ナガの映画の果てまで

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〇はじめに


 みなさんこんにちは。ナガと申します。

 今回はですね、京都アニメーション最新作「ヴァイオレットエヴァーガーデン」についてお話していこうと思います。なお私はすでに放送されているアニメ版第1話を鑑賞した状態で本稿を書いております。

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 というのも先日本作「ヴァイオレットエヴァーガーデン」の原作を購入しまして、読みました。ですので、それに基づいて書いていこうと思います。



 記事の前半では、ネタバレ無しで本作の概要や解説なんかを書いていこうと思います。後半では、ネタバレも含みながら作品の考察をしていきたいと考えています。(ネタバレ部分については改めて表記します。)

 良かったら最後までお付き合いください。

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〇あらすじ・概要

 とある大陸の、とある時代。大陸を南北に分断した大戦は終結し、世の中は平和へ向かう気運に満ちていた。戦時中、軍人として戦ったヴァイオレット・エヴァーガーデンは、軍を離れ大きな港町へ来ていた。戦場で大切な人から別れ際に告げられた「ある言葉」を胸に抱えたまま――。
 街は人々の活気にあふれ、ガス灯が並ぶ街路にはトラムが行き交っている。ヴァイオレットは、この街で「手紙を代筆する仕事」に出会う。それは、依頼人の想いを汲み取って言葉にする仕事。彼女は依頼人とまっすぐに向き合い、相手の心の奥底にある素直な気持ちにふれる。そして、ヴァイオレットは手紙を書くたびに、あの日告げられた言葉の意味に近づいていく。
アニメ「ヴァイオレットエヴァーガーデン」公式サイトより引用)




〇予告編






〇キャラクター紹介



・ヴァイオレットエヴァーガーデン

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 両親は不明。かつて戦場で拾われ、類まれなる戦闘能力を保持していたことから少女兵としてライデンシャフトリヒ軍で起用される。ギルベルト少佐を慕い、その「道具」として軍に貢献しました。。彼から告げられた「愛してる」の意味を知りたくて、戦後にホッシンズのC・H郵便社で自動手記人形(オートメモリーズドール)として働くようになりました。


・クラウディアホッシンズ

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 かつてライデンシャフトリヒ軍で活躍し、ギルベルト少佐の親友でした。戦後はギルベルトの願いを聞き入れ、ヴァイオレットをエヴァーガーデン家に預ける。C・H郵便社の社長でもあります。


・ギルベルトブーゲンビリア

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 代々続く陸軍の名家であるブーゲンビリア家の次男として生まれました。ホッシンズの親友で、大戦中は陸軍で少佐を務めました。ヴァイオレットという名をつけたのも彼で、彼女は彼の命令だけに従います。


・カトレアボードレール


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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 ヴァイオレットの抱える顧客とは違い、ラブレター等の代筆を主戦場としているC・H郵便社の従業員。ヴァイオレットの先輩に当たります。原作では同期だったんですが、細かい設定は改変されているようですね。


・ベネディクトブルー

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 ホッシンズとは腐れ縁で、C・H郵便社のポストマンです。原作ではヴァイオレット、カトレアと同期だったんですが、アニメ版ではヴァイオレットの先輩になっていますね。


・その他

 公式サイトでエリカブラウンとアイリスカナリーというキャラクターが紹介されていますが、共に原作には登場しないキャラクターですね。この時点で、原作のラックス・シュビラというキャラクターがおそらくアニメ版に登場しないことが予見されます。このキャラクターのエピソードが個人的には好きだったので、登場しない+エピソードカットとなると寂しいのですが、アニメ版の新キャラクターに期待しましょう。


〇作品の魅力を簡単に解説

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 基本的に原作では、1話完結のようなヴァイオレットと依頼主のエピソードが描かれていきます。というのも上巻の最初の時点で、ヴァイオレットは現役バリバリの自動手記人形として活躍しています。そしてその後で徐々に彼女とギルベルト少佐の過去が明らかになっていくという順序と構成になっていました。

 ただ、アニメ版は第1話でいきなり戦後、ヴァイオレットがC・H郵便社で働き始めるところからスタートし、さらには彼女とギルベルト少佐の過去についても回想シーンでかなり言及しています。そらく第2話以降で、1話完結エピソードをしばらく積み重ねていくことになるとは思うのですが、かなりの改変も予見されますので、シリーズ構成や展開については原作を読みはしたものの、先行きがまだまだ見えないですね。

 個人的にこの「ヴァイオレットエヴァーガーデン」という作品に感動したのは、1つ1つのエピソードの完成度の高さとそれを1人の少女の物語の一部として上手く機能させている点なんですね。

 アニメ版の第1話でもヴァイオレットの口からセリフとして明らかにされましたが、彼女が知りたかったのは、ギルベルト少佐からの「愛してる」その言葉の意味でした。その言葉の意味を知るために彼女は自動手記人形として世界中を駆け巡ります。

 そして依頼主との心の交流と手紙の代筆を通して「愛」の本質に迫っていくのです。だからこそ1話完結の数々のエピソードの中に無駄なものが1つとして存在していないんですよね。恋愛、親が子に注ぐ愛。子が親に抱く愛、さらには「生きる」とは何なのか?といった深い主題を1つ1つのエピソードに散りばめています。

 どうしても全編を通してシリアステイストにはなってしまうのですが、エピソードの純度が非常に高く、そのどれもが魅力的なので全く飽きることなく読み進めていくことができました。

 さらにはそれらが全て「ヴァイオレットエヴァーガーデン」という1人の少女の物語に、彼女の「愛」を知る物語に絡んでくるわけですから、圧巻です。

 また、小説の時点でも既にこれを映像で見れたらどんなに美しいだろうか?という記述がたくさんありました。本作は予告編映像の時点でも圧倒的な映像美で話題になりましたよね。小説のあんなシーンやこんなシーンが、あの美しい映像と共に語られるのかと思うと今から興奮してしまいますね。

 ぜひ彼女の「愛」を知る旅とその結末を見届けてください。


*ここからは原作終盤までのネタバレを含む内容になります。



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*ここからは原作終盤までのネタバレを含む内容になります。



〇原作のエピソード概要


 核心にまで触れてしまうとよろしくないので、原作の各エピソードを簡単にではありますが紹介していこうと思います。



・小説家と自動手記人形

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 ロズウェルという美しい都市でのエピソード。ヴァイオレットの依頼主は、かつて有名な脚本家だったオスカーという男でした。彼は、病気のために妻と子供を亡くしました。そんな彼が、再び劇脚本を執筆するためにヴァイオレットに依頼します。彼が伝えたかった、彼が叫びたかった本当の思いとは何だったのでしょうか?


・少女と自動手記人形


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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 アンという少女の母親は余命わずかになり、死ぬ前に手紙をしたためておきたいということでヴァイオレットに依頼します。それがためにアンはあまり母親と過ごす時間を得られなくなり、徐々に不満を募らせていきます。母親が書いていた手紙は誰に宛てたものだったのか?


・青年と自動手記人形

 エイダンは将来を嘱望された野球少年でした。野球をして家族に恩返しをしたい、そんな熱い思いを胸に秘めていました。しかし時代がそれを許しませんでした。彼は兵士として戦場の最前線に立つことになります。死期が迫った彼が最後に残した手紙に込められた思いとは何だったのか?


・学者と自動手記人形

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 リオンという天文学の書物の写本をしている青年とヴァイオレットエヴァーガーデンの交流を描きます。リオンはこれまで「恋」や「愛」という類の感情を持ったことが無く、女性に対して複雑な感情を持っていました。そんな彼がヴァイオレットとの関わりを通してどう変化していくのか?そして彼は何を伝えようとするのか?個人的にも大好きなエピソードです。


・囚人と自動手記人形


 かつて戦場で少女兵だったヴァイオレットと邂逅したエドワードという囚人と彼女の物語を描いています。このエピソードから少しづつヴァイオレットの過去が明かされていきます。


・少佐と自動殺人人形

 ギルベルト少佐とヴァイオレットの過去の物語です。彼女がどのような経緯で従軍することとなったか?や彼女がなぜそんなにも少佐を慕うのか?といった本作の数々の謎が解き明かされます。





・少佐と彼のすべて

 ギルベルト少佐とヴァイオレットのエピソードを少佐の視点から描いた断章です。


・少女兵と彼女のすべて


 ギルベルト少佐とヴァイオレットのエピソードをヴァイオレットの視点から描いた断章です。


・花婿と自動手記人形


 シランという少年は、自分は母親から愛されていないんだと、愛されてこなかったんだと考えていました。そんな彼が村で結婚式を挙げることとなります。彼が結婚式で聞くことになるのは、そんな母の思いをヴァイオレットが代筆した1つの詩でした。そこに込められた思いとは?


・半神と自動手記人形

 これが先ほどのキャラクター紹介で紹介しましたラックス・シュビラという少女の物語ですね。彼女は半神としてとある宗教的組織の邸宅にいました。ある依頼の帰りにヴァイオレットは大雨に見舞われて、その邸宅で雨宿りをさせてもらうこととなります。宗教組織の正体とは?そして「生きる」とは?私が個人的に本作で一番好きなエピソードですね。


・飛行手紙と自動手記人形

 前編では主にヴァイオレットとカトレアの友情の芽生えが描かれます。そして後半では飛行手紙という軍主催のイベントへの出席に際して、彼女がかつて自分を拾ったギルベルト少佐の兄と再会する一幕を描きます。

・ヴァイオレットエヴァーガーデン

 本作のクライマックスですね。ここはご自分の目で・・・。


〇アニメ版と原作の進み方の違い


 とりあえずここまで書いてきた原作のエピソードをおおよその時系列順に整理してみましょう。

①少佐と自動殺人人形


②少佐と彼のすべて

③少女兵と彼女のすべて

④小説家と自動手記人形~囚人と自動手記人形

⑤花婿と自動手記人形&半神と自動手記人形

⑥飛行手紙と自動手記人形

⑦ヴァイオレットエヴァーガーデン

⑧少女と~&学者と~の後日談

 時系列が明記されていない部分がありますが、推測してみるとこのように整理できるかと思います。そして、アニメが現在第2話まで放送されていますが、このチャートのどの部分を描いているかを説明していきます。

 アニメが描いているのは、時系列的には③の少女兵と~に当たる部分です。ただオリジナル要素が強いですね。キャラクターも原作とは異なりますし。ただ時折回想シーンで①・②に当たる部分も描かれています。

 原作を読んでいると、③~④の間には大きな時間の隔たりがあるように感じられるんですよ。というのも③のラストでC・H郵便社で働くようになるにもかかわらず、④の小説家と~のエピソードではもうヴァイオレットはバリバリの自動手記人形になっているんですね。

 そのためアニメが描こうとしているのは、ヴァイオレットが自動手記人形として活躍するようになるまでの成長なんだと思います。原作はその辺りが少しぼかされているので、この空白を描こうという方向性は間違っていないと思います。

 やはりアニメは大体12話編成でまとまりがないとダメですから、原作のような1話完結のエピソードのぶつ切りでは、なかなか上手くいかないと思いますので、時系列的に③の終盤から始めるという決断は評価できると思いましたね。


〇考察:定義し、受容する。その物語

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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 本作「ヴァイオレットエヴァーガーデン」を読んだ時、一番最初に想起した作品は伊藤計劃の「The indifference engine」ですね。



 アフリカの戦場で戦って生き残ることだけを生存本能として植え付けられた少年兵たちが戦争を終えて、学校で普通にかつ平和に生きていく中で、平和に馴染めない様子、自分の精神上で依然として戦争が続いていく様子が描かれました。

 この作品に登場した少年兵たちの心理というのは、「ヴァイオレットエヴァーガーデン」のヴァイオレットに非常に近似性を孕んでいます。幼少期を戦場で過ごしたがために、人が身に着けておくべき感情を知ることなく、ただ人を殺すための「機械」のように自分を認識しています。

 そして戦争が終わって、「平和」な時代に突入しても彼らは「戦争」状態から抜け出す事ができずにいます。この間まで敵同士だった民族と同じ学校に通うことに耐えきれない少年兵たち。彼らは、自分たちがこれまで植え付けられてきた唯一の生存本能である殺戮衝動を抑えることができません。

 またヴァイオレットもこれに近いです。「戦争」が終わり、「平和」になるとギルベルト少佐は自分の前からいなくなってしまいました。少佐の命令に従うことだけを生きる術、生存本能としていた彼女からそれを奪われるということがどれほど重大な意味を孕んでいるのかは推し量ることもできません。

 自分に名前を付けてくれたのも、自分に言葉を教えてくれたのも、自分に生き方を教えてくれたのも、全てギルベルト少佐でした。そして彼が最後に告げた「愛してる」の言葉。その意味だけが彼女には分かりませんでした。

 家族を持たず、ただ戦場で命じられるがままに人を殺すだけの「兵器」を必死で「人間」にしようとしたギルベルトの、そんな彼の思いが彼女にはどうしても理解できなかったのです。それは、彼女が「愛」を受けたことがなかったからであり、「愛」を見たことがなかったからです。

 だからこそ彼女は、ギルベルト少佐亡き世界で「愛」を探します。自動手記人形としての業務を通して彼女は様々な「愛」の物語に出会い、そしてそれに徐々に感化されていきます。

 そして「愛」が彼女のそしてギルベルト少佐の、2人の間の止まっていた時間が動き出す時、本作はフィナーレを迎えることになります。

 本作を読んでいると、「愛」という感情の正体を今一度考えてみたくなるんですよね。漠然とこんな感じというイメージは自分の中にもちろんあります。ただ明確にこれだと定義してしまうことはとても難しいです。思っていても、口に出せなかったり、言語化できなかったりします。そんなムズ痒い感情が「愛」なんだと思います。

 それを知るために「手紙」というメディアが1つ重要な役割を果たすと思うんです。「手紙」を書くときに「愛」を言語化してやろうなんて考えたりはしません。それを差し出す相手のことを考えて、純粋な思いを込めて綴られた文章には、知らず知らずのうちに愛が宿っていることがあります。

 本作では「手紙」と「愛」が密接に関わり合っています。そして「手紙」に関するセリフとしてヴァイオレットが作中で「届かなくていい手紙などありませんよ。」という趣旨の発言を残しています。「手紙」は書いただけでは意味が無いんです。それが届いて、読まれて初めて意味を成すものです。


 「愛」という感情も同じだと思うんです。自分がいくらこれが愛情なんだと思って注いでいても、相手にとってはそう伝わっていない可能性があります。「愛」は誰かに受け取ってもらって初めて形を成すものなんだと思っています。

 だからこそギルベルト少佐の「愛」は、かつてヴァイオレットに届くことはありませんでした。というよりもヴァイオレットが受け取ることができませんでした。「愛してる」の言葉は「愛してる」として機能しなかったのです。

 「愛してる」の言葉を定義し、受容する。それまでのヴァイオレットという1人の少女の物語に、「愛」を伝えることの難しさを改めて考えさせられます。

 
〇おわりに


 本記事はアニメの進行に伴って順次加筆・修正していこうと思っています。

 私自身もまだ原作を1度しか読めていないので、まだまだ作品の理解度が浅いです。

 ここから原作を読み返しつつ、アニメを見進めていくことで、より深い考察に到達できたらと考えております。

 非常に素晴らしい作品ですので、途中で投げ出さず、ぜひ最後まで見ていただきたいですね。

 今回も読んでくださった方ありがとうございました。

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