【パルムドール受賞】『万引き家族』とカンヌ映画祭の評価方式の特徴とは?

はじめに

みなさんこんにちは。ナガです。

今回はですね映画『万引き家族』とカンヌ映画祭を絡めたお話をしていけたらと考えております。


(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

先日カンヌ国際映画祭で是枝監督の『万引き家族』が映画『うなぎ』以来となる最高賞、つまりパルムドールに輝いたことが話題になりました。

本記事ではそんなカンヌ国際映画祭の特徴などについて語りながら是枝監督が『万引き家族』でパルムドールを取れた必然性について考えてみようと思います。

審査員の評価

ケイトブランシェット

ブルージャスミン(字幕版)
アレック・ボールドウィン
2014-10-24

 

 

 

映画『ブルージャスミン』でアカデミー賞主演女優賞を獲得した映画界きっての名女優は映画『万引き家族』にこんなコメントを残しています。

 Blanchett said that choosing the winner for the 71st international film festival “was bloody difficult”. She added that her panel of judges had to put their own personal tastes aside at points to come to a joint decision. “We had to try to put our objective hats on,” “There a lot of rules in France, surprisingly,” she joked. “And the Palme d’Or has to go to a film that brings lots of different things together. We felt that several films did that. It was quite painful but it [Shoplifters] is an extraordinary film.”

(https://www.theguardian.com/film/2018/may/19/cannes-2018-japanese-film-shoplifters-wins-palme-dorより引用)

彼女は第71回カンヌ国際映画祭のパルムドールを選出する作業は「血が滲むほどに難しい」ものだったと述べ、最後には『万引き家族』は大変素晴らしかったと締めくくっています。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督

メッセージ (字幕版)
エイミー・アダムス
2017-07-21

 

 

 

映画『メッセージ』などでハリウッド映画シーンを席巻する、今最も勢いのある映画監督の1人であるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はこうコメントしました。

この作品は私たちに深い感動を与えてくれました。
とにかく恋に落ちてしまった。上品で素晴らしくとても深い。魂をわし掴みにされた。

http://cinefil.tokyo/_ct/17169779より引用)

あのヴィルヌーヴ監督が「魂を鷲掴みにされた」映画とは如何に・・・??

カンヌ映画祭の特徴とは??

カンヌ映画祭って世界の中でも有数の権威ある映画祭なんですが、すごく招待される作品や受賞する作品に特徴がある映画祭なんです。

というのもカンヌ映画祭って基本的にすごく自分たちが見出した、育てた才能を大切にする映画祭なんです。そのため一度才能を認められると、新作を作るたびに招待されたりなんてこともあるようです。また何度も出品されることで、徐々に賞の受賞に近づいていくとも言われています。

今回はそんなカンヌ映画祭に才能を認められた監督の中でも私が特に注目している3人を紹介し、その特徴に迫っていきます。

アピチャッポン・ウィーラセータクン

ブンミおじさんの森 スペシャル・エディション [DVD]
タナパット・サーイセイマー
角川書店
2011-09-23

 

 

彼は2002年に『ブリスフリー・ユアーズ』という映画でカンヌ映画祭にてある視点部門でグランプリを獲得しました。それ以来彼は才能を認められ、新作を作るたびに招待されるようになりました。結果的に彼は2010年の第63回でパルムドールを受賞しました。

彼はタイの映画監督で、静かで芸術的な映像の中にタイの歴史や社会問題といった深い視座を溶け込ませることに長けた監督です。彼もまたカンヌに見出され、育てられた映画監督の1人ですね。

グザヴィエ・ドラン

たかが世界の終わり 完全数量限定豪華版【500セット限定】 [Blu-ray]
ギャスパー・ウリエル
PONY CANNYON Inc(JDS) = DVD =
2017-09-06

 

 

彼はまさにカンヌに発掘された才能の最たる例の1人です。そもそも彼のデビュー作である『マイマザー』という映画はカンヌ国際映画祭にて試写上映され、それが好評だったがゆえに多くの国が買い付けました。その後の作品も毎回のように招待され、上映されました。そして2016年の第69回で『たかが世界の終わり』にて最高賞に次ぐグランプリを受賞しました。

ただこの『たかが世界の終わり』という作品ですが、どう考えても彼のキャリアハイとは言い難いです。そもそも映画祭期間中の星取り表(批評家の評価表)なんかを見ていても、あまり芳しくない成績でした。しかし、彼はグランプリを受賞しました。これは彼らが自分たちの育てた才能を大切にする傾向があることと、出品された回数が多いほど何らかの評価が蓄積されていくようなシステムが見え隠れしているところに理由があると思います。

何はともあれ、カンヌ映画祭はグザヴィエドランを自分たちが発掘し、育てた才能であると世界に誇示したわけです。

ヴィム・ヴェンダース

パリ、テキサス (字幕版)
ハリー・ディーン・スタントン
2015-01-22

 

 

 

彼は『さすらい』という作品でカンヌの批評家賞を取ったことで、カンヌに才能を見出されます。その後彼の作品は毎回カンヌ国際映画祭に招待されるようになり、1984年の第39回で、彼は『パリテキサス』という作品でパルムドールを受賞しています。

このようにカンヌ映画祭ではカンヌが発掘した、育てた映画監督が優遇される傾向にあり、彼らは自分たちが発掘したんだという事実を世界に誇示するために賞を授与しているようにすら見えます。




是枝裕和もまたカンヌに見出された監督だ

是枝監督は2004年の『誰も知らない』という作品でカンヌにその才能を見出された監督です。この時は主演を務めた柳楽優弥が主演男優賞を受賞しました。

誰も知らない
柳楽優弥
7
2016-05-01

 

 

そしてその後もカンヌ国際映画祭に招待され続けた彼は、2013年の『そして父になる』で審査員賞を受賞しました。

そして父になる
福山雅治
2014-04-23

 

 

彼はまさしくカンヌに育てられた監督と言えます。その後の作品も招待作品に選ばれ続け、2018年の第71回で彼はようやく最高賞であるパルムドールを受賞しました。

近年のカンヌ国際映画祭の傾向

カンヌ映画祭には一定の傾向のようなものがあると思います。

まず2010年・2011年は超自然的で、芸術的な作品がパルムドールに選出されています。2010年にはアピチャッポン監督の『ブンミおじさんの家』、2011年にはテレンスマリック監督の『ツリーオブライフ』が選ばれました。

続く2012~2014年は夫婦を題材にした映画や愛を題材にした映画が立て続けに選ばれました。2012年にはミヒャエル・ハネケ監督の『愛、アムール』、2013年には『アデル、ブルーは熱い色』、2014年にはトルコ映画の『雪の轍』がそれぞれパルムドールを受賞しました。

そして2015年・2016年と立て続けに「貧困」を題材にした映画がパルムドールに輝きました。

2015年にパルムドールに輝いたのが『ディーパンの戦い』という作品でした。スリランカからフランスに逃げた難民が疑似家族になって暮らす物語でした。

ディーパンの闘い(字幕版)
アントニーターサン・ジェスターサン
2016-07-08

 

 

 

2016年にはケンローチ監督の『わたしは、ダニエルブレイク』がパルムドールを取りました。この映画も「貧困」に直面しながら、身を寄せ合って暮らす疑似家族を題材にした映画でした。

 

 

 

そして2017年にパルムドールを受賞したのが、『ザスクエア』という作品です。この作品は現代社旗の抱える他者への無関心や階層間の格差、断絶を題材にしていると言われています。

そう考えると2018年にパルムドールを受賞した是枝監督の『万引き家族』は2015年来の「貧困」がテーマの作品が選ばれやすい傾向にも当てはまっていますし、昨年の『ザスクエア』にも通じるテーマ性があります。

つまり是枝監督が『万引き家族』で受賞に至る可能性は作品のテーマ的にも高かったことが伺えます。

おわりに

いかがだったでしょうか。今回カンヌ国際映画祭が日本でも注目されましたが、是枝監督の作品はもちろんとして、もっとこの映画祭や映画祭で上映された他の映画にも注
目が集まってくれると嬉しいですね。

そして最後になりますが、是枝裕和監督本当におめでとうございました。

今回も読んでくださった方ありがとうございました。




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参考:【ネタバレ】『万引き家族』の登場人物の名前に隠された衝撃の秘密とは?

・是枝裕和監督書き下ろしノベライズ版『万引き家族』

万引き家族【映画小説化作品】
是枝 裕和
宝島社
2018-05-28

 

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