目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回の記事なんですが、扱う映画は劇場版「けいおん!」です。
ただ映画のレビューというわけではありません。今回書いていくのは、当ブログ管理人と「けいおん!」の物語です。
本日、塚口サンサン劇場という映画館で映画「けいおん!」のリバイバル上映をしていたので、鑑賞してきました。
もうですね今まで映画でこんなに泣いたことがないんじゃないかってくらいに泣いてしまいました。
誇張無しに泣いてないシーンが無いんじゃないかってくらいに最初から最後まで涙がポタポタと滴っていました。
(C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
ただ私、この映画「けいおん!」を見るのは、もちろん初めてではありません。
何回見たか?と聞かれてももはや数えきれないくらい見ています。
ただ、やっぱり映画館で見るというのは特別です。
上映が終わると、劇場は拍手に包まれていました。
劇場には70~80名ほどのお客さんがいました。2011年に公開された作品が、未だにこれだけ愛されていて、そして高い評価を受けているという事実がとても嬉しかったです。
そんな感動的な体験に際して、今回はこれまでの自分の人生と切っても切り離せない「けいおん!」という作品について振り返ってみようと思うのです。
良かったら最後までお付き合いください。
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中学2年生:出会い
(C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
自分は深夜に放送しているテレビアニメってその当時は見たことが無かったんです。
土曜日や日曜日の朝に放送しているアニメなんかは見ていましたが、深夜アニメは何が放送しているなんてことも知りませんでした。
当然2009年の4月から「けいおん!」が放送していたことなんて知る由もありませんでした。
そんな私がこの作品と出会ったのは、その年の6月ごろに放送されたミュージックステーションでした。
後に知ることになるのですが、「けいおん!」のOP・ED曲のシングルCDって20万枚近いセールスを記録しているんですよ。
そのためその年の上半期シングルCDセールスランキングにランクインしていて、それをたまたま私は見ていたんですね。
そしてほんの一瞬だけ、「けいおん!」のOP曲「Cagayake Girls!」と「Don’t say lazy」がランキング内で流れたんですね。今でもあのフレーズだけは忘れません。
「Chatting now ガチでカシマシ Never Ending Girl’s Talk 終業チャイムまで待てない 遅刻はしても早退はNon Non Non!」
この歌の、このアニメの正体が知りたくて、私は調べに調べて、「けいおん!」というタイトルに辿り着きました。
とりあえず見てみようと思いまして、追いかけるように作品を見始めました。もう一周した時点で私は「けいおん!」の虜になっていました。
そして最終回。自分が大好きになったアニメが終了するという事実が受け入れられなかったです。
何度も何度も見ました。
そして放送終了後の7月に発売された「放課後ティータイム」というアルバムを買いに行きました。
私が学生時代を過ごしたのは、田舎でしたのでCDを買える場所なんてところも限られていました。
ネットショッピングなんて発想は当時の自分にはあるはずもなく、近所の百貨店に入っている書店に併設されているCDショップに買いに行くことになりました。
しかしですよ、当時の私はやっぱり深夜アニメを見ていることがどうしても気恥ずかしかったんです。
家族にも友人にも話していない秘密の趣味でしたから、CDをカウンターに出してお金を払うというプロセスですら恥ずべきことに思えました。
アニソンコーナーという棚に堂々と飾ってあった「放課後ティータイム」というアルバムをなかなか手に取ることができませんでした。
CD売り場を20分ほどうろうろしては、隣の書店でちんぷんかんぷんな男性ファッション誌を読み、またCD売り場をうろうろとして、当時読みもしなかった文庫本コーナーをうろうろして、またCD売り場を徘徊して、結局1時間近く経過しました。
そうしてCDを手に取り、今度は知り合いがいないかどうか様子を伺うこと30分。ようやく「放課後ティータイム」というアルバムを購入する事ができました。
購入したCDをかばんに隠すようにして家に帰り、それを自分の物入れの奥底にしまいました。
そして夜な夜なこっそりとCDプレーヤーにエッドフォンを接続して音楽鑑賞に耽りました。家族には絶対に知られたくないと思っていましたから、もう隠れキリシタンのごとくひそひそと「けいおん!」愛を育みました。
その後OP・EDと挿入歌「ふわふわ時間」のCDも同じCD売り場に買いに行きました。中学生当時のお小遣いなんて月に2000円くらいでしたから、CDはとても高い買い物でした。それでも買いたかったんです。
それでも、どうしても手元に置いておきたかったと思わせるだけの何かがこの作品にはありました。
そうしてCDを擦り切れるほど聞き込んでいると、なんとテレビシリーズ第2期が決定しました。
中学3年生:歓喜と発覚、そして絶望
(C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
中学3年生になった年の4月から「けいおん!!」の第2シーズンが放送されました。
ただ放送している時間帯が深夜でしたからリビングにあるテレビで見ていると家族にバレてしまうということで、私はお年玉をはたいて録画機能のついているワンセグテレビ機器を購入しました。そしてその端末に毎週の放送を録画していきました。
家族に隠れてこそこそと録画した「けいおん!!」を見る日々が放送期間中ずっと続きました。
自分が中学を卒業する年だったということもあって、彼女たちの物語が自分の状況にリンクしてすごく感動しました。特に第2クールの文化祭編、ラストの卒業式は家族に心配されるくらい号泣しました。
その間も関連CDはキャラソン・サントラ全部はさすがに中学生のお小遣いでは手が出せませんでしたが、OP・EDと劇中歌、そして好きだった中野梓というキャラクターのキャラソンCDだけは全て購入しました。
当然徐々に増えていくCDですが、何とか物置の奥深くに隠し、秘密にしていました。
男子学生が両親に隠すものと言えば、エロ本が相場なのかもしれませんが、私にとっては「けいおん!」のCDがそうでした。
ばれていたのかどうかは定かではありませんが、私は親にばれていないと思っていました。ただそんなある日事件が起こることになります。
それはあの伝説の「けいおん!!」ローソンキャンペーンでした。
当時の「けいおん!!」をご存知の方なら、このキャンペーンがどんなに熾烈な戦いだったかはご存知かと思います。
深夜の日付が変わった瞬間の段階で、棚から関連商品と特典のクリアファイルが消えたと言います。
私ももちろんクリアファイルが欲しかったです。全キャラクターとは言いませんが、せめて自分が大好きな中野梓というキャラクターのクリアファイルだけは確保したかったのです。
事前の情報で、日付が変わった瞬間からの争奪戦になることは予見されていたので、私は家族が寝静まった深夜に家を抜け出して、最寄りのローソンに行く決意をしました。ただその日は高校入試に関わる重要な試験が学校で行われる日でした。
ただそこで大誤算が起きてしまいます。物音には細心の注意を払っていたのですが、両親に外出しようとしていたことがばれてしまいました。両親にはこっぴどく叱られ、半泣きで布団に戻りました。両親とは早起きして登校前にコンビニに見に行っても良いと言われましたが、もう絶望ですよ。
これまで秘密にしてきた趣味が発覚しただけでなく、かなり前から計画していた中野梓クリアファイルゲット計画が完全に頓挫してしまいましたから。
絶望の中で起床し、コンビニに行くために身支度を整えていました。正直その朝、あまりの精神的ショックで熱を出していました。試験を受けに行く気力すらも失われていました。
ただその日奇跡が起こっていました。何と父親が私のためにコンビニを駆け廻ってクリアファイルを全キャラクター分確保してくれていたんですよ。もう歓喜も歓喜ですよ。
その喜びの勢いそのままに38度超の熱があった中登校して、試験を受けに、無事成績を大幅ダウンさせました(笑)。
この日の出来事は「15の朝」という呼称で我が家に語り継がれています。盗んだバイクではなく、自分の自転車で走り出そうとするも、外出すら許されなかったあの日の出来事は今でも忘れられません。
ただこの日私にとって重要だったのは、父が自分の趣味を理解してくれたことですね。この日の出来事が無かったら、後の映画「けいおん!」前売り券戦争に自分は間違いなく敗れていたことと思います。
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高校1年生~:戦争と幸福、そしてその代償
(C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
まず4月に大規模な戦争が勃発しました。それが映画「けいおん!」の前売り券戦争です。
私の地元では、自宅から車で2時間弱移動しないといけない劇場で公開されることになりました。
そのため前売り券を購入するために早朝から父に劇場まで送ってもらいました。ど田舎の映画館にも関わらず、早朝からもう大行列。さらには県内の痛車大集合か?というくらいに駐車場に止まっている大量のラッピングカー。異様な雰囲気の中、何とか前売り券と特典のクリアファイルを確保しました。
さらには、5月に2度目のけいおん!キャンペーンが開催されました。この時は、父に早朝車に乗せてもらい、近所のローソンでグッズを買い漁りました。
そこから夏、秋に2度の前売り券戦争が行われ、そのたびに父の助力あって何とか特典を入手することができました。
キャンペーンに応募するために午後の紅茶ミルクティーをがぶ飲みしすぎて、虫歯と牛乳でお腹を壊す体質になってしまったことは今でも忘れられません。
ただ、順調なグッズ収集とは裏腹にこの頃から少し学校での友人関係に問題が生じ始めました。
当時仲良しグループが5人ほどいたんですが、その友人たちには自分の趣味のことを一切言ってなかったんです。そしてある日その友人たちと家で遊んでいる時に、押し入れの段ボールに入れてあった「けいおん!」グッズを発見されてしまったんです。
それで何となく気まずくなってしまったんですよね。グッズの量も普通では無かったですし、文字通り「ドン引き」されました。
で、何となく自分もその友人たちに絡みづらくなってしまいました。
この出来事を境に少しづづその友人たちとの間に溝ができてしまって、進級してクラスが変わってからはほとんど関わらなくなってしまいました。
この時にやっぱりこういうアニメの趣味は人に言うべきではないんだという思いがどうしても強くなってしまいました。これを知られることはとても恥ずかしいことで、もし知られてしまうと自分の周囲の人が離れていってしまうんだという恐怖すら感じました。
そんな落ち込んでいる状況で12月の映画「けいおん!」の公開を迎えました。例のごとく家から2時間弱車で移動する必要があったので、毎週休日になると父が映画館まで送り届けてくれました。本当に感謝感謝ですよね。こんなにありがたい話があるでしょうか?結果的に4回か5回かぐらいは映画館で見たように思います。
本当に自分自身辛い時に見た映画だったということもあって、この映画は心に深く刺さりました。この映画を見て、自分が「けいおん!」というコンテンツを追いかけてきて良かったんだと思えましたし、そんな自分に誇りが持てるようになりました。だからこそこの映画はどうしても忘れられません。自分を救ってくれた映画だと思っています。
それから進級して、前述の友人たちとはあまり関わらなくなり、代わりに新たな交友関係に恵まれました。趣味について語れる友人も少ないながらできました。
「けいおん!」というアニメコンテンツは新しく世に送り出される事はなくなりましたが、それでも変わらずテレビシリーズや映画を見返してきました。
私は音楽を聞きながら勉強するスタイルだったので、受験期もひたすらに「けいおん!」の関連CDを聞いていました。その甲斐あってか、自分の望んだ進学ができました。
大学生:ロンドンとそして感動と
(C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
大学生になって図らずもイギリスに1か月ほど留学する機会がありました。
「けいおん!」のことはその時はもう割と意識の外にあって、留学先をイギリスにしたのは、それが理由ではありませんでした。しかし、いざロンドンに行ってみると、映画「けいおん!」で見た光景がフラッシュバックして涙がこぼれました。
ビッグベン、ロンドンタワー、ロンドンアイ、ホームズミュージアム・・・。「けいおん!」の中でしか見たことが無かった、放課後ティータイムのメンバーたちが踏みしめたロンドンの地に自分が今いるんだと思うととても感慨深かったのです。
そして帰国してからはまた思い出したように「けいおん!」を見返すようになりました。見るたびに自分がこれまで辿ってきた人生と、喜びと苦悩が全て蘇ってくるような気がして、涙が止まりませんでした。
「けいおん!」を見始めて以来、数々深夜アニメを見てきましたが、結局こんなに好きでいられる作品って本当に「けいおん!」だけだったんじゃないかと思います。
中学2年生の時に出会ってから、今までずっと大好きでいられたのですから。
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ひさびさに映画「けいおん!」を見て思い出したこと
(C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
塚口サンサン劇場で久々に映画「けいおん!」を見返して思ったのは、やっぱり何かを好きでい続けることは胸を張れるんだということですね。
テレビシリーズが放送されていた頃って今ほど深夜アニメが市民権を獲得していませんでしたから、深夜アニメを見ているオタクってどちらかと言うと気持ち悪いという偏見で見られる傾向がどうしてもあったと思うんです。
だから自分の趣味を家族や友人にも言えなかったですし、深夜アニメが好きであることは恥ずかしいことなんだと自分で思ってしまっていました。
高校1年生の時に、それが発覚したことで友人と距離を作ってしまったのもそんな自分の意識が問題だったと思います。自分は恥ずべきことをしているんだと卑下して、自ら溝を作ってしまいまったと思います。
だからこそ映画「けいおん!」を初めて見た時に、その考えが間違っていることに気がつきました。
本当に素晴らしい作品でしたし、純粋にこの作品を応援していることを誇らしく思いました。その時自分の中で意識が変わりました。だからこそこの作品には感謝しきれてもしきれません。
そんな思い入れの深い映画「けいおん!」を公開から6年近く経過した今、また映画館のスクリーンで見れるなんて思ってもみませんでした。
Blu-rayでは擦り切れるほどに見た作品ですが、映画館で見るとどうしてもあの頃の自分が思い返されました。この作品に救われたあの頃の自分とそして今でもこの作品を好きでいられている自分と。
自分の「青春」時代を振り返った時に、部活や恋愛、友情といった人並みの青春ももちろん思い出されるのですが、やっぱり「けいおん!」という作品はとても大きな存在です。こんなに1つの作品を好きでい続けたことは他にないと思います。
喜びも悲しみも、嬉しさも苦しみも、いろいろな感情がこもっている作品、そして何より自分を変えてくれた作品。自分を支えてくれた作品。
そんな時期を過ぎ去った今見る映画「けいおん!」はどうしても心を抉ります。
映画「けいおん!」の主題歌に「いちばんがいっぱい」という楽曲があります。この歌の歌詞って今改めて聞いてみると、全然違う意味に感じました。
深夜アニメに限らず、映画や人、さまざまな物事において自分はたくさんの「好き」に出会ってきました。これからもたくさんの「好き」に出会っていくんだと思います。
でもそれを自分の中で順位付けすることって出来ないんですよね。どの「好き」もそれぞれに大切なんです。
「百個目のいちばんも それはいちばんで 胸いっぱい お腹いっぱい 満たされて 一緒にね にっこり」「いちばんは一つじゃない」という歌詞は、自分にとって「けいおん」そのものだなあと思いました。
深夜アニメの話に限っても「けいおん!」以降たくさんの「好き」な作品に出会いました。
それでも自分の中で「けいおん!」という作品は「いちばん」の1つであり続けたと思います。
だからこそこの作品を見ると、いつも満たされた気分になれます。この歌は自分にとっても「けいおん!」という作品の大切さを凝縮したように聞こえました。
今日劇場に足を運んで6年近く前の映画に70~80人の人が足を運んでいるのを見て、「けいおん!」という作品が今も多くの人の「いちばん」であり続けているんだなぁということを再確認できました。だからこそエンドロールの後の拍手には感動して、泣きました。
おわりに
最近は深夜アニメもポピュラーになりましたし、趣味としての市民権は比較的確立されたように思います。
自分の経験から言えるのは、自分の「好き」に自信を持ってほしいということです。
「好き」に恥ずかしいことなんてありません。
自分はこれが分かっていなかったがために、苦しんだ節があります。
そして言えるのは、その趣味を語りあえる仲間は本当に大切です。
恥ずかしがって自分の殻に閉じこもっていては、広がりません。私にとっては父が理解してくれたことも大きかったですし、やっぱり趣味について語れる友人ができたことが本当に大きかったです。
今の映画趣味にしてもそんなんですが、やっぱり趣味について語れる人が自分の周りにいることは本当に大きいので、ぜひぜひ皆さんも自分から趣味を発信して、仲間を見つけてみてください。
最近実家に帰省するたびに、押し入れの中にある段ボール約3箱分の「けいおん!」グッズをいい加減処分しないか?と母親に尋ねられるのですが、やっぱりあれだけはどうしても捨てられません。
ただのグッズ以上の価値が自分の中にはあります。
とにかく、「けいおん!」という作品を追いかけ続けてきて本当に良かったと思えましたし、リバイバル上映を企画してくださった塚口サンサン劇場には感謝の念しかありません。本当にありがとうございました。
これからも「けいおん!」を好きでい続けたいという思いをまた強くしました。
長々と読んでくださった方ありがとうございました。
初めまして。ナガ様のけいおん愛、とても素晴らしいです。
先日、滋賀県にある旧豊郷小学校(けいおんの舞台になったとされる場所)のフィギュア清掃作業に行ったのですが、
そこで最近けいおんを好きになったという中学生の男の子が大阪から一人で聖地巡礼に来ていました。
ナガ様のブログを思い出し、「けいおんが好きなことは恥ずべき事じゃないよ。胸張っていいからね」と声を掛けました。
同時に、いくつかナガ様が記載されている経験談を語らせて頂きました。その男の子はとても素敵な笑顔をしていました。
2018年10月現在も、けいおんのつながりは途絶えていないということ、そしてけいおんの素晴らしさは現在の小学生~大学生にも伝わっているということ。
そして、これからも大切にしていかないといけないということ。
ここに記載されているナガ様の経験談は、自分のリアルタイムにも重なるところがありとても共感させて頂きました。
これからもけいおんには色々な感動を貰うんだと思います。
以上、長文失礼いたしました。
けいおんスキー社会人様コメントありがとうございます。
このコメントをいただいて、また涙が止まらなくなりました。本当にありがたいお言葉です。
>同時に、いくつかナガ様が記載されている経験談を語らせて頂きました。その男の子はとても素敵な笑顔をしていました。< 本当に嬉しいです!涙が出ます! 放送からかなり時間が経過しましたが、今でもたくさんのファンがいる作品って数えるほどしかないと思いますし、間違いなく「けいおん」はその1つですね!