【ネタバレあり】『アントマン&ワスプ』感想・解説:面白いんだけど劇薬の直後だから薄味に感じるよね。

アイキャッチ画像:(C)Marvel Studios 2018

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね映画『アントマン&ワスプ』についての感想と解説を書いていこうと思います。記事の都合上作品のネタバレになるような要素に言及することがありますので、未見の方はご注意いただけたらと思います。

良かったら最後までお付き合いください。

『アントマン&ワスプ』

あらすじ

アントマンことスコットラングは2年前にドイツでのアベンジャーズの戦闘(『キャプテンアメリカ シビルウォー』)に参加したことで、FBIの監視下に置かれ、自宅から出ることができなくなっていました。

一方で、ドイツでの一件でスコットラングと険悪な仲になってしまったアントマンのスーツの開発者であるハンク・ピム博士と、博士の娘のホープ・ヴァン・ダインの2人は、かつて量子よりも小さな世界へと旅立ってしまった妻の(母の)ジャネットを救おうと、計画を進めていました。

あと3日でFBIの監視から解放されるという日にスコットはジャネットが登場する夢を見ます。これがきっかけで彼はピム博士の計画に参加させられることになるのですが、闇の世界のブローカーや謎の「ゴースト」と呼ばれる存在が絡んでくることで3つの利害がぶつかる三つどもえの様相を呈していきます。

果たしてスコットたちは無事にジャネットを量子の世界から救うことができるのか?

スタッフ・キャスト

監督を務めるのは前作から引き続きペイトン・リード監督ですね。前作を視覚的な楽しさに、王道のヒーロー要素と独特の「緩さ」を融合させた素晴らしい作品に仕上げてきた功績がありますので、当然の続投と言えるでしょうね。

残念ながら先日『ガーディアンズオブザギャラクシー』シリーズの監督から解雇されてしまったジェームズガン監督と同様で、ペイトン・リード監督もまた「監督の色」みたいなものをしっかり持っていて、『アントマン』シリーズはそんな彼にしか出せない味がありますよね。

主人公のスコットを演じるのは、引き続きポールラッドですね。また今作からワスプとして活躍するピム博士の娘ホープをエバンジェリン・リリーが演じています。彼女は『ハートロッカー』や『リアルスティール』でも知られていますよね。

今作『アントマン&ワスプ』からの新キャストとしては『スカーフェイス』でアルパチーノの妻役を演じたことでも知られているミシェルファイファーがピム博士の妻のジャネットを演じています。

今作の吹き替え版について

ちなみに私は吹き替え版を見てきたので、こちらのキャストについても少しお話しておきますね。

スコットラングやホープの声を吹き込んだのは引き続き木内秀信さん、内田有紀さんでした。この2人はもう安定という感じで、素晴らしい吹き替えだったと思います。

そして前作で公開前に「芸人起用とか・・・。」「またタレント吹き替えかよ・・・。」とさんざん批判を浴びたルイス役の小杉さん。ただめちゃくちゃキャラクターにあった演技が出来ていて、映画ファンが鬼のように手のひら返しをしていたのが印象的でした。そんな小杉さんは今作でもルイスというコミカルな役をしっかりと演じておられました。

またジャネット役には、これまでもミシェルファイファーの吹き替えを何度も担当されてきた高島雅羅さんが参加されています。今作からのタレント枠としては、FBI捜索官のウー役を宮川大輔さんが演じています。たた宮川さんすごく上手かった印象ですね。個人的にはほとんど違和感を感じることなく見れました。

やはり『アントマン』シリーズはMCUの中でもすごく安定した吹き替えという印象が強いですね。きちんとメインキャラクターには本職の声優を配役しつつ、コミカルな役どころを芸人吹き替えに委ねるというアプローチが明確になっていて、それにより独特のユーモラスな世界観がニュアンスまできちんと再現されているような気がします。

普段は字幕版を見ているという方も、『アントマン&ワスプ』の吹き替え版は一見の価値ありだと思いますので、良かったらチェックしてみてください。

『アントマン&ワスプ』4DXとMX4Dの情報

当ブログ管理人は『アントマン&ワスプ』を4D上映で鑑賞してきましたので、そちらの情報も還元させていただけたらと思います。

ナガ
まず中盤過ぎくらいまで全然揺れないよね(笑)

そうなんですよね。本当に中盤過ぎくらいまで自分が4D上映を見ていることを忘れてしまうレベルで座席の揺れやその他のエフェクトが少ないです。

しかし、終盤に差し掛かり、怒涛のカーチェイスが始まると、それまで大人しかったエフェクトのギアが一気に上がり、座席が揺れに揺れ、スモークやミスト、フラッシュの演出が増し増しで最高に楽しい映画体験になりました。

4D上映として楽しいのはやっぱり今であれば『ミッションインポッシブルフォールアウト』の方に軍配が上がると思います。『アントマン&ワスプ』は終盤の怒涛のエフェクトと揺れで楽しませてくれますが、そこに至るまでがとにかく穏やかなので、ちょっと損した気分になります。

纏めますと、終盤は楽しいですがあえて4D鑑賞するべきかどうかと聞かれると、ちょっと微妙かな?という印象でした。

感想:世界のためのヒーローではなく「父」としてのヒーロー

『アントマン』シリーズが他のMCUやヒーロー映画とは決定的に異なるのは、主人公のスコット・ラングは世界が世界を救うためにヒーローとして戦うという側面が非常に弱いことなんですよね。これは1つ大きな特徴だと思います。

面白いのは、スコット・ラングがFBIの監視下に置かれている時に、この軟禁生活が終わったら娘のキャシーと思う存分遊ぶんだと意気込んでいるところですよ。おそらくトニースタークやスティーブンロジャースが同じ状況に置かれていたとしたら、例え娘がいるという設定でもまずは「ヒーローとしての活動」に復帰することを念頭に置いていると思うんです。ただスコットにはこれが当てはまらないんですね。

スコットっておそらくMCUのヒーローの中で最も「普通の人」に近い人物ですよね。それは能力的な面でスーツを着ていないと凡人ということを言っているわけではなくて、感覚的なレベルの話です。彼は常に世界を「ヒーロー」としてではなく、「普通の人」として見ています。『アントマン&ワスプ』の劇中で、ウーに監視用のセンサーを外してもらう時に、尋ねたのも世界の情勢というよりも、身の回りの何気ないことでした。

スコットってルイスと共にセキュリティシステムの会社を起こしていて、FBIの管理下から解放されれば、その会社に籍があるという状態になるわけです。これがまた非常に面白くて、「ヒーロー」って言わば世界という大きな括りで見た時の「セキュリティシステム」なんですよね。普通の人間には立ち向かえない強大な敵が現れた時に世界を救うために戦うのが彼らの存在意義の1つでもあります。

ただスコットの目下の計画はルイスらと共にセキュリティシステムの会社に勤めることです。ここにもスコットの「普通の人」の視点が垣間見えています。世界のセキュリティシステムたるヒーローとして活動するなんてことは念頭になく、あくまでも普通の人間として、キャシーの父親として立派な人間になることが彼のいちばん大きな課題であり、目標なんですよ。

そして物語の後半で、スコットは再びヒーローとしての活動に戻ることになるわけですが、ここでも娘のキャシーのことを思って、「アントマン」として戦うことを躊躇するんですよね。なぜなら「アントマン」の姿で外に出てしまったら、再びFBIに逮捕されることになり、キャシーの「父親」としての役割を全うできなくなるからです。

しかし、キャシーはスコットが「アントマン」として活躍することを望んでくれるんですよ。「人助け」は悪いことじゃないって肯定してくれるわけです。そういうプロセスを経て、スコットは再び「アントマン」として戦うことになるわけです。

だからこそ彼の戦いは世界を救うヒーローとしてというよりも、キャシーの父親としてという側面が非常に強いんですね。

『スパイダーマン ホームカミング』が「父親」でありヴィランでもあるというヴァルチャーというキャラクターを非常に巧みに演出していましたが、今作では「父親」であり娘のためのヒーローというアントマンを上手く描いていたように思いました。

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解説:存在を奪われることへの恐怖が投影されたエイヴァというキャラクター

(C)Marvel Studios 2018

今作のヴィラン的な立ち位置に当たるのがゴーストことエイヴァというキャラクターなんですが、これがまたすごく考えさせられます。

そもそも『アントマン&ワスプ』という作品が自分自身の存在や大切な人の存在について問う映画だと思うんです。それは本作の物語の主軸に、量子の世界に旅立ってしまい見えないけれど、確かに存在しているであろうジャネットという妻であり母である存在を捜索するというプロットが据えられていることからも明白です。

だからこそこの映画ではジャネットとエイヴァって対照的ですよね。ジャネットはどんなに存在が矮小化されてしまったとしてもピム博士とホープという家族が絶対にその存在を忘れてしまうことはありません。しかし、エイヴァというキャラクターは家族もいなければ、自分の存在を認めてくれる人もいないんです。唯一ビルが彼女のことを気にかけてくれていますが、彼女は自分が救われることにしか注意が向いておらず、彼に心を赦している素振りもありません。

そんな風に考えていると、エイヴァというキャラクターを「ヴィラン」と形容してしまうことはすごく難しいんですよね。確かにアントマンサイドから見ると「ヴィラン」ということになるんですが、彼女が戦う目的はあくまでも自分1人のためです。

物語の終盤でそんなエイヴァが、量子の世界から帰ってきたジャネットに抱きしめられ、その後父親同然に彼女を見守ってくれていたビルに自分の存在を肯定してもらえたことで、この世界に居場所と存在を取り戻す姿が描かれていたのが何とも泣けました。

またアントマンことスコット自身もそういった存在論的なテーマを背負っていますよね。アントマンってキャプテンアメリカやアイアンマンのようにMCUの世界で知名度が高くないために、街に現れてももはや「ゴジラ」のような扱いを受けていますよね。つまり彼は世間では「ヒーロー」としては認知されていないんです。それどころかFBIから目をつけられてまるで「ヴィラン」でもあるかのように扱われています。

そんな彼を「ヒーロー」として、「父親」として認めてくれるのがキャシーの存在ですよね。スコットは、ジャネットとの再会に不安を見せるホープに対して自分がもし量子の世界を彷徨うことになったら、「娘」の顔だけは絶対に忘れないし、それだけを希望に生きられると発言していました。

誰しもが他人に存在を認めてもらうことで初めて自分という存在を確立することができるんです。ただ我々の生きる現代社会は、人間と人間の繋がりがどんどんと希薄化し、そういう「承認」に対するハードルがどんどんと上がっているんですよね。もはや家族という枠組みにおいても、存在を肯定し合えない状況が増えてきています。

エイヴァという少女が抱えている「痛み」ってまさに自分の存在を誰にも認めてもらえないことからくるものなんですよね。これは現代を生きる多くの人が誰しも抱える心の痛みに通じるところがあると思います。人は誰だって「認められたい」生き物です。自分の存在を肯定してくれる自分以外の存在を求める生き物です。

『アントマン&ワスプ』という作品は、主人公たちよりもエイヴァというヴィラン的な立ち位置にいるキャラクターにすごく共感してしまう稀有な映画だと思いました。だからこそ彼女が「存在」を取り戻し、涙する姿を見ると、自分のことのように嬉しくて感動してしまうのです。

ナガ
またディズニー映画お決まりの家族映画じゃん!!

そう思われる方もいらっしゃるのかもしれませんが、『アントマン&ワスプ』で描かれたのは、それよりももっと深い人間と人間の繋がりだと思います。

解説:女性ヒーローVS女性ヴィラン

MCUってヒーロー映画の常に最先端を行っているようで、実は後手後手になっている部分もあるんですよ。それが「女性ヒーロー」の名前をタイトルに据えた単独作の存在です。MCUはこれをライバルのDCEUに先にやられてしまっているんですよ。しかもその『ワンダーウーマン』という映画は記録的な大ヒットとなりました。

そんな中でMCUは『キャプテンマーベル』やブラックウィドウの単独作をラインナップに搭載し、女性ヒーローを作品の主軸に据える方向性を打ち出しました。

『アントマン&ワスプ』はその第1弾と言っても過言ではない作品だと思いました。というのもこの作品においては主人公のスコットの活躍の場がかなり限られているんですよね。「スーツの不調」という原因は付与されているんですが、これま間違いなくワスプを本作のメインヒーローとして活躍させるための設定でしょう。

ヒーローVSヴィランの構図も前作が「アントマン VS アントマン」的なものだったのに対し、今作は「ワスプ VS ワスプ」的なものに変化しています。先ほどもご紹介したエイヴァは量子トンネルの実験で親を失っているという点で非常にワスプ(ホープ)と似ている存在ではあるんです。

似たような境遇を背負っても、その後の人との出会いや周囲の環境に影響されて、2人は対立する存在となってしまうわけです。そんな2人の娘の心の喪失感を量子の世界から戻ってきたジャネットが埋めていく様子も何ともエモーショナルでした。

『アントマン&ワスプ』はもうこれでもかという程にワスプの魅力が引き出されていて、今後のMCUの女性ヒーロー単独作への期待を膨らませてくれる最高の布石になったと思いました。

解説:既に噂されている『アベンジャーズ4』への布石とは?

さて、公開から1週間が経過しましたので、少し核心的なネタバレになるような内容を追記です。

エンドクレジットの間に挟まれるスコットが量子世界に閉じ込められるシーンがMCUファンに衝撃を与えたことと思うのですが、もちろんこれは『アベンジャーズ4』への布石になってくるわけです。

そこで私が考えるキーポイントは2つです。

1つ目はスコットが量子世界に飛び込む直前に、ジャネットから忠告を受けていた内容です。

ナガ
「時間の渦には気をつけて」ってやつだね!!

そうなんです。「時間の渦」というワードが飛び出していましたが、『アベンジャーズ4』のリーク画像から次回作におけるタイムスリップ説が浮上していることやドクターストレンジの持っていたタイムストーンがキーになってくることを考えると、聞き流せない言葉です。

また、スコットがサノスの「指パッチン」の被害を受けなかったのは、彼が量子世界にいたからであるという可能性も考えられますよね。そう考えると、量子世界そのものが重要な意味を持ってくるのかもしれません。

そしてもう1つが今作が描いた家族観、とりわけキャシーに関係するところです。

ナガ
キャシーの存在は見過ごせないよね!!

先ほども一度触れましたが、スコットはもし自分が量子世界に取り残されたら、キャシーのことを思って生き続けると答えていました。このセリフそのものが大きな伏線になっているように思えました。

なんと『アベンジャーズ4』にて、『子連れじゃダメかしら?』や『ロスト・イン・ザ・サン』に出演しているエマ・ファーマンという女優が成長したキャシーを演じることが明らかになっています。

スコットに私も「人助け」をしたいと語っていたキャシー。成長した姿の彼女が父スコットを救い出すきっかけになるのでしょうか?ここは注目しておきたいポイントですね。

ちなみに余談ですが、ラストシーンでノートパソコンでスコットやキャシーたちが見ていたのは『放射線X』という映画です。1954年(偶然にも初代ゴジラと同じ年)に作られた放射能絡みの怪獣映画です。今でもコアな怪獣映画ファンの間で人気のある作品です。

おわりに:エンドロール後の映像に戦慄

いかがだったでしょうか。ここまで映画『アントマン&ワスプ』についてお話してきました。

さて、最後になりますが、MCU恒例のエンドロール後の映像についてのお話になるんですが、もうこれが衝撃と言いますか・・・。

ナガ
忘れた頃に古傷を抉るの止めてくれよ!!(笑)

そうなんですよ。せっかくポップでゆる~いアクションムービーである『アントマン&ワスプ』を見て、『アベンジャーズインフィニティウォー』の傷が癒えたなぁと思っていた矢先にこれですよ。治りかけの古傷を抉られて、塩を塗りたくられている気分でしたよ。

まあ皆までは言いませんが、指パッチンですよ(笑)。忘れようとしていたのに・・・。辛いよ・・・。

ということで『アントマン&ワスプ』を見るに当たっては以下の作品の予習が推奨されるというわけですね。

『アントマン』(シリーズ第1作)

これは当然のごとく見ておいた方が良いです。登場人物の関係性や、スコットラングというキャラクターの特性や置かれている状況が把握できますので。

『キャプテンアメリカ シビルウォー』

これも見ておかないと、なぜスコットラングがFBIの管理下に置かれているのかといった事情が分からなくなってしまうので、鑑賞が推奨されます。

『アベンジャーズインフィニティウォー』

皆までは言いませんが、エンドロール後の映像のために見ておいてくださいね。

皆さんも上記の作品を予習・復習して『アントマン&ワスプ』を全力で楽しんできてください。現代に蔓延る「存在」に対するメッセージ性もありつつ、アントマンらしい「父親」としてのヒーロー物語として非常に完成度が高い作品です。

映像としても前作以上にサイズ感が目まぐるしく変化するスペクタクルに仕上がっていますので、映画館で見るのに最適です。というよりも『アントマン』シリーズは映画館の大画面向きの映画だと思います。

今回も読んでくださった方ありがとうございました。

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