〇イントロ
今回の記事では、試写会で一足先に鑑賞してきました映画「パッセンジャー」について語っていきたいと思います。今回は、まだ公開前の映画ということでネタバレは無しであくまで概要的な部分に関してのみを語るに留めたいと思います。
ネタバレ有りの考察、解説はこちらのリンクからどうぞ。
【解説・考察】映画「パッセンジャー」はSFか?ラブストーリーか?
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〇概要
・監督:モルテン・ティルドゥム
まず本作で監督を務めたのは、映画「イミテーションゲームで非常に高い評価を獲得したモルテン・ティルドゥムです。彼はノルウェー出身の映画監督で、ニューヨークで映像を学び、ノルウェーでCMやMVを作成する傍ら、映画「ヘッドハンター」を製作し、ノルウェーで大ヒットしました。そして、「イミテーションゲーム」で初の英語作品を製作し、高い評価を獲得、現在はハリウッドを拠点に映画を製作います。「パッセンジャー」はそんな彼の最新作となります。
・主演男優:クリス・プラット(ジム)

©Sony Pictures Entertainment Inc. "Passenger" official trailer より引用
本作の主演男優は今や人気俳優となったクリス・プラットです。映画「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」、「ジュラシック・ワールド」と次々に大作映画の主演に抜擢され、一気にスターダムを駆け上がりました。今年、日本公開となった「マグニフィセント・セブン」でも際立った演技を見せていました。今作では、地球から遠く離れた宇宙船で一人目覚めるエンジニア役、ジムを熱演しており、見ているものを惹きつけてやまないその魅力を再確認させられました。
・主演女優:ジェニファー・ローレンス(オーロラ)

©Sony Pictures Entertainment Inc. "Passenger" official trailer より引用
本作の主演女優は「X-MEN」シリーズや「ハンガーゲーム」シリーズでお馴染のジェニファー・ローレンスです。賞レースにおいても高い実績を残しており、「アメリカン・ハッスル」や「世界にひとつのプレイブック」では特に高い評価を獲得、後者ではアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。そんな彼女が今回演じたのは、ジムと共に宇宙船で目を覚ます女性オーロラを演じました。苦悩・葛藤に直面しながらも前に進んでいく力強い女性像が見る者の心を打ちます。
〇あらすじ
宇宙の遥か彼方にある惑星への人類移住計画の一環として5000人の乗客と約200人のクルーを乗せた大型宇宙船アヴァロン号が120年という長期間の宇宙航行をしていた。そんな中、突然人工冬眠ポッドが故障し、ジムがただ一人目覚めてしまいました。目的の惑星到着まで残された時間は90年で、それは船内で生涯を終えることを意味していました。そんな中で、もう一人の乗客オーロラが目を覚まします。彼らはなぜ目覚めたのか?そしてアヴァロン号に何が起ころうとしているのか?
〇海外の評価
この記事のタイトルでも書きましたが、今作「パッセンジャー」は海外批評家からの評価が著しく低いのです。海外大手評価サイトの「Rotten Tomatoes」でもかなり酷評されています。

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Rotten Tomatoes(https://www.rottentomatoes.com/m/passengers_2016)より引用
Rotten Tomatoes(https://www.rottentomatoes.com/m/passengers_2016)より引用
完全に腐ったトマトになっちゃってますよね(笑)。一方でオーディエンススコアはさほど低いというわけではないですよね。では、ここで一般層の評価も見てみましょう。

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こちらも海外大手評価サイトのIMDbのページですね。スコアは7/10とそれほど低くない、むしろ比較的高めという印象ですね。
〇作品を見る前に
作品を見る前に、一つ皆さんに聞いてみたいことがあります。
皆さんは本作に何を期待していますか?どんな作品だと想定していますか?
私が、映画を見る前に抱いていた、想定していたのは、「タイタニック」と「2001年宇宙の旅」を合わせたような作品ではないかと想定していたわけです。事前情報やトレイラーを見る限りではこの2作品を感じさせる要素がちらほらと出てきました。
他にも「インターステラ―」や「月に囚われた男」、「オデッセイ」といった名作SF映画をも感じさせるような世界観や設定なども垣間見ることができます。
このように、みなさん、本作に対してさまざまなイメージを持って公開を待ちわびていることと思います。しかし、ちょっと期待値が高すぎやしませんか??今挙げた5作品なんて言うのは、もう本当に高い評価を得てきた名作に分類される映画です。これらと比べられることが宿命づけられるのは作品の雰囲気的にも仕方がないかもしれませんが、あまりに酷ではないでしょうか?
ここに、海外批評家からの評価が低い理由もあるのだと思います。批評家たちは評価する以上は、過去に自分たちが高い評価をつけてきた往年の名作や賞レースで評価された作品と相対的にこの作品を見る必要が出てきます。そして、それらの先入観を持ってみてしまうがゆえに、どうしても本作が大きく劣っているように感じてしまうのではないでしょうか?
海外一般層からの評価が高くはないですが、それほど低いとまではいかない理由は、あくまで一つの娯楽大作映画として一定の評価を得ているということなのではないでしょうか。私も映画を数多く見ていますし、こんなブログまで書いている以上、作品を批評してやるという姿勢で、先ほど挙げたSFの傑作たちと比較的にしてしまった感があります。そのために少し物足りなさを感じてしまいました。
これから、この映画をご覧になる方は、この映画にあまりに高すぎるハードルを用意しないで挙げて欲しいのです(笑)。期待しないでくださいと言っているわけではありません。ただ、いきなりすでに傑作と名高い名作と比べられてしまうのは、本作にとっても酷だと思うのです。
本作のストーリーや世界観、設定から考えても、先ほど挙げた作品達の比較対象になってしまうことはある意味仕方のないことなのかもしれませんが、フラットな目で見て、評価するべきだと感じました。
「相対評価」ではなく「絶対評価」の目線で本作を楽しんで欲しいと思います。
ちなみに、少しだけ本作を見終わった後の私の本作への印象を述べておくと、テレンス・マリック映画っぽさがありましたかね。
〇見終えての略感
本作の最大の魅力はさきほどテレンス・マリックっぽさがあると言いましたが、やはりその圧倒的な映像美かと思います。宇宙モノのSF好きにはたまらない映像の連続に窒息しそうになるほどでした。宇宙船やシンプルだが近未来的な船内のビジュアル、美しい宇宙空間と水の描写など本当にため息が出るほどに美しい映像は本当に圧巻でした。

©Sony Pictures Entertainment Inc. "Passenger" official trailer より引用
また、本作はIMAXのイントロ映像で流れる飛行機の大轟音のような音が作品の随所で登場するため、映画館の音響設備で鑑賞するともう身体が震えました。
この映像美と大轟音を味わえるだけでも本作を映画館で見る価値はあると思うのです。
と、ここまで内容に全く触れてませんよね(笑)。ちょっと内容に関しては本当に何ともいえないんですね。
正直、中盤ぐらいまでは大傑作だと思いました。ただ終盤は先ほども言いましたが、この映画に何を期待していたかで大きく評価が分かれることと思います。ガッツリSFを期待しているのか、ラブストーリーを期待しているのか、他にもいろいろなイメージを持たれていることと思いますが、本当に持っていたイメージ次第で本作の後半部の評価は大きく見え方が変わってきます。
私は、あまり期待していたものは得られなかったという印象に終わってしまったんですが、人によっては非常に満足できるものにもなりうるかと思います。
ひとつ小言を言うなれば、ガッツリSFを期待し過ぎないほうが良いかなあとは思います。予告はかなりそういう印象を与えるように作られていますので。あまり煽られすぎないほうが、作品を楽しめるのかなとは思いました。
〇結局比べちゃいますね(笑)
先ほど、あまり他のSFの名作たちと比べないであげて欲しいといった後なんですが、やっぱり見終えると比べちゃいますよ(笑)。特に比べてしまうのが、昨年日本公開された「オデッセイ」だと思います。
本作を見て、私は、「オデッセイ」がどうしてあんなに高評価されていたのか分かったような気がしました。

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Rotten Tomatoes(https://www.rottentomatoes.com/m/the_martian)より引用
「オデッセイ」はRotten Tomatoesでも批評家、一般層双方から高い評価を受けています。
「パッセンジャー」を見る前から、「オデッセイ」と比べてやろうという姿勢で見るのは、おすすめできないのですが、見た後にちょっと振り返りながら比較してみると面白いかと思います。
私は「オデッセイ」に関してあまり高評価だったわけではないのですが、「パッセンジャー」を見て、評価がかなり上がりましたね。すごい作品だったんだなぁと・・・(笑)。
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
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