アイキャッチ画像:©2017 映画「3月のライオン」製作委員会「3月のライオン」予告編より引用
目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回は『三月のライオン』の興行収入についてお話していきたいと思います。
本日3月18日から、映画「3月のライオン」前編が公開されました。
監督には映画「るろうに剣心」を大ヒットさせた大友啓史、キャストには神木隆之介を初めとして有村架純、染谷将太ら豪華メンバーが集結していて、配給の東宝も 宣伝に力を入れていた邦画大作と呼ばれるに値する映画であるように思います。
また原作は大人気コミックで売り上げも上々、テレビアニメシリーズもNHKで放送され好評、そんな中での満を持しての実写映画公開となったわけです。
しかし、どうやら初日の動員が芳しくないようで。今回は映画「3月のライオン」がどうして盛り上がっていないのか、可能性を考えてみたいと思います。
個人的な公開前の推測
東宝が宣伝攻勢だったことや、原作が現在12巻まで発売されている大人気コミックということもありまして、個人的にはかなり高い興行収入を狙っていた作品なのではないかと推測していましたし、それが実現できるタイトルだと思っていました。
個人的な公開前の予測は前編「20~22」億円、後編「16~18」億円でだいたい前後篇合計「40」億円付近を目指しているのではないかと推測しておりました。
初日の興行成績
興行収入を見守りたい!さんのデータを参考に書かせていただくのですが、どうも初日の動員があまり伸びていないようなんですね。
先週公開の広瀬すず主演の映画「チア☆ダン」と比べてみましても、用意された座席数自体は同等なのに、「3月のライオン」の動員値はその「60~70」%ほどに留まっています。
つまりですよ。先週の土日で2億円付近の興行収入を記録したと言われる「チア☆ダン」比にして「60~70」%ほどということは、土曜日曜で「1.2~1.4」億円ほどしか稼ぎ出せない計算になるんですね。
今週は3連休ですので、おそらく明日、日曜日が最大の動員になることは自明です。ただ、初日にここまで低調な滑り出しだと、かなり厳しいのではないかと勘ぐってしまうわけです。
この数値が続くとなると、土曜日から月曜日の3日間でなんとか「2.1~2.3」億円を稼ぎ出すのが精いっぱいなのではないでしょうか?
「チアダン」の感想記事も良かったら読んでいってください。
参考:【ネタバレ感想】映画「チアダン」王道だけど王道じゃない!!
大友啓史監督の過去の作品と比較して
まずは昨年の11月に公開された映画「ミュージアム」ですが、こちらの初動興行収入は約「2.4」億円で初動動員数が約「18」万人ということでした。そして、その最終興行成績は、約「15」億円と言われております。こちらは十分ヒットと呼べる成績ではないでしょうか?
次に、同じく昨年公開の映画「秘密」ですね。こちらは評判も非常に悪く、興行成績もあまり振るわなかった作品です。初動動員が約「9.6」万人、初動興行収入が約「1.3」億円と304スクリーンという大規模公開にもかかわらず、成績が芳しくありませんでした。
最後に、大友啓史監督の出世作ともいえる「るろうに剣心」シリーズの成績も挙げておきましょう。
こちらは、シリーズ1作目が初動興行収入約「3.9」億円、最終興行収入「30.1」億円、2作目の京都大火編が初動約「5.9」億円、最終約「52.2」億円、3作目の伝説の最期編が初動「9.1」億円、最終「43.5」億円ととんでもない成績を残しています。
今回「3月のライオン」が目指していたのは、おそらくは「ミュージアム」超えの位置だったのではないかと個人的には推測しています。
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昨年の映画「ちはやふる」との比較
昨年、東宝が製作した映画「ちはやふる」も大人気コミック原作で同時期公開と「3月のライオン」と非常に似たような状況でした。そのため、今回は比較してみたいと思います。
映画「ちはやふる」前編は昨年の今日、つまり同日の3月18日公開でした。そして土日の初動興行成績は動員約「14.6」万人、興行収入約「1.8」億円でした。
この数字が出てから、インターネット上では「大爆死」という声も多く上がっていました。というのも東宝は映画「ちはやふる」にとんでもなく力を入れていたのは自明で、その証拠に春休みの大作群雄割拠の中で相当な座席数を用意していました。目標は前後篇合計「40」億円だったとも言います。
しかし、映画「ちはやふる」は評判が上々だったこともあり、そこから驚異の維持力を見せました。結果的に最終興行収入は「16.3」億円、つまり初動の「9」倍の値まで伸びたわけですね。
では、映画「3月のライオン」と比較してみるのですが、最も注目すべきはその用意された座席数です。今年は「モアナと伝説の海」や「シング」という強敵が控えていることもあってかはわかりませんが、「3月のライオン」前編に用意された座席数はなんと、「ちはやふる」前編のおよそ半分なんですね。
これにはもちろん事情があります。先ほど「ちはやふる」の前編は初動でコケたという話をしましたが、これが普通の座席数規模の作品ならば、そこまで悪くない成績ではあるのです。
しかし、東宝が「20」億円超えを狙っていたこともあってか、相当な座席数が用意されていました。そのため、初週の週末にも関わらず、座席の着席率が10%付近と空席祭りになってしまったんですね。これを受けて「ちはやふる」は後編でその座席数が半減しています。
そして、「3月のライオン」前編に用意された座席数はこの「ちはやふる」後編とほぼ同じ規模でした。
最初に、私は、映画「3月のライオン」は前後編合計「40」億円を狙っているのではないかと勝手な推測をしましたよね。ただ、この「ちはやふる」とのデータの比較から察するに、そこまでの大ヒットは狙っていなかったのではないかという推測ができるわけです。
なぜなら、前編「20」億円を狙っていたと言われる「ちはやふる」のおよそ半分という座席数しか用意されていなかったからです。
つまるところ、個人的な推測にはなりますが、配給側の目論見としては、映画「3月のライオン」の前後篇合計目標興行収入は「25~30」億円あたりだったのではないかと思うわけです。
それにしても厳しい??
と、配給側の目標が前後篇合計「25~30」億円あたりにあったのではないかという個人的な推測を述べましたが、それにしても初日の出だしは芳しくないと思うわけです。
「ちはやふる」は評価が非常に高かったこともあって、初動「1.8」億円から驚異的な伸びで、最終「16.3」億円までたどり着きました。今のところ、映画「3月のライオン」に関して、かなり評判が高いという印象は受けません。(比較的良いくらいですかね。)
仮に「3月のライオン」が初動(土日)「1.4」億円だとして、「ちはやふる」前編と同じ驚異的な推移ができるかと言われたら疑問符が付きます。つまり良く伸びて「7」倍で約「10」億円まで行ければ良いほうなのではないかと想像してしまうわけです。
前編が「10」億円だと後編はさらに厳しいです。前後編2部作で後編の興行収入は基本的に前編を下回る傾向にあります。「ちはやふる」も後編は「12.2」億円まで落としています。
つまり、前編が「10」億円ならば、後編は「7~8」億円なんてことになり得ます。そうなると前後編合計「30」億円目標だったとしたらかなり厳しいですよね。
ヒットのラインは配給次第なので、「3月のライオン」がこの数値を仮に出したとして、それが何を意味するのかまではまだ分かりません。
しかし、「3月のライオン」が後編で座席数をかなり減らされるようならば、少なくとも前編の時に持っていた配給側の目論見は外れたということが推測できるのではないかと思います。
将棋映画ってどうなの?
昨年11月に「聖の青春」という松山ケンイチ主演の映画が公開されましたよね。これ「さとしのせいしゅん」って読むんですよ!(笑)私、恥ずかしながら「ひじりのせいしゅん」って読んでました。どうもすみません。
この作品もそもそもの公開規模が150スクリーンほどで、「3月のライオン」の半分ぐらいという条件の違いはありますが、こちらが最終「4」億円付近ではないかと言われております。
このスクリーン対比では十分な数字かとは思うのですが、ここからも分かる通り、将棋映画ってそもそもあまり人気がないのではないかなんてことも想像できてしまうんですね。
やはり、スポーツや音楽なんかとは違って、将棋はルールが小難しい印象を与えてしまうという事が挙げられると思うわけです。そうなると、ちょっと観客が敬遠してしまうジャンルになりうるのではないかとも勘ぐってしまいます。
今回「3月のライオン」前編がいまいち振るわないのも、「将棋映画」というジャンルの動員的な厳しさを物語っているのではないかと個人的に推測しています。
アニメとの同時メディアミックス展開
最近はマンガ、アニメ、映画のメディアミックス展開をする作品が非常に増えています。もちろん本作「3月のライオン」もマンガ原作で、現在NHKでテレビアニメシリーズを放送中で、本日から映画版公開という展開をしています。しかもテレビアニメと実写映画が同時期展開と言うのが特徴ですよね。
過去に、テレビアニメシリーズと実写映画の同時展開をした作品と言うと、「寄生獣」や「暗殺教室」なんかが挙げられると思います。2作品とも成功例と言ってよい作品だと思います。「暗殺教室」はかなり低年齢向けの作品でしたので、今回は比較の材料にしませんが、「寄生獣」の事例と今回は比較してみたいのです。
寄生獣の前後編の興行成績はそれぞれ、「20.2」億円、「15」億円となっています。後編は前編より落ちる傾向にあるのはもちろん承知です。ただ後編で「5」億円減、割合にして約「25」%減になってしまったのは、同時期放送のテレビアニメシリーズが影響したのではないかと考えています。
「寄生獣」の劇場版は前編公開の1か月前からテレビアニメシリーズがスタートし、後編公開の1か月前にテレビアニメシリーズが完結しました。
つまり、テレビアニメシリーズの完結直後という時期が、映画版に逆風だったのではないかという推測ができるわけです。テレビアニメシリーズと実写映画版はある程度の期間を置いてからというのが、一般的だとは思うのです。
というのも、実写映画とテレビアニメシリーズは同じ原作から作るわけですから、ある程度内容や展開は読めてしまいます。そのため、映画公開とアニメ放送の時期が近すぎると、むしろ良くないほうに影響が働いてしまうのではないでしょうか。
映画「3月のライオン」もテレビアニメシリーズが最終回間際と言うこの時期の公開となりました。もしかしたら、このテレビアニメシリーズが映画の興行には良くない方向に働いているのではないでしょうか?
おわりに
初日のデータを参考にここまで話を広げたので、正直まだまだどうなるかわかりません。3連休ゆえに初日が弱いだけという可能性も十分に考えられます。しかし、私が個人的に想像していたよりもかなり低調な出だしだったということで今回記事にしてみました。
また、興行成績のニュース等が出始めましたら随時更新していこうと思います。
今回の記事のデータの一部は、興行収入を見守りたい!さんのものを参考にさせていただきました。
注意事項ですが、今回の記事はあくまで個人の推測、個人の意見に基づくものであって、妥当性を保障できるものではありません。その点はご注意ください。
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
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神木君の主演作品とのこと、地味だけど桐島も裏切らなかったので、
この将棋の映画を観に行こうと思ってたのですが・・・
すみませんが、作品に
前田敦子や有村架純や武井咲や剛力、この辺の女優の名があると
観たくなくなるのです
作品を壊して、足を引っ張ってるんだろうなーという想いがあるから
山崎監督は初動の7倍が興行収入になる、と話してました
4億台スタートの永遠の0が80億にまでなったのは
やっぱりしっかりしたキャストの演技力が土台にあったから。
岡田君や新井君、何よりラストで作品を壊さずクオリティを上げてたのは
染谷君と井上真央ちゃんの二人だと思います
ラストにごり押し俳優が演技したら、あの作品は完成してなかった
夏八木さんは存在感だけでもすごかった
何が言いたいかというと、監督は最後までキャスティングにはこだわってほしい。大手事務所に媚びないと製作費もでない現実、しょうがないこともあるだろうが、神木君主演作品には、そこまで意識してほしかった
えいがふぁんさんコメントありがとうございます。
キャストだけが興行収入面での成功に繋がるか?と言われたら難しいですね。
有村架純主演のビリギャルなんかは昨年大ヒットしましたし。
ただ、キャスティングにこだわるというのはもちろん大切なことですし、それが興行収入に全く影響しないわけではないと思います。
前田敦子もデビュー当初は酷い演技をしてましたが、昨年の「モヒカン故郷に帰る」の演技を見てると物凄く努力されて、成功しているなあと感じました。
個人的には3月のライオンはキャスティングがむしろしっかりしてる方だと思いますね。
原作ファンでキャストも数ある漫画の実写化の中では文句ない布陣。
二階堂を染谷くんできたのも大正解。
大ヒット間違いないと思ってたのでショックです。
とはいえ私も映画館でなくてもすぐにDVDになるだろうと
観に行ってません。
ナガさんの考察通りやっぱ将棋という題材が地味で
友人と観に行って盛り上がる感じじゃないし
絶対映画館で観たいにならない。
「バクマン」のように観せ方にそうとう工夫が必要なのでしょうね。
まいるんさんコメントありがとうございます。仰る通りで、おそらく映画館で見たいと思わせる何かが欠落しているんでしょうね…。大ヒット間違いないと思ってましたが、厳しいですね。
「聖の青春」もそうですが、「3月のライオン」の興行が不振なのは
昨年から続く三浦九段冤罪事件で将棋ファンが皆そっぽを向いたからだと思います。
渡辺竜王やとりまきの観戦記者により三浦九段を陥れるという前代未聞の不祥事は依然として解決されておらず、三浦九段の名誉が回復されないことに怒っている将棋ファンが大多数です。
将棋に対して熱心であればあるほど、今回の事件にやり場のない怒りを覚えています。そして、彼らは将棋に対する情熱を失いつつあります。
本来ならば「聖の青春」や「3月のライオン」を真っ先に観に行くであろう将棋ファンは、現実の将棋棋士やその周囲の人間達のあまりの酷さに、棋士を立派な人物として描いている映画なんか観に行く気にならないのも当然です。
将棋連盟やプロ棋士たちが将棋ファンを敵に回したこと、これが興行不振の最大の原因かと思います。