目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回から当ブログで新企画を始めます。実はこの企画をやるために新しくブログを作ろうと思いまして、準備も進めていたんですが、せっかくこのブログをワードプレスに映したので一元化してしまおうという結論に至ったというのが今回の経緯です。
その企画の内容というのが、高校コミュニケーション英語の教科書をより深く楽しむための映画と本、ニュース記事なんかを紹介していくというものです。
高校の英語の教科書の文章って実はすごく面白くて、それを読むことで少しづつ教養が増えていくんですよね。それでいて入試に出やすいトピックを扱っていますから、似たようなトピックが大学入試で出題されることもしばしばです。
ただ、英語の教科書で得られる教養の芽をそこで終わらせてしまうのはすごく勿体ないと思うんです。確かに教養は大学入試には直結しないかも知れません。それでも社会に出た時に、本当に自分の価値を高めてくれるのは教養です。
そのため当ブログでは、高校の英語の教科書で面白いトピックに触れた皆さんに、よりその内容が深まるような映画や本、ニュースなんかをご紹介していけたらと思っています。
今後様々な教科書に対応していく予定なので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。
今回扱う教科書と単元
教科書:CROWN/クラウン English Communication 1

単元:Lesson 1 When Words Won’t Work
単元の英文の要約
言語というものはそもそもコミュニケーションツール[an means of communication]なんですが、身の回りを見てみると、実は身の回りに多くのピクトグラム[pictogram]が使われていることに気がつきます。
ピクトグラムは公共の場所で[in public places]しばしば使われますが、その理由は2つあります。1つは、ピクトグラムは言語が分からなくても通じるからであり、もう1つは、遠くからでも瞬時に意味を読み取れるからです。
しかし、ピクトグラムの中には人によって解釈が変わるものもあり、それが問題になっています。ピクトグラムを使って文章をつくる[make full sentences]ひとも現れましたが、果たしてピクトグラムは未来の言語になり得るのか?
面白トピック1:日本でのピクトグラム発展のきっかけは東京オリンピック?
さて、皆さんは日本でピクトグラムがいつから発展したのかをご存じですか?実はそのきっかけは1964年に開催された東京オリンピックだと言われているんです。

実は1948年のロンドンオリンピックの時点で、ピクトグラムの端緒となるものは登場していたんですが、この時はあくまでもスポーツの種類を明示した程度のもので、まだまだコミュニケーションツールとしては機能していませんでした。
そんなピクトグラムを一気にコミュニケーションツールとして次なるレベルへと引き上げたのが、実は東京オリンピック[The 1964 Tokyo Olympic]なんです。
この時、日本で作られたピクトグラムは食堂や浴室(シャワー)、救護室など多岐にわたっていて、この中には現在世界中で用いられているトイレ[Toilet]のピクトグラムなんかもあります。

2020年に再び東京オリンピックが開催されることが決定しているわけですし、こういった小ネタを知っておくと非常に役に立つのではないかと思います。
面白トピック2:ピクトグラムがアニメーション化
教科書の本文中で触れられていたのが、公共の場所、つまり駅などの施設や道路標識にピクトグラムが使われていますよという内容でしたよね。
しかし、考えてみますと私たちはもっと身近なところでこのピクトグラムに携わっているんですよ。そうです。今あなたがこの記事を読むために用いているスマートフォン[smartphone]です。

みなさんスマートフォンで音声をサイレントモードに切り替えてみてください。するとベルのマークに斜線が入ることで「消音」を表現しているんです。他にもスマートフォンの中にはロックが開錠されるときに、南京錠のマークのロックが外れるモーションがついているものなどもあります。
教科書でもピクトグラムは人に解釈の違いを生んでしまう弱点があることに触れられていましたが、このようにアニメーション化してあげることで、変化の前後を表現できるようになり、よりコミュニケーションツールとしての価値が増しています。
海外の記事にこんなものがあるので、良かったら勉強の合間に読んでみてください。こういう英文を日常的に読むトレーニングをしておくと、長文を読む力は向上していきますよ。
面白トピック3:こんなところでも役に立っているピクトグラム
現在世界中で問題になっているのが、難民[refugee]とそして貧困[poverty]の問題ですね。難民政策と言えばアメリカやドイツが話題になることが多いんですが、今回はカナダの移民政策のトピックについてお話してみます。
カナダの難民政策は非常に特徴的で、「民間難民受け入れ」[private sponsorship]と呼ばれていて、この特徴は難民を政府だけでなく、民間の機関も受け入れることが可能であるという点です。
2015年に自由党のトルドー氏が首相に選ばれましたが、彼はこの選挙の際に25000人のシリア難民の受け入れを公約として掲げていました。そして彼が当選し、その後大規模なシリア難民の受け入れが敢行されました。
その際に約25000人の内約30%の受け入れを民間の機関が担ったんですよね。ちなみにスポンサーになった民間の企業は1年間その難民を支援することが義務付けられているうえに、医療や教育などのサービスも手厚く、難民が社会に溶け込みやすいと言われています。
そしてこの難民受け入れに際しても実は、ピクトグラムが活躍しているんです。それが薬剤師[pharmacist]と患者[patient]のコミュニケーションツールとしてなんですよ。
やはり難民としてカナダにやって来た人の中には、文盲[illiteracy]の人や単純に英語などの読み書きが上手く出来ない人も非常に多いと言われています。
薬の薬効[the effect of a medicine]や副作用[a side effect]を薬剤師が患者に説明する際に、それが上手く伝わっていなかったり、誤って解釈されてしまったりすると命にかかわる大事故に繋がりかねません。
そういう時にピクトグラムが非常に有効に機能してくれます。確かにピクトグラムは限定的な情報しか伝えることが出来ませんが、薬の服用に関して特に重要なポイントを伝える際には有効です。
実はピクトグラムはこんな所でも役に立っているんですね。
良かったらオタワでの薬剤師たちの実践について書かれたこの記事も読んでみてください。英語の勉強になると思いますよ。
映画トピック1:文盲と映画
さて、ここからは映画のトピックについて触れていきましょう。最初に触れたいのは先ほどのトピックでも登場した「文盲」についてですね。「文盲」というのは文字の読み書きに難を感じる人のことを指しているわけです。
実はハリウッド映画スターの話題として非常に有名なお話なんですが、『ミッションインポッシブル』シリーズ[Mission Impossible]でお馴染のトムクルーズや『マトリックス』[The Matrix]シリーズで知られるキアヌリーブスといった俳優は過去にディスレクシア[dyslexia]という学習障害の一種を抱えていたことが明かされています。

トムクルーズなんかは台本を声に出して読んでもらい、そうしてセリフを覚えていたと言います。現在はそういった障がいを克服しているそうですよ。
また文盲に関連した映画としては『愛を読むひと』という作品がおすすめです。
ベルンハルトシュリンクが著した原作の『朗読者』[The Reader]を読んでみるのも良いかもしれません。
ハンナという文盲の女性とナチス[the Nazis]裁判の話を絡めた物語になっていて、深く考えさせられる内容ですし、「文盲であるがゆえの悲劇」を生まないためにピクトグラムのような手段を含めてどうしていけば良いのかを考えるきっかけを与えてくれる映画にもなるでしょう。
今回の言語学的なトピックとは少し関係ない話にはなってしまいますが、ナチス裁判やホロコースト[The Holocaust]に関しての話題は知っておいて絶対に損しない教養ですので、それも併せて学べるという点では非常に優れた作品と言えるでしょう。
映画トピック2:SF映画と言語学
ピクトグラムと言いますか、未知の言語との遭遇というシチュエーションを描いた『メッセージ』[原題:Arrival]という作品がありまして、これは言語についての教養を深めるうえで1つ役立つ映画と言えるのではないでしょうか。
この作品において重要なのは、サピア=ウォーフの仮説[Sapir-Wholf hypothesis]ではないかと言われています。これは言語相対性仮説とも言える考え方でして、我々は言語によって世界を認識しているのだという内容です。
色の認識や動作の認識、ものの認識など多岐にわたって、言語というものがその思考[thought]や認識[understanding]に影響を与えているという仮説なんですが、発表された当時大きな議論を呼びました。
彼がこの説を発表した際に例に挙げていたのがポピ族[Hopi]というアメリカンインディアンでして彼らの言語には過去や未来といった時間の概念が存在していないそうなんです。これが言語が認識に与える影響の1つと言えるのではないだろうかということを彼は主張しています。
宇宙人の用いる未知の文字。その解読に当たる言語学者。新たな文字を知ることは新たな概念[concept]と世界を知ることであるという仮説に基づいて構築された映画『メッセージ』は、言語というものの新しい側面を見せてくれる映画になると思いますよ。
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本のトピック1:言葉と文化について
皆さんは高校で教科書を使いながら英語を勉強しているわけですが、日本の英語教育における1つの問題点として、単に言語として英語を学ぶにとどまりすぎているという難点が挙げられます。
言語を勉強する際に実は重要になってくるのが、その言語が使われている国の文化を知ることなんですよ。自分の国の文化に根差した考え方のまま外国語を勉強すると、やはり齟齬が生じてくるわけです。
そういったことばと文化の関連性について書かれた最も素晴らしい書籍の1つが鈴木孝夫さんが著した『ことばと文化』という書籍です。私自身はこの書籍を大学時代に読みましたが、学術的な書籍でありながら比較的平易な文章で書かれているので、高校生が読むことも十分に可能だと思います。
こういうアッと思わされるような考え方との出会いを大切にしてほしいと思います。
本のトピック2:言語が思考を規定する
言語が思考を規定する。これはつまり先ほど映画のトピックの『メッセージ』のところで述べた考え方と同じですね。
伊藤計劃という夭折の作家が著した『虐殺器官』[Genocidal Organ]という書籍がありまして、まあ21世紀の日本のSF小説の中で最も大きな衝撃を与えた作品の1つであることに間違いはない1冊です。
ハードSF小説[science fiction novels]として単純に面白く、ストーリーも魅力的なので高校生でも考えながら読むと楽しめる内容だと思いますし、「言語」というものが人間の思考に及ぼす影響について書かれた作品でして、非常に生きた教養になる書籍だと思います。
絶対に読んでおいて損はない1冊ですから、勉強という堅苦しい話は抜きにしても読んで欲しいですね。

実そうなんです。ただおすすめはやっぱり書籍媒体で読んでいただく方ですかね・・・。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回がこの企画はじめての投稿なので、まだまだ自分の中で模索段階な部分も多いのですが、学生の方に読んでいただいて、受験勉強より深い生きた教養を身につけることへのきっかけになればうれしいなと思って書いております。
英語の教科書に掲載されている文章はどれも良文ばかりです。だからこそ英語の教科書はそこで学んだことを自分で深めていくことで自分自身の知識の財産をどんどんと蓄えていけることができるという点で「教養の入り口」の1つになれるものだと思っています。
ぜひぜひ今回紹介したようなニュースについて読んでみたり、映画や本を鑑賞して、学校の勉強では教えてくれない「生きた知識」を身につけて欲しいと思います。
今回は読んでくださってありがとうございました。
次回の記事でお会いしましょう。
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参考:【解説】CROWN 1/ Lesson 2:Going to Spaceをもっと楽しく読める映画と本!