後に「世界が終わるまであと30日」という表示が為されていましたが、この「30日」が何を指しているのだろうと考えてみました。

キリがいいからというだけかもしれませんが、1つ思ったのは、これって太陽に照らされる月が満月から新月に至り、再び満月に戻って来るまでの期間を指していて、これもループになっているんですよね。

よくよく考えると、「ひな」という名前も漢字にすると「陽」や「日」という字になる可能性を内包しています。(エンドクレジットでは「ひな」表記なのでひらがなが本名だと思われますが)

ナガ
『天気の子』のヒロインと同じ漢字になるのだとしたら「陽菜」になりますね…。

ちなみに今作のPVにおけるタイトルロゴを見ると、『神様になった日』の「日」の文字が崩壊していく演出が施されていました。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

ナガ
この「日」の崩壊って、まさしく世界の神である「ひな」の喪失を表現しているようにも感じられますね…。

人間の世界における「1か月」は太陽に照らされる月の満ち欠けの周期によって規定されています。

そう考えると、今作のメインキャラクター2人の名前に「太陽」を思わせる「陽」「日」の字が関連していて、世界が終わるまでの時間が「30日=1か月」となっているのも偶然ではないのかもしれないと思えてきました。

ナガ
タイトルロゴ周りで言うと、「金魚」のモチーフが印象的だね!

本作のPVでも金魚とひなをリンクさせるような描き方が何か所かありましたが、金魚はしばしば女性のメタファーであると言われます。

代表的な小説は、やはり室生犀星が著した『蜜のあはれ』でしょうね。

この作品では、主人公の老作家と金魚(その化身の女性)が共に暮らし、情を交わすという何とも奇怪な展開が描かれています。またこの『蜜のあはれ』では、金魚の命の短さや儚さも強調されています。

また『蜜のあはれ』の最大の特徴は人間の女性と金魚の境界線を極めて曖昧に描いている点だとされています。映画ではそこは明確になってしまっていますが、小説だとここがすごく活きていました。

そう思うと、本作のひなというキャラクターには、少女性と神性をその境界を曖昧にして有するキャラクター性であり、同時に何らかの原因で消えることが宿命づけられた儚さを持っているのだということも透けて見えるのかもしれません。



OPの映像と歌詞の注目ポイント

ナガ
さて、第2話にしてOP映像が公開されましたね!

『Charlotte』はかなり直接的に意味深なOP映像だったのですが、今回の『神様になった日』は割と日常的な側面を映し出しているので、ヒントになる情報は少ないのかなという印象を受けました。

ただ、気になる点はいくつかありますので、挙げていこうと思います。

まず、歌詞についてですが、「君と同じ世界を見る 君と同じ時を刻む(それはどうか許されるか)」というところは妙に引っかかりますね。

その直後のOP映像を確認しておきましょう。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

何気ない日常の風景かと思われますが、注目したいのは2人が「別々の道(線)の上」を歩いていることです。

同じ時を刻んでいるけれども、もしかすると2人は「違うレイヤー」からやって来た本来であれば、交わらない存在なのかもしれない。それが表現されているのがこのシーンかもしれません。

その後のシーンでは2人は同じ道(線)の上を歩く描写に切り替わるので、ここはすごく意味深ですね。

そこからは日常の描写が眩しく描かれていくのですが、サビに入るあたりで、このOP冒頭の映像に呼応するような映像が使われています。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

このシーンでは主人公が乗ったバイクが橋の右側から左側へと走り抜けていきます。直前の歌詞は「眩しさに目覚めた朝は 君の足跡を追いかけた」でした。

つまり、主人公たちが消えてしまったひなを探しているとも解釈できるわけですが、この直後に映像には微妙に彼女の姿が映りこんでいます。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

はい、橋の上ではなく、橋とは道(線)を隔てた場所に彼女は立っています。

つまり、主人公たちがあの橋のある道(線)の上を探し続けたとしてもそれは「交わらない」運命を示しているのではないでしょうか。

この2つのシーンが示している、主人公とひなの存在している「線」の違いが個人的には最も印象に残りました。

そして、このOP映像の最期のシーンですが、テレビゲーム端末が陽光に照らされながら映し出されています。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

この後に自分なりの本作の展開への見通しを書かせていただきましたが、その過程がある程度当たっているとしたら、ここでゲーム機端末が映っているのも意味があるのかもしれません。

ちなみに第2話では主人公とひながこのゲーム機端末で遊ぶシーンがありましたね。

 

エンディングテーマの歌詞と映像を紐解く

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

『Charlotte』でもOPテーマ、EDテーマ、そしてそれぞれの映像が後の展開に大きな意味を持っていることが明らかになっていき、話題になりました。

ナガ
特にOP映像の考察はかなり盛り上がっていた印象ですね!

第1話では、まだOPが解禁されておらず、EDもスタッフロールのみで映像がなかったので、それほど考察できる幅はありません。ですので、後々映像も含めて…ではありますが、現時点で分かる情報は追っておきたいと思います。

まず、EDのタイトルは「Goodbye Seven Seas」となっております。

ナガ
「Seven Seas」ってなんや?『ONE PIECE』か?

「Seven Seas」はラドヤード・キップリングの1896年の詩「七つの海 (The Seven Seas)」で有名になった言葉とされていて、要は「全世界」を表す言葉なんですね。

ちなみにの詩集の最後には、「When Earth’s last picture is painted and the tubes are twisted and dried,」という書き出しから始まるハルマゲドン的な無題の詩が掲載されていました。

まあ、これは余談としまして、「Goodbye Seven Seas」というタイトルはその点で「さよなら世界」的な意味合いだと考えていただけると分かりやすいでしょう。

ナガ
ではいくつか気になった歌詞をピックアップしておきましょう!
  1. 「ゲームみたいにリセットで、はじめからやり直せたら…」
  2. 「ハローグッバイ」
  3. 「少年から旅立つ」

まず、1つ目は完全に「ループもの」を予見させる歌詞ですよね。ただ重要なのは「ゲーム」というところでしょうか。

本作のキャラクター設定を見ていると、強大なIT企業やハッカーの存在が明らかになっていて、もしかすると、今作の世界は『ガラスの花と壊す世界』『Hello World!』のようなデータであるという可能性も否定できません。

後に登場するであろうキャラクターの鈴木が本作のPVの中で手につけていたアイテムがどこか『Hello World!』の「グッドデザイン」を思わせるのも、偶然ではないかもしれません。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

彼は何らかの形で、本作の世界や「神」をいう存在そのものを「書き換え」ていく立ち回りをするのではないかと現時点の情報からは推察されます。

加えて2つ目の「ハローグッバイ」の歌詞ですが、これはプログラミング言語で入門の単純なプログラムとして知られる「Hello, world!」とこの歌のタイトルである「Goodbye Seven Seas(=world)」を想起させるものに思えます。

つまり、世界が新しくプログラムされ、そしてまた消えてというデータによる「ループ」が本作の題材なのではないかという仮説も立ってくるのではないでしょうか。

また、最後の「少年から旅立つ」という歌詞は妙に引っかかりますね。

日本語らしく言うのであれば、普通は「少年旅立つ」になりそうなところだと思いませんか。

「少年から旅立つ」となるとこれはどちらかと言うと、「少年期からの脱却」を感じさせる歌詞として解釈できるような気がします。

つまり、この世界では同じ時間軸を繰り返すため、主人公は少年から大人になることはできません。そうしたループから脱却するということ、それがすなわち「少年から旅立つ」という意味になってくるはずです。

ナガ
さて、第2話にてED映像が解禁になりましたね!

その映像の内容は、電子データの金魚が電脳空間を旅するというものです。ちなみに金魚はひなを表すモチーフですね

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

次の章で、本作の世界は電子データではないかという個人的な妄想を垂れ流していますが、この映像はそれの裏付けの1つになるやもしれません。

この映像は金魚になったひなが電子空間を旅しているという状況を表しているわけですが、その次の映像ではこの金魚が1つの世界を「選ぶ」描写が描かれます。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

いくつかの世界線?のようなものが存在している中で、金魚はその中の1つへと入っていきます。そうして金魚が辿り着くのは、主人公の部屋でした。

このED映像はまさしく本作の世界観の外枠を捉えたものなのかなと推察されますね。

EDの歌詞の最後に「水と希望だけを詰めて」という一節があります。

主人公がなぜ希望と共に「水」を詰めて旅立つ必要があるのかと考えた時に、それは「いつの日かひなを迎えるため」なんじゃないかなと思いました。

「金魚=ひな」なのだとすれば、彼女が彼の下に戻って来るためには「水」が必要です。ED映像のラストに水に入った金魚鉢が映し出されていたことも相まってその必要性は強まります。



データや電子世界を扱う作品だと仮定するならば

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

ナガ
さて、ここからの内容は少し第1話からは飛躍した自分なりの妄想になります…。

以下映画『Hello World!』のネタバレを含むので、ご容赦ください。

ここまでの内容で、本作の世界がデータや電子世界なのではないかということが何となく可能性としては想定されることが分かってきました。

では、その上で考えていきたいのが、本作の2つ目のビジュアル、2つ目のPVでスポットが当たった世界的IT企業「フェンリル」やハッカーの鈴木央人の存在です。

当ブログ管理人が個人的に考えているのは、ひなというキャラクターが独立意志を持ったイレギュラーなプログラムという立ち位置であり、それ故にデータの世界の中で「神」であるという設定ですね。

彼女が今作の世界の中に生まれたのは、外部からの何者かによる介入なのか、それとも自然発生的に生まれた者なのか、はたまたゲーム内に何らかの形で生じた自由意志が作り出したのか、それは現時点では断定のしようもありません。

そう考えると、本作の世界はCEOや鈴木央人らが、ひな陽太は違うレイヤーの世界にいるということが考えられます。

これはライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の『あやつり糸の世界』ダニエル・F. ガロイ『模造世界』のような多層世界ものの世界構造と同様です。

しかし、これらの世界にはある種の上下関係のようなものが存在しています。つまり、上層の世界が下層の世界の人間の糸を引いているという状況ですね。

こういった状況は『あやつり糸の世界』でも扱われ、どうすれば上層の世界に行けるのか主人公は葛藤することになります。

こうした世界観を受け継いで2019年に日本で公開されたのが、『Hello World!』というアニメ映画です。

この作品もまた、中盤で多層世界の構造が明らかにされ、主人公がどんどんと上のレイヤーの世界を目指していくのですが、どこが「現実」なのかが最後まで明らかになりません。

そうしてエンドロール直前の本当に最後の最後のシーンで、主人公は「現実」世界に辿り着くというのが『Hello World!』の物語となっております。

では、そういった世界構造が『神様になった日』に持ち込まれていたとするならば、やはりひな陽太のいる世界が下層(データ)であり、一方でCEOや鈴木央人らがいるのは上層(現実)ということになるでしょうか。

予告編で描かれた描写を見る限りでは、『Hello World!』の「グッドデザイン」を思わせるアイテムを身につけた鈴木央人が下層の世界に介入してくるという展開が想定されます。

では、ひな陽太が今作において目指すゴールは何なのか、断つべきループは何なのか?

これも『Hello World!』の終盤で描かれた展開に似ているのではないかと思うんですよね。

『Hello World!』のスピンオフ小説『HELLO WORLD if -勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする―』にこんな描写があります。

「つまり、あなたの世界は、新しい世界になったの。」
「新しい、世界・・・?」
「そう。機械の中の限定された情報としてではなく、現実と同等の規模と宇宙の運動を持った、正真正銘の新世界」

『HELLO WORLD if -勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする―』より

この記述によると、『Hello World!』のラストではデータの集積でしかなかった「ALLTALE」が独立した「新世界」として現実から切り離されるという状況に至っているわけですよ。

つまり、これまで下層と上層という関係にあった世界の構造が壊れ、データの世界も自由意思や不確定要素を持った現実と同等の世界に生まれ変わったのです。

これこそが『神様になった日』の2人の目指すゴールに重なるのではないかというのが、当ブログ管理人の見立てとなります。

おそらくこのデータの世界に自由意思や不確定要素が存在してしまうと、現実世界に何らかの影響が及んでしまうのでしょう。

だからこそ、現実世界側としては、データの中に生じたひなを削除したい。しかし、データの内部では、ひなを守りたい陽太が抵抗する。

こうした展開になっていくのではないかというのが個人的な見立ててではあります。

鈴木央人については、最初は敵として登場しそうですが、最終的にはこの世界構造を転覆させていく、ひなを取り戻していく上で主人公たちと共闘することになるのではないかとも思いますね。

ただ、麻枝 准さんが既に使い古された多層世界もののコンテクストをそのまま持ち込んでくるとは到底思えないので、自分としてこの予想が大きく外れてくれると嬉しいです(笑)



第2話で気になるのは「思い出」と「映画」それから「お母さん」

さて、第2話が放送されて、今回もとりあえずは日常回という印象が強かったですね。

ナガ
それはさておき、気になるポイントは3つほどあります!

まずは、ひなが「思い出」という言葉にすごくこだわりを持っているように見えたことですね。

良い思い出などはないの。そんなのがあれば人は幸せでいられるんじゃ。

(『神様になった日』第2話より引用)

ひな自身は、自分には思い出などはないと語っていて、だからこそこの世界で陽太たちと思い出を作ることを望んでいるようなそんな風にも見えますね。

輪をかけて意味深なのが陽太の両親のやり取りですが、ここから読み取れるのは、やはりひなが何かしらの過酷な「運命」を背負わされているということなのでしょう。

「思い出」というところから派生して、もう1つ触れておきたいのは「映画」というモチーフですね。

これは主人公の妹が自主製作映画を撮影しようとしているというところで物語に絡んでくる要素です。

「映画」とは、元々リュミエール兄弟のシネマトグラフに端を発するメディアであるわけですが、その原初的な意義と言うのは「日常の追体験」なんですよね。

例えば、リュミエール兄弟は駅から人が出てくるだけの短い映像をフィルムに焼きつけ、それを人々に見せました。

それを見ることで、人々は自分の日常を追体験することができ、自分がその中にいた時には気がつかなかった様々な機微に気がつくことができるのです。そこに「追体験」としての映画の意義があります。

そう考えると、ひなが映画撮影への協力に前向きなのは、彼らの過ごしたひと夏の日常を「思い出」として残すという側面が強いのかもしれません。

また、ひなはある種この世界において起きる出来事の多くを把握している存在でしたよね。

言わば彼女はこの世界を「追体験」している人間でもあるんです。

その点で、「映画」というモチーフが出てくる点についてはすごく意味があると言えるのではないでしょうか。

そしてもう1つ個人的に本作のPVと照らし合わせながら気になったのが伊座並杏子の母親についての描写ですね。

第2弾のPVの後半に彼女が「待って!お母さん!」と電話越しに話している描写があるんですよ。

©VISUAL ARTS / Key / 「神様になった日」Project

しかし、今回の第2話の主人公による回想シーンの中で杏子の母親は彼女が幼い頃に亡くなってしまったという説明がなされているのです。

ナガ
これは一体どういうことなんだろうね…?

個人的にはCEOが彼女の母親だったりするのかな?という想像を膨らませていたのですが、遺影の姿と既に発表されているCEOのビジュアルがそれほど似ていないので、何とも言えません。

この点については、個人的に第2話を見ていて、一番引っ掛かりを感じましたね…。



おわりに

いかがだったでしょうか。

まずは第1話を鑑賞した時点でのざっくりとした今後の展望や自分なりの解釈・妄想を並べているに過ぎませんが、今後の展開が非常に楽しみではあります。

麻枝 准さんが「原点回帰」を目指すと言っているだけあって、その内容もどこか「懐かしいエロゲ感」に満ちていて、令和の世でこんな作品が見られるとはと、少し嬉しい思いですね。

ナガ
キャラクターの掛け合いも確かに麻枝節全開だね(笑)

本作は企画の足掛けが3年半ということですので、2016~2017年頃から始動した企画ということになるのでしょう。

そうなると、時期的には新海誠監督の『君の名は。』が大ヒットした直後くらいの時期ということになります。

ただ、2020年の今は新海誠監督が『天気の子』でセカイ系のコンテクストに1つのアンサーを提示し、SF的なセカイ系として『Hello World!』なんかも公開された後なんですよね。

ですので、今更単純なループものをやったり、クラシカルなセカイ系をやったりするのでは、正直視聴者の目からは「アウトオブデイト」に映ってしまう可能性はあります。

そこをどう乗り越えて、ポスト『天気の子』の世に真打たる麻枝 准さんが新しい「セカイ系」の物語を叩きつけてくれるのか。

「原点回帰」とそして「革新」

そうした一見すると相反する言葉が、両立するような素晴らしい作品を期待しております。

今回も読んでくださった方、ありがとうございました。

 

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